ワイルドブラスト
わいるどぶらすと
概要
「ゾイドと人間の気持ちがシンクロし、互いの闘争本能が最大限に高まった時に発動する」と言われているゾイドの一時的なパワーアップ、またはキットの変形ギミックのこと。キットのパッケージでは「本能解放」に「ワイルドブラスト」とルビが振られる。
ゾイドに相棒と認められると鍵状のアイテム「ゾイドキー」を与えられ、ゾイドとライダーは左目が青白い炎のようなオーラに包まれた後に、ゾイドのボディに一時的に現れる鍵穴状のパーツにライダーがゾイドキーを差し込むことで発動でき、ゾイドは普段は隠されている武器が展開してより戦闘に特化した姿へと変わる能力。
発動時は殆どのライダーが通常の声よりトーンが低くなるのも特徴。発動時の台詞は総じて「(命令系)、(ゾイド名)!(ライダーの一人称)の魂と共に!本能解放!ワイルドブラスト!」となっている。
一度発動すれば、それまでよりも大幅に飛躍した戦闘力を発揮できるようになるが、ゾイド・ライダー共にかなりの体力を消耗することになり、ゾイド単体では行使できないのもこれが原因と思われる。また、発動にはゾイドとライダーの心が一体化しているのが前提であり、単にゾイドキーを差しただけでは発動させることすらできない。
発動状態の際に戦闘中の衝撃などでゾイドから離れると強制的にキーが射出され、ワイルドブラストが解除される。
また、ライダーの精神状態によっては暴走する危険性もある。第14話ではアラシの怒りに呼応して目の炎が紫色に染まり、更に戦闘力が向上するだけでなく、目に入ったものを敵味方構わず攻撃する暴走状態に陥ってしまった(しかもアラシはその間理性を失ったように唸り声を上げるだけで、終わった後もその時の事を一切覚えていなかった)。
第20話ではギャラガーに煽られたことにより、この状態から更に目の炎が紫から濃い青白色になり、炎も通常時より大きく発光、ワイルドライガーが覚醒状態に変化した(本編終了後の解説コーナーでも、この状態を「暴走ではなく覚醒ではないか?」と言及されている)。その後、ムシ仙人から修行を受ける事で暴走する事はなくなったが、覚醒状態を見られなくなった。
基本的に一度絆を結べば切れることはまずないが、第37話でディメパルサーのファイナルマッドオクテットを受けたことによりワイルドブラスト状態を強制解除され、しかも相棒としていたライダーを敵と認識してワイルドブラスト状態になることすら不可能になった為、状況によっては絶対的なものではないと言える。
デスブラスト
デスメタル帝国のゾイドとライダーが使用する機能。帝国によって開発された短剣状のアイテム「デスメタルキー」をコックピットにある鍵穴状のパーツに無理矢理差し込むことで発動。発動時にはゾイドとライダーの右目が赤黒い炎に包まれる。また、ワイルドブラストがキーを刺す前に炎が出現するのに対し、こちらはキーを刺してから炎が出現する。
デスメタルキーのデザインは赤い玉石のある黒い短剣。接続ポイントにトゲがあり、玉石部分はボタンとなっている。(デスブラスト発動時は最初に玉石のボタンを押す)
ギミック的にはワイルドブラストと何ら変わらないが、最大の相違点は「強制解放」と称されるように、デスメタルキーによってゾイドの力を無理矢理引き出している点であり、ゾイドは発動時に苦しそうな姿を見せる。その為、デスブラストそのものをゾイドに対する拷問の様に使うこともできるようだ。当然弱ったゾイドには耐えられる物ではなく、最悪の場合デスブラストの負荷自体が致命傷となって粉々に吹き飛んでしまう事もある。発動時の台詞も前口上はなく、「強制解放!」あるいは「デスブラスト!」くらいしか言わない。
また、デスメタルキーそのものは流用が利くらしく、トリュフがステゴゼーゲに使用していたものをそのままディメパルサーにも使用していた。
その性質上、ワイルドブラストと違い、ライダーの一方的な意思によって発動可能で、発動後にライダーが疲弊する事もなく、キャビアに至っては相手を騙すために長くガブリゲーターから降りていてもデスブラストを維持し、ドレイクも一体目のギルラプターでデスブラストを維持したままもう一体に乗り換えて発動という同時起動までやってのけている。ただし、ゾイド側に強い意志があれば自力でデスブラスト状態を解除することも可能。
ただ、うまくコントロールできなければ暴走状態に陥ってしまう危険はそのままであり、それが実験に利用されたあるラプトールの悲劇を招いてしまった事もある。
デスブラスト発動のための差し込み口は当然改造で後付けされている物だが、鹵獲したシュプリーム団のゾイドに取り付けた際はワイルドブラスト用の鍵穴に覆い被せるようにして取り付けている。これがデスブラストのための通常の改造なのか、既にワイルドブラストを発動した事のあるゾイドに対する特別な処置なのかは不明。
デスメタルキーの純正品によるものは発動すら難しく、これを用いて発動できるのは最初は帝王ギャラガーとデスメタル四天王だけであった。その為、帝国では一般兵でも使用可能な複製品の開発を進めており、その過程で多くのゾイドが実験台にされ、痛めつけられている。最初期の実用段階に満たないデスメタルキーを使用したマカロニは1~2分しか発動できなかったが、話の進んだ第38話で遂に制御の問題まで解決した実用に足る性能のデスメタルキーの大量生産に成功し、構成員の多くに行き渡る事になった。
ちなみにキットではデスブラストについては触れられておらず、デスメタル帝国所属のゾイドもワイルドブラストで統一されている。
本能極限解放
ベーコンとファングタイガーがデスレックスを倒す為に発動した本能解放を超える能力(他のゾイドやライダーでも使えるかは不明)。
その効果は凄まじく、発動すれば巨体のデスレックス相手に互角に渡り合うほどで、真っ向勝負なら勝てた可能性がある程である。その分本能解放以上に負担が大きく、発動前に負傷していたとは言え、攻撃する毎にファングタイガーの装甲が吹き飛ぶようにして破損している。またタイガーは「自分自身さえわからなくなっているのでは」という解説もあり、ベーコンがアラシ達がいない時に発動させた事から暴走して周囲に被害を与える可能性があると推測され、まさに諸刃の剣と言える能力である。
また、発動時は人間の瞳がゾイドの目のように変化(ゾイドと人間が一体化した証?)し、アラシの暴走はこの状態に近いものではないかと推測するファンもいる。
「ゾイドワイルドZERO」におけるワイルドブラスト
第二期である「ゾイドワイルドZERO」では進化解放(エヴォブラスト)と兵器解放(マシンブラスト)という新たなワイルドブラストが登場する。
第一期とは異なりいずれもゾイドキーなどの特殊なツールは使わずレバー操作だけで発動し、ライダーにも特に変化は起きない。また、発動時にはライダーに悪影響を及ぼすほどの強い衝撃が生じるらしく、通常は耐Bスーツというパイロットスーツ無しでの発動は危険となっている。
作劇的に、第一期のワイルドブラスト及びデスブラストような「劇的なパワーアップを果たす絆の象徴」「ゾイドに多大な負担をかける禁断の力」とは描かれておらず、「機械的に発動可能な強力な武器の使用形態」という趣が強い。
進化解放(エヴォブラスト)
特殊な進化を遂げた「進化ゾイド」が発動できるワイルドブラスト。
こちらはワイルドブラストをより進化させた能力になっており、サリー・ランドが持つペンダントの力によって本来の姿に戻ったビーストライガーが発動した。
キット的には、ギミックが自動で発動するのがコンセプト。
兵器解放(マシンブラスト)
帝国軍によって改造された「兵器ゾイド」が発動できるワイルドブラスト。
制御トリガーを解除することで、後から組み込まれた装備の真の力を発揮する。この装備とは後付けの武器のようなものではなく、骨格レベルで改造されて取り付けられたものになる。
キット的には、自動では発動せず人の手で発動形態に変形させる必要があるのがコンセプト。
ちなみに、第二期の情報が解禁される以前にYoutubeにて公開された特撮ジオラマ映像『ゾイドワイルドバトルウォーズ』に登場したコマンドライガーはミサイルやソードが取り付けられているが、マシンブラストではなくワイルドブラストを発動する。
レジェンドブラスト
バトルカードハンターに突如現れた旧世代ゾイドが発動する所謂「炎のオーラを伴わないワイルドブラスト」である。
余談
「ゾイドと乗り手の感情がシンクロする」という要素は前年の『機獣新世紀ゾイド公式ファンブック』内のバトルストーリーにて「精神リンク」という形で言及されている。また、漫画『機獣新世紀ゾイド』に登場した「シャドーキー」もゾイドキーとデスメタルキーに近い性質を帯びていた。
なお、コンセプトとしては、ソーラーフレアが飛来して初めてゾイドの本能開放が発現し、それが地球における戦闘用ゾイドの発祥となり、デスメタル帝国の発端となったらしい(参考リンク:コロコロオンライン内の徳山光俊氏によるインタビュー)。