実写映画版キャスト：清水尋也
概要
大津馬中学3年の生徒。主人公・野咲春花と交際している同級生。春花と同じく転校生で、仙台からやって来た。現在は母方の祖母・紀久子と二人で暮らしている。写真撮影が趣味で、大津馬の自然や野咲姉妹の写真に撮ったりしていた。
他の男子達とは対照的に美少年で、性格も正義感が強く穏和。春花とはよそ者同士であるためか、彼女のいじめに加担せず、春花を精神的に支えている。春花との関係は彼女の両親からも公認。
春花の家が放火された時には、燃え盛る家の中に果敢に飛び込み、瀕死の状態だった春花の妹・祥子を救出した。
その後は、声を失い復讐鬼と化した春花に以前と変わらず優しく接し、「お前を支える」と宣言する。春花はその時の晄とのキスで声と温かい気持ちを取り戻した。
このように春花の同学年の人物としては珍しく、まともな感性の持ち主に見えるが・・・
ここからはネタバレになります
向こうで、何とか支え合って三人で生きていくから相場くんも決まった進路に進んで？ 二人とも大人になったらまた
話が見えない。俺と・・・・・・一緒に耐えるって
・・・・・俺が守るって、あの日、二人で約束しあったじゃないか・・・・
違うの、聞いて
俺が支えになるって言ったよな。やっと反対してたばあちゃんを説得したっていうのに
ガッカリだ。野咲には失望したよ。俺じゃなくて、家族をとるんだな
その本性は狂暴そのもの。
非常に思い込みが激しい上に、「相手が自分の思い通りにならなければすぐに手を上げる」「好きな相手を力で支配することが愛情表現だと勘違いしている」など、本作のキャラクターの中でも、特に異常な精神の持ち主である。
晄の父は妻（晄の母）・紀子に対して日常的にDVを受けさせる人物で、彼は幼い頃から暴力が身近な環境で育つ（両親は晄に対してそれなりに育児をし、虐待こそはしてはいないものの、息子への悪影響も考えず、DVの現場を愛の形として見せているなど、本質的には我が子を顧みていないことが伺える）。
晄はそんな父の行為に見て見ぬ振りをしていたが、中学生になった時、母が泣いているところを見て、母を救うことを決意。母に暴力を振るっていた父の背中をカッターナイフで切りつけた。そのことがきっかけで両親は離婚。父は逃げるように家を出ていき、不倫相手の女性のところへ行くため、行方をくらました（「相場」は母方の姓で、離婚前の旧姓は「村瀬」）。
晄は母の元に残り、離婚後は無気力になってしまった彼女を献身的に支えていた。ところが守ったはずの母は、夫婦関係を繋ぎとめるためにあえて夫の暴力を受けていたことから、離婚の原因になった彼に対して、感謝するどころか「産むんじゃなかった」と罵り、死ぬようにまで吐き捨てる。
母の罵倒に激怒した晄は彼女を殴りつけ、更にその時の彼女の態度を見て、母は父に痛めつけられることで愛情を感じていたのだと誤解し、父同様に母へのDVを行うようになった。母に対し良かれと思って取った行動が裏目に出たことで彼の中で暴力＝愛情表現・証明になってしまう。
その結果、母に匙を投げられ、家から追い出される形で祖母の元に預けられた（なお、母の方は息子がいなくなってからも、電話ですら彼と話すことを拒絶していた上に、実家に生活費を度々無心して暮らしていた模様）。
終盤では彼の本性が明らかになる。「春花には自分しかいない」と独善的な感情から、卒業後は東京に戻る彼女の傍にいるために、上京を計画。しかし、晄にとってそれは「春花と東京で二人で暮らす」ことを意味しており、それに反対した祖母、更に難色を示した春花の態度（前述の会話は、その際のやり取り）から邪魔になる彼女の祖父を暴行した。このうち、春花の祖父には重傷を負わせており、春花にその事実を問いただされた際には、彼女にも手を上げていた。
そしてやって来た佐山流美が春花に致命傷を受けさせた時には、春花を傷付けた流美に逆上し、顔面を激しく殴打する（実写映画ではそのまま流美を惨殺している）。
しかしその際に、はずみで春花に火災現場で撮った炎に焼かれる彼女の父と妹を撮った写真を見られてしまう。親の愛に恵まれなかった晄は、命を捨ててまで子どもを守る春花の父に歪んだ憧憬を抱き、その遺体を祥子から引き剥がし、並べてシャッターを切ったのだった。必死で陳腐かつ自分本位な言い訳をする彼だったが、春花がそれを聞き入れるはずもなく、彼女の復讐劇の最後の対象になる。
自分に襲いかかって来た春花に「見損なった」と激怒し、彼女を逆に負傷させ、彼女に自分と生きるように約束させようとする。しかしそれを拒絶した彼女に、現場に残っていた間宮のボーガンで左目を撃たれ重傷を負わされ、その傷がもとで死亡した（実写映画では即死している）。
恋人からの愛も失った彼は、死の間際、地面に這いつくばり、遠く去っていく春花にすがるように手をのばす。
野咲・・・待ってくれ。行かないでくれ。野咲。待って－
全てが終わった後、息子に会うことを徹底的に拒絶していた母・紀子は、晄の葬儀に参列するため実家に戻った。祖母（紀子の母）は帰郷した娘を出迎えながら、無表情の紀子とは対照的に晄の死に一人涙ぐんでいた。
本作屈指のヤンデレキャラ。
彼のやったことは擁護しようがないものだが、世間体（主に夫婦関係）しか頭にない両親から満足な愛情を受けずに育ち（実際に晄を気にかけていたのは祖母のみである）、勇気を出して救ったはずの母にも捨てられ、歪な家庭環境が原因で間違った愛情・感情表現しか出来ないでいたなど、物悲しい少年でもある。春花への異常な執着心も、家族からは得られなかった愛を彼女との関係に求めてのこととも解釈出来る。
関連タグ
池川努：相場と同じく春花に恋をしていた少年で、（池川は両親や友人には危害を加えていないが）ヤンデレ仲間。「好きな相手が自分の手に入らないなら、殺してしまいたい」池川に対し、「好きな相手を自分に従わせようと暴力を振るう」のが相場と言える（相場の方がそれまでまともな人物かと思われていたので、終盤での変貌ぶりにはかなりインパクトがあるが）。
しかし、両親から（悪影響をもたらしていたとはいえ）過大な愛情を注がれていた池川が、愛されなかった相場と同じく道を踏み外してしまうのは皮肉なことであるが・・・・
関連作品および関連人物
火本真：転校生の主人公に一目惚れし、クラス内でいじめの標的となった彼女の唯一の味方という点が共通している（しかし相場とは異なり、いじめグループの前に強く出られず、陰で声をかけることしかできなかったため、直接いじめから助けられなかったことに強い罪悪感を抱いていたが、こちらは純粋に主人公を気にかけている心優しい人物である）。
赤井：主人公に密かな想いを寄せるクラスメイトの男子生徒。穏和な性格と思われていたが、物語後半で醜悪な本性が明らかになる点が相場と共通している（しかし赤井や彼女を追いつめたクラスメイトは自分達でも予想していなかった思いがけない行動には青ざめた顔で怯えていた）。
※尤も（スピンオフの『Sept』を含め）こちらの作品では、火本や第二の主人公の幼馴染み以外、まともな男性キャラが殆ど登場していない。
