ドボルベルクとは「モンスターハンター」シリーズに登場するモンスターの一種である。
通称「尾槌竜」。
概要
『モンスターハンターポータブル 3rd』(MHP3)で初登場した獣竜種のモンスター。
外見は水牛とラクダと恐竜をかけ合わせて巨大化させたようなモンスターである。
主に渓流などの水資源の豊富な森林地帯に生息しており、大柄な体格を持つ者が多い獣竜種のモンスターの中でも特に大型の種である。
身体の大部分は茶色の鱗が集まってできた分厚い甲殻に覆われている。凹凸のある表皮には苔やキノコなどが生えており、元々の巨体も相成ってその容姿は小山が動いているかのようである。
実際に、渓流で休息を取っていた本種を「小山と勘違いした」という報告すらある。
最大の特徴は、ハンターの武器では切断すらまず不可能な領域にまで長太く発達した尻尾である。
特に先端部は尾骨を中心に、常に生え代わりを繰り返す分厚い甲殻に覆われており、ハンマーを想わせるような球状に膨らんでいる。
この異常な発達を遂げた尻尾は、自身の食糧となる樹木を打ち倒す為に進化したものだと考えられており、尾甲が幾重にも折り重なって形成された先端部は凄まじい重量があり、打ち下ろす度に地面を揺さぶる程の威力を持つ。
水牛のような見た目通り、獣竜種の大型モンスターにしては珍しく完全草食性で、主に倒木や立ち枯れた木を主食としており、巨体に似合わず基本的には温和な性格である。
しかし、縄張り意識がかなり強く、不用意に近付く者に対しては積極的に排除を試みる習性を持つ。獣竜種の中でも屈指の巨躯と力を誇る事から、場合によっては大型の肉食竜すら上回る甚大な被害を出す事もあり、ハンターズギルドでは非常に危険性の高いモンスターとして認識されている。
前述の通り、尻尾によって薙ぎ倒した倒木を食べるという食性を持つが、この巨体を草食で維持しているという事は、おそらく相当な量の餌が必要になる筈である。渓流の木々は果たして大丈夫なのだろうかと心配になってくるが...
当然ながら外敵に対する攻撃手段としてもこの尻尾は非常に強力で、縄張りの侵入者に対しては、まず咆哮や尻尾を振り回す威嚇行動を取り、それでも相手が立ち退かない場合はいよいよ本格的に尻尾を武器として使い始める。
特に、後脚を軸に自分の身体を回転させ、その勢いを利用して周囲を薙ぎ倒す『大回転攻撃』は脅威であり、その尻尾の届く範囲は瞬く間に小規模の嵐が通り過ぎたかのような惨状と化してしまう。
この尻尾を使った食性や攻撃方法による周囲の環境への被害も、本種がギルドから危険視される要因の一つだと思われる。
さらには、この大回転や尻尾を振り抜く際の遠心力を利用する事で、自らの巨体を投げ飛ばすように大きく移動する技を持つ。
一瞬とはいえ、ドボルベルク程の巨体が自らの意志で宙に舞う様子は圧巻であり、ドボルベルク自身もこの技を利用して、外敵を頭上から押し潰しに掛かる戦法を見せる場合もある。
背中には大きなコブが二つ付いているが、ここには栄養として固型の脂肪が蓄えられており、興奮するとこの脂肪を燃焼させて急速にエネルギーを補給する。その際はコブから蒸気が立ち上るのだが、その姿はまるでバクーダである。
興奮したドボルベルクは、その巨体に見合わない激しい動きで怒涛の猛攻を仕掛けてくる為、非常に危険である。
ただし、脂肪ばかりなので斬撃、打撃、弾丸などで破壊可能であり、破壊されると興奮時のエネルギー供給に支障を来たすようになってしまい、弱体化するという弱点もある。
頭部には大きく湾曲した一対の角が生えているが、この角は人の胴体の数倍はあり、非常に太く頑強な造りとなっている。
しかし、この角は脳に直結している為に、根元から折れると脳が甚大なダメージを受けて即死してしまうので、同族間での争いの際にも角を直接ぶつけ合うようなことはせず、角で地面をえぐって土をかける事により相手の戦意を削ごうとする場合が多い。
ただし、余程の事が無い限りこの角が根元から折れてしまうといった事は無く、外敵に対してはこの角を振りかざしての威嚇する他、地表に突き立てての突進攻撃を行ってくる事もある。
見た目に反して卵生で、幼体は雌を中心とした群れに守られて生活する。産まれた頃の尻尾は歪な形状をしているものの、成長と共に幾度となく地面に叩き付けられる事で徐々に形を整えていくという。雄はある程度成長すると群れから離れて単独で行動するようになる。
この為、ゲーム中でハンターが戦う事になる個体は雄である事が多いらしい。
寒さには弱く、冬は地中に潜り冬眠する。冬眠の際はコブから栄養を確保する。
表皮に生えるキノコや苔に関しては現在は保温、保湿、緩衝の為に付けているとの説が有力だが、非常食だと考える研究者も中にはいる。
ちなみにその体に生えるキノコだが、稀に「ドボルトリュフ」と呼ばれる非常に美味しいキノコが生える事もあり、大変希少な食材として重宝されている。
背中のコブも濃厚な旨味が凝縮されており、こちらも食材としての需要があるらしい。
戦闘
ぱっと見だと古龍種にも見えると評される事もあるドボルベルクだが、実際に体力だけなら古龍種レベルである。
通常の大型モンスターと思えない程のバカ高い体力を誇り、単体クエストですらソロだと多大な時間がかかる。
獣竜種の中でも特にパワーファイターと言われるだけあって、一撃が相当な威力を持っており、動きは遅いのだが、体が大きいので当たり判定がかなり広い。
最大の特徴である尻尾を回転しながら振り回す攻撃は、非常に反応しにくい。
これをハンマー投げの要領で振り回した遠心力で、回転しながら宙を舞いボディプレスを仕掛ける姿は、まさにモンハン界の室伏である。今後ハンマー愛好家のアイドルになる事が期待されるが、回転のスピードがあまりに速過ぎる為に、むしろ体に負担がかかるのではないかと見ていて不安になる。
この回転攻撃時は足元がお留守になるが、半回転で跳ぶ事もあれば、ハンターが近くにいると打ち上げをキャンセルして、回転の勢いのまま滑り込んで来る事もある。
角の破壊が完了していれば、この滑り込みの時によろけるがあまり攻撃のチャンスにはならず、ドボル自体は巨体の割に短足なので、どのような位置にいても警戒はする必要がある。
ただし、威力はあるものの動作の一つ一つが遅く大ぶりである為、回避さえ怠らなければ恐れる程の相手ではない。剣士は足元に潜り込めばあまり攻撃を受けずに済むし、ガンナーにとってはその巨体は良い的である。
一段階破壊すると尾甲にヒビが入ってピッケルで採掘できるようになり、二段階破壊すると半分程が欠けてしまう。
角は集中的に攻撃すると折れるが、頭の方が柔らかいのでなるべく頭を狙う方が良い。
破壊に成功すると両方とも折れるが、根元から折れる訳ではないので、設定のように即死する事は無い。
短くなるお陰でほとんど弾かれる事は無くなるが、怒り状態の時に頭を攻撃して怯ませると、すぐさま頭突きで反撃してくるので、武器によっては攻撃モーションが終わりきる前に反撃されて、回避が間に合わなくなるので注意する必要がある。
角を破壊するなら、なるべく怒り状態ではない時を狙った方がいい。
コブは背中にあるので攻撃を加えるには転倒時や落とし穴に掛かった時などを狙う。そもそも滅多に弾かれない程に柔らかいコブだが、破壊に成功すると肉質がさらに柔らかくなり、各種属性でもより大きなダメージを受けるようになるので、完全に急所となる。
また、地味ながらエネルギー不足に陥って怒り時間も短くなるので、最も積極的に破壊を狙っていきたい部位である。
効率的に破壊および集中攻撃を狙うのであれば弓が最も適しているだろう。
装備
ウラガンキンといいアグナコトルといい何を企んでいるんだカプコン……
ちなみにこの防具、下位・上位ともに新スキルである「破壊王」が付く。これは部位破壊しやすくなるスキルで、尻尾斬りなどに適している。
しかし、ドボルの一式は水以外への耐性がやや低めである。
種類
亜種
『モンスターハンター3G』(MH3G)で初登場した。通称「尾斧竜」。
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余談
草食種のアプトノスやアプケロスは「鳥盤目・鎚尾亜目」という、文章だけ見ればドボルベルクと関係有りそうな分類付けがされている。また、尻尾が武器状に発達した草食生物という共通点もあるのだが、ドボルベルクはあくまで「竜盤目・獣脚亜目」に分類される獣竜種なので、当然ながら両者の間に生物学的な関係性は全く無い。
そもそも、ドボルベルクの別名は鎚(かねへん)ではなく槌(きへん)の方である。
生物学的には、ドボルベルクは獣竜種の中でもウラガンキンに近い種だと見られているらしい。実際に、ウラガンキンは幼体時は樹木などを餌とする草食性である。
2017年公開の特撮映画『髑髏島の巨神』では、似たような見た目の巨大な水牛が登場した。
猛牛竜ことバフバロは、名前の語感的にもバッファローがモデルだとされているが、ドボルベルクの方が外見的にも生態的にもずっとバッファローに近い。