※以下、ネタバレにつき閲覧注意
概要
「鬼滅の刃」第181話にて最後の戦いを前に鬼舞辻無惨が主人公、竈門炭治郎らに言い放った台詞。
発言に至るまでの背景
無限城での最終決戦において、残る上弦の鬼のうち参、弐、壱らがすべて敗れた直後、珠世の人間化薬を分解し、鬼舞辻無惨はよみがえった。
無惨は多数の鬼殺隊隊士を惨殺、捕食し活動を再開、そして炭治郎と水柱冨岡義勇に遭遇した。
無惨によって死に追いやられた家族・仲間たちを思い、目の前の無惨に対する怒りをあらわにしながらも冷静さを保とうとする二人。
その二人を前にした無惨が平然と言い放ったのが以下の一連の台詞である。
全文
『しつこい』
『お前たちは本当にしつこい飽き飽きする 心底うんざりした』
『口を開けば親の仇 子の仇 兄妹の仇と馬鹿の一つ覚え』
『お前たちは生き残ったのだからそれで十分だろう』
『身内が殺されたから何だと言うのか 自分は幸運だったと思い元の生活を続ければ済むこと』
炭治郎『お前何を言ってるんだ?』
『私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え』
『何も 難しく考える必要はない 雨が風が山の噴火が大地の揺れが どれだけ人を殺そうとも天変地異に復讐しようという者はいない』
『死んだ人間が生き返ることはないのだ いつまでもそんなことに拘っていないで 日銭を稼いで静かに暮らせば良いだろう』
『殆どの人間がそうしている 何故お前たちはそうしない?』
『理由は一つ 鬼狩りは異常者の集まりだからだ』
『異常者の相手は疲れた いい加減終わりにしたいのは私の方だ』
余談
この一連の台詞は自らの所業すべてを棚に上げ、加害者たる自身を許そうとしない被害者たちを『異常者』呼ばわりするという無惨の極めて自己中心的・醜悪な精神性の象徴といえる。
なお、無惨には「炭治郎らを挑発し、隙を作る」といった目的はなく、この発言は「無惨の感じたことを素直に表現したに過ぎない」ということも特筆すべきだろう。
そして、無惨のこのような発言を聞かされた炭治郎は
『無惨 お前は 存在してはいけない生き物だ』
と怒りすら消え果た表情でつぶやいた。
とまぁ、聞けば聞くほど身勝手な論理であるが、この言葉は単なる他人だけに要求している理屈ではなく、かつて自分が耳飾りの剣士こと継国縁壱と対峙した際、彼の圧倒的な戦闘力を前にまさかの敗走を余儀なくされるという屈辱を味わった後も、その縁壱に対して雪辱を果たそうとしたり刺客を送り込んだりとかはしなかったことから、「どんな屈辱を受けても無理な復讐や追跡はしない」「自分よりも強いとわかっている奴に意味もなく挑む必要なんて無い」という経験則に基づく“自身にとっても遵守すべき教訓を説いてるだけ”という説もあったりする。
その部分だけ切り取れば“どんな目にあっても己の命を守ることを優先すべき”的な正論と言えなくもないが、言い換えれば“他人がどうなろうと自分さえ生きていられたらそれでいい”という考えでしかないこの「教訓」の歪さ、醜さ、おぞましさこそが無惨が無惨たる所以ともいえる。
そんな最低以外の何物でもない無惨のこの発言だが、そのインパクトと酷すぎる発言内容から一周回って読者からの高い人気を誇っており、たびたび「無惨が他人を(無茶苦茶上から目線&自分のことを棚に上げて)説教する」というコラ画像がつくられていたりもする。