Conker's Bad Fur Day(コンカーズ・バッド・ファー・デイ)は、レア社発売のNINTENDO64・Xbox用ゲームソフト。
概要
主人公のアカリス「コンカー」をはじめ、ディズニー風に可愛らしく擬人化・デフォルメされた動物などのキャラクターが多数登場するアクションゲーム。ただし内容は「下品、不潔、残酷なネタと汚らしい言葉遣い、ブラックジョークのオンパレード」である。そのためほとんどの発売国において成年向けのレーティングが適用されている。
電源投入後のOPで、いきなり、N64のロゴをコンカーがチェーンソーで真っ二つにし、「だっせーロゴだな」と言いながらポイ捨てした後、「ダメだありゃ」と言いながらレア社のロゴを出して、「やっぱこれだね」と言い放つというシーンはある種のブラックジョークでありながら「レアが任天堂との決別を示唆したもの」とも一部では言われている。
パロディもハリウッド映画を中心に豊富であり、戦場ステージでの『プライベート・ライアン』や最終ステージでの『マトリックス』の再現度は笑えるくらいに高い。また、ストーリーの概略は『ハングオーバー』シリーズに近い(英語版では序章のチャプター名がHangoverになっているなど、小技のパロディも多い)。
あるシーンではN64で最初に発売されたスーパーマリオ64に登場する特定の敵の倒し方をオマージュした場面があり、冗談の通じない人から見れば任天堂に喧嘩を売っているとも取られかねない本作が、ギリギリのブラックジョークの裏にリスペクトを仕込んだ作品でもあることも見えてくる。
また、単純にパロディが豊富であるにとどまらず、それをストーリーの中へ自然な形で組み込んでいる。そのため、パロディの元ネタが分からないプレイヤーが置いてけぼりにされることはない。
N64版は北米・欧州・豪州のみで発売された作品で、日本国内では任天堂から発売予定はあったがキャンセルされている為、当時は発売されていなかった。それでも日本国外版のN64カートリッジは、単に形状が違うだけなので、アダプタ・PARを挟むことで日本国内の本体でも問題なく起動できる(PARの場合はZ-KEYが必要)。なお現在は、XboxOne用に発売されたレアのアーカイブ作品集である「レアリプレイ」により日本国内でも購入が容易になった。
物語
主人公コンカーはこの世界の王様である。何でも手に入る立場でありながらひどく不満顔。彼は言う。「全ては昨日のことだ。それはまさに最悪の一日だった」。そんな彼が昨日のことを思い出す。
それは、自宅で帰りを待つガールフレンドのベリーそっちのけで仲間たちとの飲み会に参加していた時の事。言い訳がなんと「戦争の壮行会」なんだから驚きである。しかし···その帰り、夜中に降りしきる大雨の中、彼は自宅への道を見失ってしまう。目を覚ませば見知らぬ土地。そこから彼の思わぬ冒険が始まるのだが、それまで一般人だった彼はなぜ王様になったのだろうか。そして、王に即位したにもかかわらず、「最悪」という言葉が出てくるのはどうしてなのか。全ては、この自宅に帰るまでの冒険をした1日に原因があった···。
システム
主人公コンカーを操作して、各ステージを周り、イベントをこなしながら現金を集めていく。ステージ自体はほぼ1本道であり、同じレア社が発売したバンジョーとカズーイの大冒険やドンキーコング64などの同じ3Dアクションゲームとはその点が大きく異なる。
基本的に同じ場所に戻ってくる必要は殆ど無く、謎解きも比較的簡単なのだが、その分アクション面での難易度が上がっており、特にコンカー自身がバンジョーやドンキーコングよりもデリケートということもあり一撃死が頻繁に発生する。
また本作の特徴的な要素として、「B」と書かれたパッドを使用することで状況に応じたアクションをその都度使用するというものがある。頭上に豆電球が点灯した瞬間にBボタンを押すとアラ不思議、普段はどうやっても使えない攻撃手段を次々と繰り出したり、どこにそんなもの隠し持っていたんだと言わんばかりの道具を持ちだして、道を切り開いていける。通常時のアクションは基本的に移動・ホバリング・隙の大きいフライパンやバット攻撃程度のものであり、これらを使ってイベントを進めることは皆無に近く、大抵はなんらかの仕掛けを探すことがポイントになってくる。
対戦モード
N64版・レアリプレイ版では、当時すっかりお馴染みになっていた対戦モードを実装。本編のシステムを流用したうえで、色々なルールを組み込んでいる。撃破数・死亡数・命中率・ヘッドショット数などがプレイヤーおよびCOMキャラクター毎に計算されており、順位の判定はかなり厳正。また、時間制と残機制のどちらかを選べるのも特徴。
- DEATH MATCH - いわゆるバトルロイヤル。時間制に多くのスコアを獲得するか、残機制なら最後まで生き残った人の勝利。
- WAR - チームのバトルロイヤルと、チームの旗取り合戦(キャプチャー・ザ・フラッグ)の2つのルールから選択できる。銃撃戦としては一番オーソドックスな世界観であり、続編にもこの世界観が持ち込まれた。
- TEMPLE - 太古の時代を舞台に、恐竜vs原始人のチーム戦。お目当ては食事であり、互いに互いをエサとして狙っている。
- BEACH - クマリス戦争の側面を描きつつ、その実ナチス下の亡命をテーマにした脱走戦。亡命者とクマ軍にわかれた異色のチーム戦。
- HEIST - マフィアの部下たちによる幹部争奪戦。4チームに分かれて現金を取り合いながら、自分の金庫を一杯にしたチームの勝利。
- TANK - 本編のクマリス戦争で一時的に使った戦車を互いに使っての戦闘。
- RACE - 原始人による溶岩コースを使ったジェットボードレース。激突すると簡単に一撃死するため、完走することさえ難しい。
余談
- 開発当初のゲームタイトルは「Conker's Quest」。国内未発売のゲームボーイカラー専用ソフトである「Conker's Poket Tails」の内容・世界観を引き継いだ全年齢対象の3Dアクションゲームで、グラフィックも異なっており、コンカーの声もディディーコングレーシングのものと同様であった。要素としては木を揺らすことで落ちてくる栗を獲得する事が出来、緑色のどんぐりもアイテムとして存在していた。攻撃技としてはアッパーカット、ヒップドロップなどがあった。
- ゲーム冒頭の酒場のシーンの壁をよく見ると何故かバンジョーの剥製(アニマルヘッド)が飾ってあるほか、小部屋にはカズーイの頭を持ち手にした傘が立てかけてある。