ゼロファントス
いにしえのまだんき
スペック
概要
人類未到の地、地下神殿エリアから突如出現したゾウ種のゾイドで、進化ゾイドや兵器ゾイドのどちらにも属さない謎の存在。このゼロファントスはあるゾイドの尖兵ゾイドでもある。
眼の部分が兵器ゾイドのZ-Oバイザーのようになっているが、これはゾイドコアと直結した眼球が多数並んだ「アイブレイン」であり、広い視野を誇る。
更にボディ自体もボーンフレームが無く、骨格とアーマーが一体となった強固な装甲を持つ。
ボディ内部には毒液「バイオアシッド」が満ちており、コアリアクターの働きで全身を循環する。バイオアシッドが表面に浮き出た「リアクターライン」は、機動力の上昇や士気の高揚に応じて紫色に輝くという。
パワーノーズは重量がある物体を持ち上げ、投げつける事に特化している。先端にセンサー機能を持つため、標的に向かって正確に投げつける事が可能。
A-Zアンカーファングは単純な接近戦用の武器ではなく、敵ゾイドの動きを制限するための装備。ファング内部には先端部と繋がった鎖が格納されており、射出したファング先端部を敵ゾイドのボディに突き刺して動きを封じる事ができる。
また、頭部にあるマインドホーンからは他のゾイドを操る強力な電波を発生させる事ができる。
これまでも偶然発見した人類によって幾度か発掘が試みられたが、作業中にバイオアシッドの毒によって命を落とす者が続出し、「禁忌のゾイド」と恐れられた。そのため当機の復活は断念せざるを得ず、発掘を完了させた人類はいないという。
解放技は進化解放でも兵器解放でもなく、原始解放(ゼロブラスト)と呼ばれる独自のもの。
ゼロファントスの原始解放技は、現代の重火器に匹敵する破壊力を持つA-Zスリングボムをスリングボムマガジンから取り出し、パワーノーズを用いて投擲する『破滅爆裂弾(ディゾルボム)』。
A-Zスリングボムにはバイオアシッドを含むと思われる猛毒が蓄積されており、その毒を散布して敵を腐食させる事もできる。
アニメにおいて
アニメでは35話から登場。ただし35話で全貌は明かされず、全体像が判明するのは36話の終盤。
アニメ版ゾイドの常として、キット版よりもサイズが大きく描かれている。ただしM型ゾイドの中では特にキットとのサイズの差が大きく、体高がバズートルの2倍近い巨体となっている。流石にジェノスピノやオメガレックスには及ばないものの、この体躯はグラキオサウルスにも匹敵する。
劇中では霧に紛れてどこからともなく現れ、共和国及び帝国の軍事施設を壊滅させてはどこかへ消えていく、正体不明のゾイドとして初登場。この際、たった一発のA-Zスリングボムによって軍事基地ひとつを丸ごと消し飛ばす描写が見られた。
ゾイドとの戦闘においては、イヤーシールドで敵の銃弾を弾き、遠距離からスリングボムを投擲する戦法を基本とする。ただし先述の基地襲撃とは異なり、スリングボムは直撃しなければダメージが無い程度の出力に抑えられている。
ガトリングフォックスによる一斉掃射を防ぎきるイヤーシールドや、ソニックバードのスカイスラッシュでも損傷を受けないスリングボムマガジンなど、その装甲は桁外れの耐久性を誇る(スカイスラッシュの衝撃でマガジンの脱落を起こす程度の被害はあつた)。
また、バズートルを鼻のひと振りでひっくり返す、飛びかかってきたライジングライガーを直接掴んで投げ飛ばす、ガトリングフォックスにA-Zアンカーファングを突き刺し相手ごと振り回すなど、肉弾戦をこなせる膂力も兼ね備える。
一方でA-Zスリングボムは衝撃に弱いらしく、ボムを直接狙った銃撃などで暴発した他、マガジン内のボムまで誘爆する場面も見られた。
劇中でゼロファントスが明確に撃破されたのは2度。活動を停止して間もなく全身が石化し、38話で発見された化石と似た状態となる。
ガトリングフォックスが撃破した際はゼロファントスの真下から集中砲火を浴びせていたため、機体の下部は守りが薄いと思われる。
後の42話において、ランド博士から「ゼロファントスおよびゼログライジスは惑星ziに由来しないゾイドである」という秘密が明かされる事になる。
キットについて
ボーンフレームが存在しないという設定を反映してか、装甲を外した骨格形態が存在しない。特徴的なリアクターラインは、塗装により再現されている。
胴体や側面の肋骨パーツはキャノンブルと同一のものだが、四肢を中心に多くのパーツが新規造形であり、印象は全くと言っていいほど異なる。
また、背部に原始解放に関わるユニットが存在するが、その上部にスリングボムマガジンが取り付けられている。マガジンも解放技には必須だが、こちらは動力と直接連動していないという点が従来にはない特徴である。そのため、公式の紹介動画のようにマガジンを他のゾイドに移植する、等の組み換えがしやすい。
地味な特徴ながら、キットのスイッチ部分にライダーが騎乗するのも『ゾイドワイルド』シリーズのキットでは初となる。
スイッチを入れると、鼻や耳を前後に動かしながら歩行する。
原始開放は、手動で鼻を持ち上げて固定することで発動できる。歩行すると同時に背中のユニットから爆弾を捕球し、前方に投擲する。マガジンの装弾数は4球なので、歩行を続けると連続で4球まで投げることが可能(尚、投擲距離がかなりあるのでボムの紛失には注意)。
ちなみに、先述の通りマガジンは動力と連動していないが、その下の基部から鼻にかけては動力と連動する一連のパーツである。
そしてこの部分を取り外すことで、なんと他のゾイドに搭載する事が可能。
ライジングライガー等が頭上から鼻を生やし、スリングボムをぽいぽい投げる光景は非常にシュールであるため、これらのゾイドを持っていれば試してみるのも良いだろう。
余談
公式冊子の『オペレーションZマニュアル Vol.1』で先行公開された。
紫と白というカラーリングは、80年代の旧々シリーズにおける暗黒軍仕様のゾイドの色を反転したようなものになっている。
これが意図的なものかは不明であるが、ボーンフレームを持たないボディは『ゾイドワイルド』以前の多くのゾイドに近いと言える。
アニメでの登場でみられる霧との関連性も、アニメ『ゾイド新世紀/0』においてエレファンダーが登場した際の描写と共通する。
『ゾイドワイルド』シリーズにおいて遠距離戦闘が可能なゾイドは、シリーズ第1期の時点でガノンタスやハンターウルフなどが登場していた。しかし、キットで実際にギミックとして飛ばせるようなパーツが付属しているものはおらず、このゼロファントスが初のキットとなった。
これまでのシリーズのキットにおいても、アイアンコングやサラマンダーのようにスプリング仕掛けで砲弾やミサイルを発射するギミックを持つゾイドこそ存在していたものの、このゼロファントスはゾイドとしては初となる「本体の駆動と連動して“物を投げる”ギミック」を搭載しているのが大きな特徴である。
奇しくもゼロファントスという名前は、エレファンタスの『メカボニカ』時代の名前であるメカファントスと似ている。ゼロ→原点回帰という意味で捉えればどこか意味深なネーミングである。
また、付属のシールにはシリーズ最初期に設定されていたZi文字が記されたものと、過去に惑星Ziに存在していたゼネバス帝国の紋章が描かれているものがあるが、本機とゼネバス帝国との関係性は不明となっている。