概要
1995年にアスキー(現:KADOKAWA)から発売されたスーパーファミコン用RPG作成ソフト。制作は空想科学。
『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』などの見下ろし型視点(戦闘シーンは『ドラゴンクエスト』と同様)のオーソドックスなRPGが作成可能だが、家庭用ゲーム機対応のツクールシリーズとしては最初期の物である事と、ハードの仕様やソフトの容量、メーカーのプログラムの関係で現在のツクールシリーズに比べると不便な点が数多く、ゲームで使用するグラフィックやBGMなどの作成機能も実装されていないことから同時期に発売されたシューティングゲーム作成ソフト『描いて・作って・遊べる デザエモン』の比較対象として槍玉に挙げられる事も多かった。
なお、容量は(8MbitROM(1MByte))となっているが、これはSFC初期のソフトに相当する容量で、既に16MbitROMが普及していた1995年発売のソフトにしては低容量のロムが使われていた。次作の『RPGツクール2』では16MbitROMに増加している。
素材数
素材項目 | 素材数 | 備考 |
人グラフィック | 51 | |
物グラフィック | 98~108 | 52番から人グラフィックの連番、マップの種類で数が異なる |
フィールドグラフィック | 19 | 1マスでも縦横2マス分になる |
魔法グラフィック | 12 | プレビュー画面がない |
マップ画面 | 187~255 | 1ブロック縦横4マス、街マップのみ187種類 |
敵グラフィック | 54 | 44番以降はイベントでしか設定できない |
BGM | 31 | 1番~6番はループなし |
効果音(SE) | 60 | 音が小さくて使い難いSEが一部ある |
様々な制約
- グラフィックやBGMを自分で作成する事はできず、素材はあらかじめ用意された物から選ぶ事になる。
- フィールドのマップを作製することも不可能で、あらかじめ用意された4種類のマップから選ぶことになる
- キャラクターやモンスターの色を変える事もできず、外観では個性が出し辛い。
- 初期の『ドラゴンクエスト』シリーズの様な旧態依然としたシステムで、『ファイナルファンタジー』シリーズのように同じ消費アイテムを1つに纏める事ができず、受け渡しも1つづつと激しく面倒。
- 初期装備が設定不可能。
- 蘇生する魔法やアイテムが作れない為、戦闘中の復活方法がない。
- 戦闘BGMがザコ敵とボス敵で使い分けができない。
- 魔法を習得するLV設定が1~99にしかできない為、最終的には必ず10個の魔法を習得しなくてはならず、それ以前に習得した物は古い順から消えていく。
- 乗り物を降りた場所によっては、ワープ魔法を使って移動した場合に二度と乗り物に乗れなくなってしまう致命的な欠陥が発生する。
- 何より、制作出来る容量が圧倒的に少なく、メッセージは一文字毎に容量を使う為、会話シーンに力を入れると超短編に成りがち。
…等々、様々な不満点が在ったが、90年代当時はPCの普及率が現在の様に多くなく、コンシューマー機でRPGを製作可能な夢のソフトで在った事に変わりはない為か、売り上げは意外と多かった様子。
しかし、このソフトが発売されなければ、間違いなく『RPGツクール2』以降のコンシューマ機用ツクールは潰え、発展の道が閉ざされていたのは明らかで、このソフトの存在自体は大きな貢献をしたと言える。
また、グラフィックやBGM等は一部のファンの間で未だに根強い人気を誇っている。因みにサンプルゲーム『Fate』(某聖杯戦争にあらず)は、PC版『RPGツクールDante98』に収録されていた同名のサンプルゲームが原作である。なお、サンプルゲームの作者は「A・たいしょう・YANO」という人物だが、詳細については不明。