狂時機
まっどうぉっち
ひみつ道具としての解説
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。及び同作品のエピソードの一つ。TC8巻収録。
懐中時計型の道具で、これを使用すると周囲の時間を加速・減速・停止させることが出来る。効果範囲は一部屋程度から全世界(TC21巻収録「ひろびろ日本」の作中では、ドラえもんはこの道具を使用して全世界の時間を停止させている)と幅広く設定出来る。
作中の描写を見る限り、使用者に触れている者は時間操作の影響を受けない(作中ではドラえもんが最初にこの道具を使用して部屋の中の時間を加速させた際、ドラえもんが触れていたのび太は時間操作の影響を受けていなかった。それに対し、のび太がこの道具を使用して部屋の中の時間を遅くした際、のび太に触れていなかったドラえもんは時間操作の影響を受けて動きが極端に遅くなっていた)。
しかし上記の「ひろびろ日本」にて再登場した際は、使用者の周囲にいる人物は使用者に触れていなかったとしても時間操作の影響を受けていない(ドラえもんがこの道具を使用して時間を停止させた際、のび太はドラえもんに触れていなかったにも関わらず、時間停止の影響を受けていなかった)。
ピンポイントの加速・減速・停止が行えるので、ヤカンに火をかけて一瞬の内に湯を沸かす等、様々なショートカットに使える。
減速についても時間操作の範囲を固定して「100倍減速」等にしてしまったが最後、相手はとんでもなくスローモーションになり、こちらには手出しできなくなる(減速領域にうっかり入ってしまった第三者も巻き添えとなる)。ただし上記の通り、この道具は時間停止も行える為、リスクを考えれば減速より時間停止の方が安全ではあるが。
なお、この道具はドラミも使用している。TC24巻収録「ガンファイターのび太」では、銃弾をカタツムリのような速度まで遅くしてのび太を救った。
『ザ・ドラえもんズスペシャル ロボット養成学校編』にも登場しており、のび太が「フワフワ銃」の引き金を引くと同時に狂時機を使用し、弾の速度を非常に遅くして敵が油断して近寄った瞬間に狂時機を解除し、等速に戻して命中させるという、ひみつ道具の応用に定評のあるのび太ならではの使い方をしていた。
原作版初期及び大全集では上記の「狂時機」という表記になっているが、現在のTCでは「驚時機」という表記になっている。ルビも上記の「マッドウォッチ」だけでなく「マッド・ウオッチ」、「きょうじき」等、作品によって変更されていることが多い。
エピソードとしての解説
ママから叱られていたのび太は説教にウンザリして「タイム!ちょっとトイレに」と言いながら一時的に逃げ出す。のび太から「どれくらい時間が経った?」と聞かれたドラえもんは「15分」と答える。
するとのび太から「ママの説教は大抵1時間だから、後45分続くのか。もうすぐしずかちゃんが遊びに来る約束だから助けてよ」と頼まれたドラえもんは、ポケットから「狂時機」を取り出す。
そのままドラえもんが狂時機を使用すると、部屋の中の時間が1分につき1時間経過する速度で進み出した。時計の針が凄い速さで動き、テレビ番組もチャカチャカと目まぐるしく変わっていく。
そのまま窓の外が夕方になってしまい、のび太が「しずかちゃんが来ることになっているのに!」と怒り出すと、ドラえもんは「心配するな。時間が経ったのはこの部屋だけさ」と説明し、部屋の外に出て「ほら、まだあんなに日が高い」と告げる。
狂時機を借りたのび太はママの説教を瞬時に済ませると、しばらく狂時機を借りることにする。当然、ドラえもんは「面白がって使うもんじゃないんだぞ!」と言うが、のび太がすかさず部屋の中の時間を100倍遅くしてしまい、ドラえもんは身動きがほとんど取れなくなってしまう。
のび太はしずかを迎えに行くことにしたが、その直後に車と衝突しそうになってしまう。運転手から「気をつけろノロマ!」と言われたのび太は「悪いのはそっちだぞ!こんな道でスピード出すなんて!」と怒りながら狂時機を使用する。車の速度を遅くしている間に、先程の仕返しとして車に落書きをする。
しずかを家に連れて来たのび太は、狂時機を使用して瞬時に湯を沸かし、しずかにお茶を振舞う。二人で何をして遊ぶかで迷っていると、しずかが「時間を無駄に過ごすのが大嫌いなの」と言った為、のび太は「もっとのんびりしようよ」と言いながら狂時機を使用し、部屋の中の時間を遅くする。
のび太が楽し気にしずかの顔を眺めていると、そのまま眠ってしまう。しずかに起こされたのび太は部屋の中の時間を元に戻すのだが、しずかは自宅へ帰ろうとし、のび太はそれを引き留める。
すると先程時間の流れを遅くした部屋の中に、ドラえもんだけでなくママや仕事帰りのパパがいることに気がつき、のび太は慌てて部屋の中の時間を元に戻す。
ようやく動けるようになったドラえもん達、のび太、しずかが家の外に出ると、既に真夜中になってしまっていた。慌てふためくのび太を、ドラえもんは厳しい目つきで眺めるのだった。