概要
エンテロドン科とは、ブタやイノシシ、そしてペッカリーに似た姿の大型動物のグループで、北半球に分布した。小型の者でもイノシシ程の大きさから、最大は北アメリカのダエオドン(ディノヒウスとも)で、サイ程もあった。最古のエンテロドン類で、以降、漸新世をアジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布し、中新世前期までに絶滅した。アフリカと南アメリカに入っていないのは、エンテロドン類が生きていた間、それぞれユーラシアと北アメリカとの間に海があって、渡れなかったからと考えられる。7属が区別され、科としては小さいが、その印象的な大きさと姿によってよく知られたグループである。最も目立つ特徴は、その特異な形の頭部である。これは、頬骨弓から横下方に突き出た大きな板状の突起の機能については、特殊な咬筋が付着していたという可能性がある。尚、エンテロドン類の頭骨は、体全体に比して相対的にかなり大きい。歯列は殆どの種類で基本数(44本)を保っている。切歯や犬歯は比較的大きくて頑丈で、雑食性を思わせる物である。上顎の臼歯は典型的な5咬頭のブノドントで、エナメル質が厚い。脳は小さいが嗅球が大きく、嗅覚を働かせて地下茎等を探すことに長けていたことを思わせる。