「……星に願い事、もしひとつだけ叶うのなら──
士郎さんと本当の兄妹になりたい」
※『プリズマ☆イリヤ ドライ!!』7巻以降のネタバレが含まれます。
それら女児は皆赤い瞳を持ち、超常の力を有したという。
人の思念を受信し、無作為に現実化してしまう子供──神の稚児。
概要
美遊・エーデルフェルトの元の名前。
平行世界の冬木市に生まれた「生まれながらにして完成された聖杯」。
彼女が生まれた「朔月家」は、表向きは天正から続くという歴史の古さだけが取り柄の旧家とされていたが、その実態は「人の願いを無差別に叶える力」を有する女児・神稚児が生まれる特殊家系。しかし願いを叶える度に本人の魂をすり減らしていくという代償がある。
いわく…
一人目は、冬木を飢饉から救い2歳で死亡した。
二人目は、命より先に精神が尽きた。
三人目からは、出生が秘匿された。
その後、朔月家の女児は人の思念を遮断する結界内にて、母親一人の手によって育てられるようになった。
それは、神を人へと堕するための儀式。喋らず、思わず、動かずが是とされる、正常な子育てとはおよそ正反対の冷徹な手続きである。
そして、数えで7歳を迎え力を無くした後は「病気が治った」「親戚の子を引き取った」などと理由を付け、人の世へと送り出される。
これらは神稚児の力を決して自らの富や繁栄に使わず、子供たちの健やかな成長だけを願っての行為であり、美遊の代に至るまでの500年間、1つの例外もなく続けられてきた。
美遊もまたそのように育てられていたが、数えで7歳になる直前に冬木市で起こった謎の闇による侵食事故で朔月家を覆っていた結界が壊れ、朔月家の人々も美遊を残して全員死亡してしまう。
事故後、神稚児の伝承を追っていた衛宮親子に発見され、その力を使うために養子として引き取られた。
切嗣の調査によれば神稚児の力が発現出来る残り期間は限られており、彼は己の願いである世界の救済を成そうと弱った身体に鞭打ったものの、力を行使する術を見つけられぬまま他界し、後を士郎に託した。
しかし、美遊の力を使う事は「その命だけでなく魂すらも使い潰す」という事になるため、士郎は決断を下せないまま5年の月日を過ごすが、何も知らない美遊はある夜に星空へ向かって「士郎さんと本当の兄妹になりたい」と願い、それに応えるように瞳の色が赤から金へと変化する。そんな彼女の姿を見た士郎は『本当』を始めようと決意し、その第一歩として朔月家跡地を訪れ美遊を助けた本当の理由を告げようとしたが、その場に現れたジュリアン・エインズワースによって美遊を連れ去られてしまう。
攫われた先で全ての真実を知らされた美遊は諦観と共に、願望器として使われる運命を受け入れようとしていたが、そこにクラスカードを用いた第五次聖杯戦争を勝ち抜いた士郎が現れ、ただ美遊の為に聖杯に願いを掛ける。
「美遊がもう苦しまなくてもいい世界になりますように」
「やさしい人たちに出会って」
「笑い合える友達を作って」
「あたたかでささやかな幸せをつかめますように」
士郎の願いによってイリヤのいる世界へと飛ばされた美遊だったが、自分と一緒に世界を越えたクラスカードが冬木市全体に悪影響を与えていると知り、魔法少女として戦いうことを決意する。
ちなみに、今は亡き母親は「朔月陽代子」。娘同様かなりの天才だったらしく、司法書士資格を始めかなり多才な人物だったという。
Fate/Grand Order
大まかな点は美遊・エーデルフェルトの方を参照。
第3再臨で真名が「朔月美遊」となり、瞳も赤色に戻る。
また、第3スキルが「神稚児の願い(EX)」と神稚児の力を元にしたものを習得し、さらに宝具『星天を照らせ地の朔月(ほしにねがいを)』の演出も、上述した士郎の願いを叶えるシーンが元になっている。
関連イラスト
FGO
余談
デザインコンセプトは「和風」。
“平行世界のイリヤと似た存在”という事で、銀髪紅眼のイリヤとは対になるよう設定された。
初期プロットでは、クラスカード回収が完了した後に美遊は元の世界へ帰る予定だったとの事。
しかし、元々短期連載だった第1期の段階ではそこまで踏み込む前に尺の限界となってしまったため、方針転換して一旦お蔵入りせざるを得なくなってしまった。
そして、ようやくこれらの設定が明かされたのは通算14巻目に入ってからであった。
関連タグ
衛宮切嗣…義父(故人)。平行世界にも存在しているが、イリヤたちのいる世界では存命するイリヤの父であり、世界中を仕事で飛びまわっているため会ったことがない。
東方家…同じく特定の特徴を持つ家族が持つ特性を消すために特殊な育て方をする別作品の一族。ただし朔月家の方法は確実に効果があるちゃんとした手続きであるのに対し、この一族の場合はただの迷信でしかなく、全くと言っていいほど効果がない。