概要
「ガレージキット」とは、個人や小規模メーカーでも生産可能な方法で作られた組み立て模型。略して「ガレキ」ともいう。
一方で一般的に「プラモデル」と呼ばれる「インジェクションキット(金型に溶融したプラスチックを高圧で注入する成型)」の生産に使われる金型や射出成型機はとても個人が手を出せるような代物ではない(ガンプラの金型はランナー1枚分だけでも100万円以上する)。
その種類には、「バキュームフォーム(プラ板に型を押し当てて熱と真空で押し出す成型)」、「レジンキャスト(レジンをシリコン型に流し込む成型)」、「メタルキャスト(鋳造)」、「ソフトビニール」、「エッチング(紙の代わりに金属板を用いたペーパークラフトのようなもの)」、「挽物(ろくろによる金属パイプなどの削り出し)」などがある。
良く言えば個人でも生産が可能な方法だが、逆に言えば型の耐久力が低かったり(レジンキャストキットに使われるシリコン型の耐久度は20回程度と言われていおり、プロ用は耐久性も上がる分丈夫故に扱い辛い)、人力頼りだったりと大量生産には不向きなため、価格は一般のプラモデルに比べれば高めの傾向にある。
また素人設計だったり、型の耐久度の低さから精度が低かったり、素材自体が初心者向けではなかったりする(ポリスチレン製ではなくリモネン、アセトン系接着剤で溶かしての接着が不可能)ため、表面の離型剤の洗浄や気泡のパテ埋め、歪みの修正、接着・塗装などに手間がかかる上級者向けキットである。
しかし最近では技術の向上により、気泡が減ったり、カラーレジンを使用してある程度色分けされたキットも発売されている。
定義
「ガレージ」とは「車庫」の事であり、元々は「ファクトリー(工場)ではなくガレージの片隅で量産されたキット」と言う意味だとされるが、そもそも和製英語なので、正確さについては怪しいものがある。
現代では曲解されて生産数の少ない上級者向けキットのほぼすべてがガレージキットと呼ばれており、企業製ガレージキットや依頼を受けてガレージキットを量産する専門業者(そもそもソフトビニールは素人による量産は不可能)も存在し、さらにはインジェクションキットでさえもガレージキットと呼ばれる事がある。
販売形態
型の製作難易度などから企業よりも個人で生産されることが多いキットではあるが、日本では法律上二次創作物の立体物は販売が厳しく制限されているため、オリジナル作品はともかく版権物のガレージキットは「ワンダーフェスティバル」など限られた場所以外で購入できる機会が少ない。
一方でバンダイも過去に単体では売上の見込めないロボットのキットそのものや既存のキットを素体に改造するためのパーツ等を「B-CLUB」ブランドのガレージキットとして発売していた時代があり、またリミテッドモデルブランドでガレージキットに近いプラモデルを発売していたこともある。
とはいえ昨今ではガレージキットしか発売されていなかったマイナーな機体でも徐々にインジェクションキット化されており、ガレージキットであることにさえ拘らなければ入手の敷居は下がりつつある。
ツクダホビーではジャンボフィギュアブランドでガレージキットを販売していた。また、青島文化教材社もガレージキットの販売を手掛けてる。
コトブキヤはガレージキットを販売するだけでなく、同じ原形で完成品とレジンキャストキットの両方販売していたこともある。
ハセガワやタミヤ、海外メーカーといったスケールモデル業界ではディテールアップパーツとしてエッチングやレジンパーツ、挽物を販売するだけでなくインジェクションキットに付属させる形で販売する事もある。
また海外メーカーなど別の会社が規格を合わせた改造パーツを勝手に発売しているなどということもある。
「改造パーツやディテールアプップパーツで本体の数倍費やした」なんてのはマニアの間ではあるあるネタとなっている。
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インジェクション バキュームフォーム レジンキャスト メタルキャスト ソフトビニール エッチング ガレキ