「アオシマじゃよ アオシマじゃよ かっかっか」
概要
本社は静岡県静岡市。駿河湾から泳いで5分(公式Twitterのかつてのプロフィールより、もちろんネタである)。
民間飛行士・事業家の青嶋次郎(青島次郎と記載されることもある)が1924年に創業した「青島飛行機研究所」がルーツの模型メーカーで、1935年に設立した動力付き模型飛行機を販売する「青島模型飛行機」を前身として、1961年10月31日に有限会社として現在の社名として設立、1989年に株式会社化された。創業時は静岡市安東(現在の葵区安東)に本社があったが(現在は第二倉庫となっている)、1978年に現在の静岡流通センター内に社屋を建てて現在に至る。
なお、タグとしてはカタカナ表記のアオシマが主流となっている。
古くはアオシマオリジナル『合体ロボット アトランジャー』『古代ロボ ゴダイガー』『合体シャイアード』『合体ロボレイガード』等を始め、艦橋がロボットの上半身というぶっ飛んだ発想の『合体巨艦ヤマト』、合体空母でお馴染みの『宇宙空母レッドホーク』、某宇宙戦艦の影響バリバリな『合体レッドホークヤマト』、そのレッドホークヤマトを旗艦として太平洋戦争中の日本艦を無理やり宇宙戦艦化した(名前だけ受け継いだ、のではない)『レッドホーク連合艦隊』など微妙に胡散臭いプラモで有名。
特に「合体」は同社が商標登録しているだけあって異常なまでのこだわりを見せており、名車ポルシェやカウンタックを容赦無くぶつ切りにしては合体スーパーマシンに再構築したりと「遊べるプラモデル」「おバカプラモデル」を作らせれば右に出るものはいないメーカーである(下記「合体マシン」他参照)。
これは同社の「創造のプラモデル」という、精密さより遊ぶ楽しさを主眼に置いた製品開発の表れとも言える。
乗用車やトラック・バイクや、軍艦の模型の『ウォーターラインシリーズ』などのスケールモデル、『スーパーロボット マッハバロン』、『電人ザボーガー』、『鋼鉄ジーグ』、『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』、『伝説巨神イデオン』、『無敵ロボトライダーG7』、『最強ロボダイオージャ』、『魔境伝説アクロバンチ』、『亜空大作戦スラングル』、『西部警察』、『ゴリラ・警視庁捜査第8班』等のTV作品のプラモデルも多数発売しており、特にデコトラシリーズなどは根強い人気がある。
既存の金型を流用して『頭文字D』等の漫画やドラマ作品に登場する車両のキット発売も行っている。
また、小惑星探査機はやぶさのキットは発売と同時に売り切れが続出する異例の大ヒット商品になった。
製品の質自体はスケールモデルを扱う他社に比べて劣る評価を受ける事もあったが、近年では他社製品に引けを取らない品質を確立し、高評価を受けている。
特にはやぶさと同時期にリリースされた新規設計のスーパーカーシリーズは高価な分、品質も高い。
これらの好評を受けてか売り上げは上々らしく、2016年現在まで安定して新作が出ている。
第一陣であるカウンタックに至っては、まずはLP400から出すという親切仕様である(実車の製造数同様、国内ではLP400のキットは意外と少ない)。
近年ではアトランジャー以来の低年齢向けスナップフィットモデルの伝統を復権させたかのような(SDガンダムが台頭する以前から同社はスナップフィットモデルを生産していた)塗装・接着剤いらずで簡単に組める「楽プラ」こと「ザ・スナップキット」(のちの楽プラ・スナップキット)も登場。初心者への間口を広げる取り組みも見受けられる。
模型界の狂犬
しかし、普通のプラモデルメーカーになったのかと思えばそうでは無いようで…
- 版権萌えキャラがデカデカと描かれた所謂「痛車」を商標登録してプラモをいち早く発売(しかも某ブラウザゲームの新実装キャラを先行公開)。
- 海上自衛隊艦艇関連キットのおまけが突き抜けている。曰く、ミサイル艇には某国不審船や人工衛星ロケットと称する弾道ミサイルを、ひゅうがには運用能力がない(とされている)はずのF-35Bや「離島防衛作戦」と銘打ってのV-22を、そしてそのパッケージの背景には、尖閣諸島と撃沈されたと思しき黒煙を吹き上げた遼寧らしい艦艇が描かれ、いせに至ってはF-35Bのみならずハリアーまで付けてそれらを運用する軽空母の如きパッケージイラストを採用する(架空設定という但し書き付き)というノリの良さである。流石にドン引きされたり怒りを買う事もあるみたいだが…。
- 一歩間違えば誰得にもなりかねない漁船のキットを1/64で発売(タモリ倶楽部で取り上げられた)。
- 例の風俗求人の街宣車のプラモを発売。もちろん当該企業には正式に許諾済み。デザインも3種類のデカールから選べるという入念ぶりであった。更に、荷台が光りBGMが流れるバージョンもメーカー通販限定で発売された。
- まさかの街宣車仕様のデコトラも静岡ホビーショー開催時期に合わせて年に1回のペースでリリースされていた他、新しい元号が決まった2日後に新元号の名の付いたデコトラキットを発表した。
- 旧オオタキ(大滝製作所)で発売されていた430セドリック/グロリアセダンの金型が結局見つからなかったことからついに自社で開発し2013年に発売。スタンダードグレードのタクシーとパトカーのパッケージに至ってはかつてのオオタキの箱絵レイアウトをパク…もとい、リスペクトしたものである。更には、サンバー・プロボックス・JPNタクシーといった他社ではおそらく作らないであろうキットも開発・販売している。
- V.F.G.のように、「マクロスのバルキリーと、美少女とを組み合わせたプラモデル」も発売。他社の某プラモデルシリーズを彷彿とさせるが、2021年には自社のオリジナルロボットである「アトランジャー」を用いた、似たようなコンセプトのキットが発売された。
- たとえ模型・ミニカーでも車体にタバコロゴを入れるのはNGとなっている昨今に、国内販売限定扱いとしてとあるタバコロゴの入った完成品バイクモデルを発売した(ちなみに同車のプラモデルでもロゴを崩した状態のデカールが別売りパーツの中に同梱されている)。
……などなど、突飛な商品展開には未だに定評があり、他社とは一線を画する我が道を行くメーカーである。今は無きコンピューター系情報誌『ネットランナー』の付録となった組み立てキット「中華キャノン」はつとに有名。「模型業界の狂犬」或いは「頭のネジが外れてる会社」と言われている。
それでも昨今はコンプライアンスの事情か、以前よりはおとなしくなってるっぽい…?
合体マシン
アオシマといえば、必ず取り上げられる製品。
ロボットのプラモデルを、頭部・胴体・両腕・両足の四つに分け、その四つの製品を一つに組み合わせる事で一体のロボットになる。
それぞれの製品一つには、翼やマニピュレーターやタイヤなどの予備パーツがあり、これらパーツを用いて独立したマシンになる(頭部パーツの製品は「頭部をそのままマシンに合体」、腕や足を「丸出しで飛行機や戦車などに合体」させていたりしている)。
元々は、「マッハバロン」のプラモを1000円の予定で設計していたのに「1000円商品は他社がやるのでアオシマは500円商品担当」と決まってしまったための苦肉の策であった(ある意味ミニプラのご先祖様である)。しかし、一体の価格が安価な事(全部そろえると2000円と逆に高くなってしまうが)と、はめ込み式での組み立てで簡単に組み上がる事から、当時の児童層からは好評。以後、多くの製品が販売された。
本来のロボットを組んだのち、大量に出る余剰パーツを組み合わせてオリジナルのメカを組む事も可能。さらに、ジョイントが共通のために別製品のロボットやメカ同士も合体させるという遊び方もできた。これには、公式の組み合わせも存在している。
最終作は「亜空大作戦スラングル」。
好評だったため、500円縛りの無い作品も合体マシン化して発売している。更には流行に従い、宇宙戦艦やスーパーカーを輪切りにして合体と言い張り売り出した事もある。
他社の版権作品のみならず、アオシマ自社の作品のメカも同じく発売。
後に作品が終了後、金型を流用し、新製品として発売したものもある(いわゆるリデコやリカラー製品)。代表的なものが「アストロン(ストロングザボーガー」、「ドライガー(マッハバロン)」など。
おやこマシン
同じ形状で、大きさが異なる三種類(「大」「中」「小」)の3体のマシン (戦艦、戦闘機、ロボットなど) がセットされた製品。
「大」に「小(ミニミニマシン) 」を格納できるギミックを持つ。
アオシマのレッドホークのようなオリジナルのコンテンツのみならず、他社の版権作品でも発売された(トライダーG7、イデオン、ダイターン3、アクロバンチ、亜空大作戦スラングルなど)。
当然、元作品の設定には無いが「大型メカの中に同型の小型メカを格納・発進できる」というギミックは当時の子供には人気であり、再販もされた。
メカの格納と発進というギミック自体は、当時も他社製品には存在していたが「スケール違いで同一のメカが、親子のように格納・発進」という独自性は、アオシマならではのアイデアである。
アオシマ鎮守府
ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」は大日本帝国海軍の艦艇を中心にキャラクター化したゲームであるが、艦船模型の一大ジャンルである1/700ウォーターラインシリーズの構成員(タミヤ・ハセガワ・アオシマ)であるアオシマにとって、艦これブームは大きな転機となった。
元々アオシマは艦これから遡る事数年前よりウォーターラインシリーズの自社担当艦リニューアルを次々と進めており、かつてはウォーターラインシリーズのハズレとまで言われていた同社の最新リニューアルキットは精密な再現と作りやすさで好評を博し、既に特シリーズを擁する一人連合艦隊ことフジミ模型との開戦は不可避…もとい、艦船模型業界では一目置かれる存在であった。そこへ当初は期待されていなかった艦これの爆発的ヒットという事態が訪れたのである。これを受けたアオシマの反応は速かった。
ただちにアオシマ鎮守府を開設しウォーターラインシリーズでのこの版権を一本化、各キャラクターに該当する艦船模型を艦これモデルと銘打って売り出したのである。その熱意は自社担当艦船はもちろん、タミヤ・ハセガワ担当の艦船にも艦これスリーブを被せて製品化、あまつさえそれまであまり知られていなかった艦が艦これで人気となった場合にはその艦を新規開発までして送り出すほどである。狂犬過ぎてマイナー艦ファンを救うというわけのわからない事に…いいぞもっとやれ。
他にもアオシマ鎮守府からは艦娘の美少女フィギュア、小物など、艦これグッズ業界の重要な1ポジションを占め続け、ホビーショーではコミケと見まごうばかりの開幕売り切れなどの現象も引き起こした…いいぞもっとやれ。
艦これのプラモデルについての詳細はこちらへ。
同様の事態は「蒼き鋼のアルペジオ」のアニメ化の際も発揮され、ハセガワが担当していた金剛型戦艦や妙高型重巡にわざわざ霧の艦隊仕様の追加パーツを自社で開発して製品化したりもしている。
スケールモデル
なお何かとキャラクターモデルが話題になりがちな同社だが、実在するスケールモデルも多数製品化しており、一定の評価を受けている。
前述した乗用車の他にも1/72スケールで軍用車両(主に陸上自衛隊関連)と航空機(主に大戦機、自衛隊機)、艦船模型は1/700ウォーターラインの他にも1/700フルハル、1/350の大型モデルもかなりの数を出している。
アオシマ艦船模型は前述したとおりしょっちゅうリニューアル・リテイクと称して小改良を繰り返しているのが特徴である。そして近年は改装後の姿やフルハルモデルと称してウォーターラインシリーズのパートナーであるタミヤに喧嘩をふっかけている…???
やはり頭のネジは外れっぱなしのようだ…いいぞもっとやれ。
2016年には自動車・バイクの定番モデルを「ザ☆〇〇」シリーズに統一、2016年にそれまでの「ザ・ベストカー」シリーズや「ザ・スカイライン」「ミニバン」「ザ・RV」などを統一したカタログモデルの国産車(一部外車あり)中心の「ザ☆モデルカー」、「Sパッケージ」や「VIPカー」「ピックアップ」などを統一したカスタム車中心の「ザ☆チューンドカー」を皮切りに、それまで別シリーズで展開されていたバイクやスーパーカーなどがこのシリーズ名に統一変更され、更にはパトカーやハイソカーが新たなシリーズとして加わる他、のちにデコトラシリーズもこれらのシリーズに組み込まれることとなる。これらのシリーズのルーツは80年代に展開されていた「ザ・チューニングカー」シリーズであり、ロゴタイプもこのシリーズのものを流用している。
ちなみに、2021年にはこれらのシリーズ(トラック・バスモデルも含む)を中心とした専門サイトを新たに立ち上げ、新たに自分の好きなナンバープレートを制作できる「ナンバープレートメーカー」を公開した。
メタルフィギュア
1980年代半ば、コンピュータゲームのドラゴンクエストやその原点であるダンジョンズ&ドラゴンズなど中世欧州風のファンタジーゲームのブームが起きた時、TRPGで使用するメタルフィギュアを製造販売していた時期がある。これは当時の国内模型メーカーでは唯一と言っていい。
当初は汎用的なファンタジーのモンスターを製造していたが、ファミコン用に末弥純がデザインしたウィザードリィのモンスターや冒険者を製造した。さらにロードス島戦記のメタルフィギュアも第1部から第3部の登場人物の大半をブリスターパック型式で販売していた。ただしメタルフィギュア自体は模型の中でもマイナーな趣味であり、あまり広まらなかった模様。とはいえ、どれもシリーズの最初の頃はともかく、製造を重ねていくにつれて技術を上げて出来が良くなっていったのはさすがと言うべきか。
カプセル・ミニチュアトイ
近年はカプセルトイにも力を入れており、主に自動車や原付バイクなどを中心に、カプセルトイ向けのキャラクターグッズなども展開している。
2021年にはスーパーなどの客寄せに使われている「呼び込み君」のミニチュアトイも発売。短縮版ながら実際にメロディが流れるようになっている。当初はカプセルトイとしての展開を予定していたが、後にブリスターパックの単品販売に変更されて発売され、翌年には2曲流れる商品も登場した…いいぞもっとやれ。
あおこ
JK風の衣装を身に纏ったアオシマの裏マスコットキャラ。フルネームは青島葵。誕生日は6月16日。主に2頭身版がメインだが、8頭身版もある。
某社のモ子ちゃんに対抗して生み出された…わけではないが、似たような存在と言っても過言ではない。
痛車がブームになっていた2008年頃から「くまぶろぐ」以前にあったキャラクター部ブログに頻繁に登場、09年に発売された「痛車パーツセット」では抱き枕向けの8頭身とクッション向けの2頭身でデカール化され(しかもあられもない姿もある)、以後もイベント限定でグッズ化もされたり、某ニッパー会社とのコラボレーションを果たしている。
アオシマの公式ツイッターは開設以降この名前になっていたが、2022年2月21日のツイートより企業アカウントとして「アオシマ」名義に変更している(ユーザー名である「@aoshimabunka」に変更はない)。
法人として
有限会社時代のキットのパッケージにはほぼ必ず表記されていた「創造のプラモデル」の呼称は有限会社末期時代の頃から目にすることはなくなっていたが、2010年から展開している「バリューデコトラ」シリーズでのみ復活している(シリーズコンセプトとして箱側面に説明として記載されていたが、2015年発売のキットから箱天面にもロゴマークが表記されている)。その後、「ミニデコNEXT」にもこのマークが付記されたが、バリューデコトラからシリーズ替えした「ザ・デコトラ」シリーズには付記されていない。
アオシマのCIマークは法人化された1961年から数回変更されており、平成元年から使われている現行の青地に白で描かれた「A」マーク(実はこのロゴも「AOSHIMA」の文字書体が2000年代に変更されている)や昭和50年~60年代に使われた通称「人型マーク」(こちらも途中で色や社名表記に小変更がある)が有名だが(詳しくはこちらのリンクにあるアオシマHP会社情報の「アオシマロゴの歴史」を参照)、この二つのロゴの間に「Aoshima」というロゴマークも存在していた。※参照 これは有限会社から株式会社に組織改編する数年間(昭和62~平成元年頃)の僅かな期間使われたものであるが、この期間に発売された商品(パッケージや説明書等)には「(有)」の組織表記はされていなく、前述の「アオシマロゴの歴史」にも記されていない。なお、社名のロゴタイプについては昭和40年代辺りから使用されているものを現在も使っている(極稀に漢字表記の社名になることもある)。
1983年頃に当時の社長だった青嶋一郎が「アオシマじゃよ アオシマじゃよ かっかっか」のフレーズで自社のCMに登場していた。現在でもこの「アオシマじゃよ」のフレーズはTwitterのハッシュタグ等で使われている他、このCMをベースにアオシマのキャラプラ部で商品を新アトランジャーに差し替えた多分非公式のCM風動画が作られたが、2021年のアオシマのオールプラスチックモデル商品発売(+現社名への変更)60周年にちなみ、同年の静岡ホビーショー(昨今の「アレ」で2020年は開催中止となり、21年は業者招待日のみで一般公開されていない)に合わせて、現社長の青嶋大輔によるまさかの当時再現リメイクCMがyoutubeにて公開された。ここでも当時のCM同様映像の最後に「創造のプラモデル」の表記がある。
商品ラインナップは当時は西部警察やテクノポリス21c、スポンサーになっていた亜空大作戦スラングルのキットが中心であったが、新作CMでは近年発売された1/24・1/32の自動車キットやデコトラのモデルとなっている。
関連動画
「アオシマじゃよ」CM1983年版
「アオシマじゃよ」CM2021年版
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外部リンク
商品開発ブログ『青島文化のくまぶろぐ』(※リンク切れ)
Twitterアカウント(旧『あおこ』名義だったメインアカウントの他に「くまぶろぐ」閉鎖後に開設された各部門のアカウントが用意されている)
キャラクター部ブログ『アオシマBLOG』(2010年に「くまぶろぐ」へ一本化して更新終了となったが、ブログ自体はくまぶろぐ閉鎖後も残っている)