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ウォーターラインシリーズ

うぉーたーらいんしりーず

ウォーターラインとは喫水線の事である。艦船を水に浮かべたとき水中と水上の境目になる線のことをこう呼ぶ。
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概要編集

上記の水上の部分のみをメーカーの枠を超え企画、1/700でキット化したものが「ウォーターラインシリーズ」であり、長い歴史のあるシリーズ(1971年発足)である。


当初は旧日本海軍の艦艇を統一スケールで揃える事を目的としており、一社での達成が困難な為に静岡模型教材協同組合の参加メーカーの共同企画としてスタートしたが、後には海外の軍用艦や海上自衛隊の所属艦も同じシリーズ内で商品化している。


歴史編集


その当時までの艦船模型は旧ニチモ(日本模型)製品に代表されるように各社が作りたい艦を各社ごとにいくつかのスケール(1/1000、1/800、1/600、1/500、1/350、1/200など、もちろん1/700もあった)で製品化されるのが普通で、有名な艦ばかりが色々な大きさでキット化される傾向があった。

また当時は「艦船模型は水に浮かべて遊ぶ物」という意識が強く、モーターライズ可能なキットが多かったのも特徴で、フルハルのキットが圧倒的に多かった。(もちろん洋上モデルも戦前からちゃんと存在はしていた)

艦船模型は細かい部品がどうしても多くなること、電池やモーターを仕込む必要のあるモーターライズが可能な大きさを基準にしていた関係から軍用機や戦車などに比べると高価なキットが多く、そもそも知名度の低い艦艇の模型など出せるわけも無く、沢山の艦艇を同じスケールで揃えるというのはメーカーにもユーザーにも非常に難しいものであった。


そこでタミヤの偉い人は「価格と難易度を抑えて子供でも買って作れる、卓上で気軽に連合艦隊を再現できるシリーズを複数メーカーで立ち上げよう」と考え、複数メーカーに呼びかけた結果、下記の方針が定まった。

・スケールは戦艦や空母などの大型艦艇でも30cm前後に納まる1/700とする。小さいため戦艦でもそこまで高価にならず、モールドもある程度省略できるので部品点数も少なくなり、より作りやすく安価になる。

・喫水線以下は省略するウォーターライン(洋上)モデルとする。平らな部分にポンと置くだけで洋上の迫力ある姿が再現できる。これによって飾り台も不要になり、更に価格が下げられる。

・参加するメーカーが担当する艦級をあらかじめ決めておくことで負担を分担する。人気艦に複数のメーカーが集中することを防ぎ、できるだけ艦艇の種類を増やすことに注力する。


こうしてウォーターラインシリーズは始まった。

当初の参加メーカーは静岡模型教材協同組合を構成していたタミヤハセガワアオシマフジミ模型の4社。

シリーズ開始にあたって担当する艦はくじ引きで公平に決められたが、大和型戦艦だけは提案したメーカーに…という暗黙の了解はあったようである。

統一スケールでこのシリーズほど多数の製品を発売した企画は他になく、1/700という縮尺比は現在では艦船モデルの一つの標準スケールとして世界的な地位を確立している。


現在の参加模型メーカーはタミヤハセガワアオシマ

企画立ち上げ当初は参加していたフジミ模型が1992年に静岡模型教材協同組合から脱退したのを契機に担当分のキットもシリーズから引き揚げた為、フジミが担当していた艦は残る3社により新規に開発されることとなった。

一方のフジミはウォーターラインシリーズから引き揚げた製品にその後新規開発した製品を加えて「シーウェイモデルシリーズ」として1/700艦船模型を1社で独自に展開していくことになる。


また、模型メーカーのピットロードは1985年頃から1/700スケール艦船モデル「スカイウェーブシリーズ」を独自に立ち上げて参入した。

海外模型メーカーも1/700スケールの艦船模型を多数送り出しており、ウォーターラインシリーズによって現在では1/700スケールは国際標準スケールとなっている。


製品について編集


シリーズ名が表す通り、艦船を喫水線のラインでバッサリとカットして再現した洋上モデルである。そのまま卓上などの平らな面に置くと運用時の浮かんだ状態になるようになっており、当然ながらスクリューと言った水に浸かる部分は省略されている。

ちなみに水面下になる部分までモデル化したものは「フルハルモデル」と呼ばれる。船舶の底は平らではない場合が多く、そのままでは置けないため通常は専用の飾り台に飾るようになっている。


シリーズの特徴は何と言っても圧倒的なラインナップの多さである。大日本帝国海軍の殆どの艦船を網羅し、前述した一部の海外艦、海上自衛隊の艦艇もキット化されている。

複数メーカーによる非常に長期間にわたるシリーズであるため、製品の質・内容はバラツキが多く、同じように売られていても古いキットはどうしても見劣りし勝ちである。

ただし近年になり、各社は古いキットのリニューアルを進めている。流石にあまりにも古いキットは製品の質もさることながら、艦船は古代生物の如く後の調査研究で考証が変わることが多々あり、現在の視点と合わなくなっていくのである。

かつてはハズレ扱いされることもあったアオシマはことリニューアルに熱心で、ウォーターラインシリーズにとどまらない艦船模型ブームを巻き起こしている。


現在はフジミのシーウェイモデルシリーズ、ピットロードのスカイウェーブシリーズ、更に海外メーカーとの競合が激しく、リニューアルされた製品は考証のアップデート以外にも時代に即した精密化、部品数の増加、高価格化が進んでいる。

また後述する「艦これ」などの人気により、コラボではないもののリニューアルの商品化選定に影響があったことをシリーズ参加各社担当が認めている。


近年の展開編集


2013年にスタートしたブラウザゲームである艦隊これくしょんが意外な成功を収め、それまで艦船や模型に興味が無かった層が艦船、艦船模型に触れる機会が増えた。

アオシマはアオシマ鎮守府と銘打ってウォーターラインシリーズでの艦これ版権を統一し、タミヤ、ハセガワ製品も巻き込んだコラボシリーズ「1/700 艦これプラモデルシリーズ」を展開し、キャラクターの描かれた特別仕様の箱や組立て説明書、デカールやエッチングパーツなどを同梱して送り出した。


その他「蒼き鋼のアルペジオ」のアニメ化の際にもウォーターラインシリーズを活用した同様のコラボ商品が発売されている。

変わった所ではウォーターラインシリーズの活用策として、既に販売されている自社製品に、省略されていた喫水線下の艦底を追加したフルハルモデルとして新たに製品化する動きもある。ハセガワとアオシマがいくつかのウォーターラインシリーズの自社製品に対して艦底などを追加したフルハル版を製品化している。(蒼き鋼のアルペジオシリーズにおいてはアオシマは他社の製品までフルハル化したこともある)


近年のアズールレーン戦艦少女等の艦船擬人化作品、はたまたド直球の艦船ゲーム「World of Warships」の人気もあり、今後も注目されるシリーズである。

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