概要
新潟県燕市にある物流センター内に本社を置く新鋭の工具メーカー『ゴッドハンド株式会社』が開発した、熟練の職人達のハンドメイドにより造り出される、ゲートカットに特化した究極のニッパー。
2011年から販売を開始。初期は楽天通販限定商品だったが、幾多のアップデートを経て一般流通となった。
初期は3000円台だったが、現在では実売価格が5000円を越える高級ニッパーと化している。
さらに革製の保護カバー(「ニッパーキャップ」の名称で単品販売あり)が付属品として添付される。
片側だけに刃がついた特殊な構造をしており、非常に切れ味が良く、切刃をパーツに密着させて切断することで、切り出したパーツのゲート処理が最小限(うまくやれば不要)で済み、組み立て工程を大きく短縮できる逸品。
反面、扱いは繊細であり、ランナーやプラ棒など仕様を超えた太さ・硬さのものを切ると簡単に折れてしまう。使い方を理解してニッパーを使い分ける、いわゆる上級者向けの工具となっている。
どのくらいこのニッパーの切断力が異常なのかというと、他の薄刃ニッパーの場合多少はゲートを潰す形で切断するためわずかなクリアランスができるのに対し、アルティメットニッパーはゲートをほとんど潰す事なく的確にそぎ切るためほとんどクリアランスが発生せず、ランナーから直接パーツを切ろうとするとニッパーの刃が切断したパーツとランナーとの間に挟まるという特有の現象が発生するほど。
公式のアナウンスでは「ランナーから直接パーツを切り出す行為」はNGとみなされていないが、アルティメットニッパーを使うと誰もが経験する事態(下手したらこれが原因で刃が折れる危険もある)のため、一度別のニッパーでゲートやランナーを残した状態で切る事が推奨される。
かつては返品可、刃研ぎサービスなどアフターフォローも完備してたが、あまりに売れすぎたため現在はごく限られた条件下でのみアフターフォローがつくようになっている。買うならセールなどのサービスが告知されたタイミング(不定期)が狙い時。
公式通販では刃先が短い、刻印が失敗しているなどの訳あり付きの廉価版も数量限定で販売しているが、当たり外れが激しいためいきなりこれを買うのはおすすめしない。
アルティメットニッパーの姉妹品として、刃をやや厚めにすることで切れ味を少々犠牲にして、その分耐久性を重視した(それでも通常の薄刃ニッパーと比べても切れ味は良い)「ブレードワンニッパー」や手の小さな子どもにフィットする大きさでブレードワン同様の切れ味を持つ「こどものニッパー」、刃の厚さや耐久性は通常のニッパー同様でありながらよりワンランク上の切れ味を持つ「普通のニッパー(一時期ケロロニッパーとして売り出していたものの普及版)」も発売している。
2024年10月にはアルティメットニッパーをさらに超える切れ味を持つ「ライトニングニッパー」が公式通販で先行発売(一般流通は2025年5月を予定)。
アルティメットニッパーよりも刃がさらに薄い”超”超極薄片刃構造で、通常のゲートなら殆ど力を入れなくてもヌルっと切ることができる。
切り口がアルティメットニッパー以上に綺麗になるがその分扱いはより慎重さを求められ、切断能力はアルティメットニッパーの半分の直径1.5mm以下、クリアパーツなどの硬い素材は切断不可という、事実上の二度切り専用ニッパー。
公式でも「片刃経験者向け」「自信がある人のみお使いください」と注意喚起するほどであり、誤った使い方をすれば即刃がお亡くなりになる。
値段も7000円超えという超高級ニッパーである。
ライバル
長らく革命的なニッパーとして頂点に君臨していたが、福岡県のbonds社から「ヌルっと切れる片刃ニッパー」と呼ばれる刺客が登場。ちなみにbonds社は別に工具専門店ではなく、美容・フィットネス商品をメインで売るベンチャー企業といったところ。
その正体はプラモに熱心なスタッフのいるbonds社が厳選して仕入れた中国製のデッドコピーをbonds国内工場で研ぎ直したもの。
ただしデッドコピーとは言えどアルティメットニッパーと遜色ない切れ味(厳密にはほんのわずか劣る)を持ち、他のニッパーに圧倒的な差を付けて追随を許さないのは変わらない。それでいてアルティメットニッパー以上の薄刃の強度と常に手に入るほどの生産ラインの強さ、5000円以内で買える価格の安さを誇る。
いかんせんアルティメットニッパーが職人となる人材育成の問題から高額化が進んでいる上、生産数も少なく転売ヤーにも狙われやすく入手しづらいのもあって、モデラーの間では入手しやすいこちらの方が主流になりつつある(そもそもbonds社がこれを仕入れたきっかけ自体、優秀な片薄刃ニッパーが入手しづらい現状をスタッフが嘆き、「ならば、自分たちで供給すればいい」と判断したことから始まっている)。国内で研ぎ直しているとはいえ、中国の模倣品=呆れるほど酷いというそれまでの概念を覆すような宿敵である。
現在ではヌルっとニッパーに続けと言わんばかりにaurochsなどと言った工具メーカーも片薄刃ニッパーを発売しているが、ヌルっとニッパーほどの切れ味を持つニッパーはそうそうないようだ。
2020年代に入るとCOVID-19によるプラモデルの巣籠り需要からこちらも買い占めや転売が相次ぐようになり、コスト高騰からアルティメットニッパーと大差ない値段に値上がりしてしまった。
さらにアルティメットニッパーの生産ラインが再び安定化したことで市場にも出回りやすくなり、現在ではアルティメットニッパーの方が入手しやすくなっているという逆転現象が発生してしまった。
通信販売専用品
2018年現在、通販限定で以下の派生商品が販売されている。
いずれも少数ロットでの生産、かつ再生産のインターバルも長いと思われ、当然いつでも入手できるとは限らないので、欲しい人はHPをまめにチェックすることをお勧めする。
アルティメットニッパー スリム /スリムSS /スリムSSS
細かいパーツが密集しているなど、(アルティメットニッパーでは鬼門である)刃先でしか切れないような狭い箇所に刃を入れることが出来るように、刃の付け根を細く、また刃先を短くした製品である。刃長により3種類が存在する。
アルティメットニッパータフ
スリムとは逆に、通常品より付け根がやや広くなった仕様である。
刃の破損が気になる人は、こちら(または、前述のブレードワンニッパー)を購入するといいかもしれない。(それでも通常品同様に慎重な取り扱いが必要と思われるが)
アルティメットニッパークラシック
アルティメットニッパーの初期の仕様である、先細刃を再現した復刻版である。
元々の仕様である先細刃は先端を折損するユーザーが多かったため、マイナーチェンジで徐々に刃長を短くした経緯がある。しかし、マニアックなユーザーの中には元々の先細刃を求める声があり、メーカーがその声に応えたものである。
当然ながらその取り扱いは極めて慎重を要し(先端の切断能力は直径1mm以下)、素人が安易に扱うと間違いなく泣きを見ることになる。
左手用 アルティメットニッパー
切刃とまな板刃が通常版とは左右逆向きの、いわゆる「左利き」用のアルティメットニッパーである。
しかしパーツとゲートの位置や向きによっては、右利き用の「通常版」ではパーツの保持や、片刃ニッパー特有の「密着切り」がやり辛いことがある。そのような状況では、刃の左右が逆の方が使いやすいことも多く、右利きの人が購入しても時にその真価を発揮する、「持っていれば便利な工具」の一つといえるだろう。
尤も、片刃ニッパー自体が「ガチのマニア向け」の商品であるのだが……
ニパ子
アルティメットニッパーの擬人化キャラクターにしてゴッドハンド株式会社の公式応援キャラクター。
同社のニッパーの販促だけでなく『project NIPAKO』と銘打って独自のキャラクターとしての活動を行っていた。
そのフリーダムっぷりからTwitterでも大人気だったが、諸般の事情により、2020年8月31日をもってコンテンツ展開を終了した。
これにより『project NIPAKO』も解散となったが、
商品展開が出来なくなっただけで、アルティメットニッパーの販促用キャラクターとしての役割は継続している。
関連タグ
ゴッドハンド株式会社:アルティメットニッパーの製造と販売をする企業。2010年に親会社の株式会社ツノダより独立して創業した。
燕市:ゴッドハンド株式会社の本社所在地。社屋はかつて親会社である工具製造メーカーの株式会社ツノダの敷地内にあったが、現在は燕市物流センターへと移転している。よく本社の所在地が隣接する三条市と間違えられるのだが、これは燕市と三条市が「新潟県燕三条地区」と世間から纏めて呼ばれているせい。
コトブキヤ:共に組んで「コトブキニッパー」を開発。アニメ「フレームアームズ・ガール」にも登場し、こちらもゴッドハンド公認である。後にケロロニッパーを経て普通のニッパーの原型となった。
ラブライブ!:格下モデルの「ブレードワンニッパー」が、バンダイの胸像プラモ「フィギュアライズバスト」の発売に合せてコラボ。グリップが各キャラのイメージカラーになっている。その後バンダイブランドで発売開始した「ビルドアップニッパー」は「普通のニッパー」同様の両刃ニッパーとなっている。ただし製造元はゴッドハンドではなく(ネジザウルスで有名な)エンジニア製である。
魔法科高校の劣等生:映画に合わせて何故かコラボ(グリップは黒)。なお本作の立体化商品は完成品ばかりでプラモは存在しない。
青島文化教材社(アオシマ):アオシマのマスコットキャラ「あおこ」とコラボ。子供向けニッパー「こどものニッパー」をベースとした「あおこのニッパー」が発売された。本体に青色で青髪を表現したあおこの顔の彫刻が入るが、それを彫刻したレーザー彫刻機が当時最新の機種で、「あおこのニッパー」はその第1号商品となった。パッケージはニパ子に肩車するあおこのイラストが描かれ、こどものニッパーの「こども」をボールペンみたいなもので塗り潰して、手書きで「あおこ」に書き換える表現のパッケージとなっていた。その後パッケージのみ変更の第2弾も発売され、こちらはニッパーを持ってニパ子を追いかけるあおこの姿が描かれている。