概要
鋳造(英:Casting)とは、材料となる金属を加熱して溶解し、砂やより融点の高い金属で作った鋳型に流し込んで冷やし固め、任意の形状に成形する加工方法である。
メソポタミアでは紀元前3600年頃から行われていたとされ、金属の加工方法の中ではかなり長い歴史をもつ。
特色
同じく成形を目的とした加工方法である切削や鍛造と比べると、
- 形状が複雑な製品
- 同一形状の製品の大量生産
- ごく大型の構造体
などを比較的低コスト作ることができる。
例えば自動車のエンジンのシリンダブロックやデファレンシャルギア・トランスミッションのケース、マンホールの開口部や蓋、近代より前の硬貨などがこれにあたる。
また、大型の構造体の例では教会や寺院の鐘、銅像や大仏、船舶のエンジン部品やスクリューなどが有名である。
その反面、品質管理が難しく、特に軽さと強度の両立が要求される品物は苦手で、形状次第では切削(削り出し)や鍛造など他の加工方法がより適している場合がある。
これは、
- 金属を溶かすため不純物が内部に混入しやすい
- (特に砂で作る鋳型に多い)鋳型内で発生したガスが製品内に入り込む(上記とこれが巣と呼ばれる不良である)
- 溶けた金属が鋳型に流し込む際に型に十分に行き渡らない
などの製造不良が生じやすく、また鋳造に使われる金属(合金)そのものも、同種で他の加工法に使われる合金と比べると硬さはあるが強靭さ(粘り強さ)が劣る傾向にあるためである。
加えて寸法管理が難しく、溶けた金属が冷え固まる時点で温度が下がるため収縮し(つまり設計通りの寸法にはならない)、冷え固まる際には全体が均一に冷えるわけではないため熱い場所と冷えた場所との間で歪みが生じ、長い時間が経過すると勝手に変形してしまう場合もある。