ゼーレ
ぜーれ
概要
太古より世界を裏から支配していると云われる秘密結社。国連を隠れ蓑に活動しており、最終目的である人類補完計画を遂行させるべく、秘密機関である人類補完委員会を通じてNERVに指令を下している。
使徒に関する予言が書かれているとされる「裏死海文書」を所持し、それを元に作成した百年単位の遠大なシナリオに沿って行動している。
15年前の世界規模の大災害・セカンドインパクトはそのシナリオに従い彼等の手で人為的に引き起こされたものであり、劇中で繰り広げられるEVAと使徒との死闘の数々も、基本的には全て彼等のシナリオを進めさせるための過程に過ぎない。
意志決定会議に参加する最高幹部メンバーは12人。その首魁は人類補完委員会議長でもあるキール・ローレンツで、幹部メンバーにも補完委員会の議員が含まれている。
会議はモノリスをアイコンとしたホログラムを介し、音声のみで行われる。TVアニメ版における冬月への尋問時は、キール以外のメンバーの声は変声機を用いたものであったが、次回以降は使用されていない。また、旧劇場版と漫画版での補完計画発動時は、途中からキールのみ姿を見せている。
なお、メンバーの人数についてだが、脚本や漫画版では13人と記述されていたり、話によっては15個のモノリスが描かれていたりと、製作者側でもやや設定が混乱している模様。
ゼーレのシンボルは「逆三角形に七つの目」を配した図案であり、二等辺三角形の逆三角形に正面向かって左に3つ、右に4つの目玉が描かれた紋章である。ネルフ本部最深部ターミナルドグマのリリスに着けられた仮面にはこれが用いられている。この図案にいかなる意味があるかは諸説有り定かでないが、有力説としては『ヨハネの黙示録』第五章六節にある「黙示録の仔羊」に由来するというものがある。
近年付与された設定によれば、元々は中世暗黒期に誕生した宗教団体を母体としており、1900年代中頃に最後の抵抗勢力を叩き潰して現在の地位を得たらしい。ちなみに、脚本段階では実在する死海文書を残したユダヤ教エッセネ派の一支流に連なるとの設定があったが、放送コードに対する配慮により、本編では削除されている。
新劇場版
新劇場版ではメンバーの数が7人に減っている。
また出渕裕の手によってシンボルマークが改められ、従来の7つの目に「知恵の実」とされるリンゴと、イヴにそれを食すよう唆したヘビが加えられ、マークの中心にはフリードリヒ・フォン・シラーの詩「歓喜に寄せて」(第九の歌詞の原詩)の一節、"Überm Sternenzelt richtet Gott, wie wir gerichtet."(星空の上で神が裁く、我等がどう裁いたかを)が書かれている。
新劇場版においては、人類補完計画を遂行する組織と言う点以外では、設定が大きく組み変わっている。特に『Q』の描写においてそれは顕著で、まず、新劇場版でのゼーレのメンバーは既に肉体を捨てた存在であるらしく、モノリスのアイコンそれ自体が高性能なコンピューターとなっており、そこに意識や精神を移植していると思しき描写が存在する。
この設定の為か、新劇場版にゼーレのメンバーの人間としての姿はキールを含めて一切描写されておらず、『Q』において碇ゲンドウと冬月コウゾウによってモノリスの電源を落とされたことを最後に、出番は一切存在しない。
何より、旧エヴァにおいては最終的に武力行使に至るほど碇ゲンドウと深刻な対立関係にあったのに対して、『Q』においては人類補完計画の後釜を託した末に、ゲンドウに感謝の言葉と共に自らの命脈を絶たせていることから、少なくとも『Q』の段階ではゲンドウと和解し、自分たちの存在意義すらも託すほどに強く信頼している。
ゼーレ達が退場した後にゲンドウが起こした人類補完計画においては、「ほとんどがゼーレのシナリオ通り」と口にされたことから、残った他の要素で起こせることはよほどのことでも無い限りはゼーレのシナリオ通りに進行するほどに道筋が整っていたとも言える。
ゼーレが人類補完計画を進めた真意は、世界にはたった二つの道しか定まっていなかったため。使徒に人類が滅ぼされるか、人類が使徒を滅ぼした後に人類自身の手で人類を終わらすか。ゼーレはあくまで後者を選んだに過ぎず、せめてものマシな道としての儚き神へのレジスタンスであった。