概要
ゴジラシリーズにおけるゴジラの漢字表記として定義されている単語。
シリーズを通して“作品内におけるゴジラの名前の語源”という設定としてよく使われている。
元はと言うと1954年公開の『ゴジラ』において、小笠原諸島にあるとされる架空の島“大戸島”に伝わる伝説の怪物あるいは神獣の名を指す言葉である。
その伝承によると「呉爾羅は普段は海底で眠っているが、一度目覚めると近海の生物を食い尽くし、やがては陸に上って人を襲うようになる」と伝えられており、そのためかつて大戸島では不漁になるとそれを呉爾羅復活の兆しと見なし、呉爾羅への生贄として嫁入り前の娘を筏に乗せて海に流していたと語られている。
現代では既にその存在は迷信扱いされ、生贄の風習もとうに廃れているが、この呉爾羅を奉るための神楽踊りだけはいまだに残っていた。
大戸島で起こった巨大生物災害の調査に向かった古代生物学者の山根恭平が島でその生物の存在を確認し、後の発表においてその生物を島の伝承にある“呉爾羅”をカナ読みした「ゴジラ」と呼称するとしたことがそのままゴジラという名前の由来になった。
その後の『シン・ゴジラ』やアニメ映画『GODZILLA三部作』、果てはハリウッドのレジェンダリー版『GODZILLA』など、例え初代と直接世界観がつながっていない作品であっても“大戸島の呉爾羅伝説”がゴジラの名前の元になったという設定は概ね共通している。そのことから初代ゴジラが存在しない世界だったとしても「大戸島の呉爾羅伝説は存在する」という一種のパラレル設定にもなっている。
一部のファンの間では“後に水爆実験でゴジラと化した古代生物の生き残り”と言われる“海棲爬虫類と陸上獣類の中間種”および“白亜紀の獣脚類恐竜”が大戸島の島民にたまたま目撃され、それが島における呉爾羅伝説のルーツになったという解釈もなされている。しかし、どちらにおいても大戸島とゴジラの前身となる古代生物が生息していた南太平洋地域とでは地理的に大きな隔絶があるため、同一の存在とは考えにくいとしている書籍もある(小学館『決定版 ゴジラ入門』など)。
2021年配信(放送)の『ゴジラS.P』では、新たに千葉県逃尾市の"ミサキオク"に伝わる伝承に出る終末の獣「古史羅」という表記になっている。
一見すると「こしら」と読みそうであり、劇中の登場人物も最初はそう読んでいたが、実際は従来通り「ごじら」である模様。
従来の「呉爾羅」表記も現れるのか、古史羅と表記されている理由などが注目されている。
ちなみにゴジラの中国語表記は“哥斯拉”である。