概要
USBポートに接続し、データの読み書きができるデバイス。記憶素子にはフラッシュメモリが使用されている。
これをパソコン(WindowsXP以降)に接続すると、OSからは取り外しの可能な大容量記憶装置として認識される。
2000年頃に登場し、その使い勝手の良さからフロッピーディスクやZIPを駆逐した。初期のものでは8~64MBのものが普通で、1GB以上のものは数万円することもざらであったが、当時ですら容量の少なさ(1.44MB)から陳腐化しつつあったフロッピーディスクの代替としては十分であった。
最近ではフラッシュメモリの低価格化により、安いものでは32GBで1,000円を下回るまでに値下がりが進んでいる。反対に容量が1GB未満の製品はもはやほとんど売っていない。
汎用性と使い勝手に優れ、パソコン以外の電子機器でもメモリーカードと同様に記憶媒体として広く用いられている。
スマートフォンが広く普及してきた近年では、MicroUSBやLightning端子、USB-TypeC端子に対応した製品も登場。これによってわざわざ別のリーダーを用意する事なくデータをやりとりすることが可能になった。
構造に伴う意匠
USBメモリは多くの機種がUSBコネクタに蓋をして保護しているため、イラストのようなネタがつきもの。ただしスライド式など別の方法を用いて保護している機種も増えてきてはいる。
注意点
USBメモリは安価かつ入手しやすいために頻繁に利用されているが、暗号化やウィルス対策などが施されておらずセキュリティ対策が甘いものも多い。また、物自体が小さいため紛失のリスクも高い。
万が一、紛失したり盗難の被害に遭ったりした場合、情報漏えいの危険性がある。またUSBメモリを感染路とするPCへのウイルス感染などの被害も実際に起きている。
また、企業の従業員や教員がUSBメモリを紛失したことによって個人情報や機密情報が流失してしまいニュースになることも少なくない。
しかしながら、近年では多くの企業で対策が取られており、そもそもUSBメモリの使用が禁止されていたり、利用できる場合であっても社内のパソコンで私物のUSBメモリが動かないように設定されていたりすることも多い。
万が一私物のUSBを仕事上用いる必要がある場合は、紛失に備えて暗号化やウィルス対策機能が付いたものを利用することが望ましい。
また、社会人でなくても個人情報や趣味嗜好の入ったUSBメモリーが他人の手に渡った際には悪用される可能性のあることを忘れてはいけない。
↓参考までに(外部リンク)
一応付け足しておくが、USBメモリを装着してもパソコン本体の「内蔵メモリ」(RAM)の容量が増えるわけではない。質問サイトなどでは『パソコンのメモリ不足を解消するにはUSBメモリを装着すればいい』といった回答が見受けられるが、「内蔵メモリ」と「USBメモリ」は別物なので、パソコンのメモリ不足を解消するなら該当するメモリを購入して増設するしかない。
WindowsVistaからは「Ready Boost」の機能によって、USBメモリの記録容量の一部をメモリの代わりとして処理速度を上げることが可能になったが、効果を体感できるかどうかは製品とOSの組み合わせ次第である。
当然のごとく、XPでReady Boostを使わせろという客も出てきたことから同等の機能を有したソフトも販売されている。
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最近ではUSB端子の挿入口が、テレビやプリンター、コンポなどにも搭載されている。そのためそれぞれの機器で読み込み可能なファイルをメモリ内に保存しておけば、その機器でファイルを用いることができる。
ご先祖様
USBメモリの登場や、またUSBバス規格そのものが登場する以前は、主にノートPCや高機能の計測機器向けにPCカードスロット用のSRAMカードやリニアフラッシュカードが使用されていた。
現在ではUSBメモリ含むフラッシュメモリデバイスやその他の大容量記憶媒体が登場しているため、ほとんど使われておらずOSからのサポートもない。そのため現在は過去の資産を使う必要のある業務などで使われているのみ。
ちなみに、SRAMは電源がなければ当然情報を保てないため、昔のゲーム機のカートリッジの様にバッテリーバックアップによってデータを保持していた。ただ、ゲーム機のカートリッジとは異なり、ユーザーが任意に電池交換可能な構造になっている。
派生品
試作・学習向けマイコンボードではプログラムROMへのデータ書き込みを簡単にするために、USBメモリとしてOSに認識されるように作られているものもある。有名な例だとARM社のMbed(公式サイト)やBBCのmicro:bit(公式サイト)がこの方法でプログラムROMへの書き込みを行う。ただし、これらは実行するプログラムをマイコンへ転送するのが目的であるため、プログラムファイル以外は書き込もうとしても受け付けない、プログラムROMへの書き込み終了後プログラムファイルがドライブ上から消える、同じく書き込み終了後にアンマウントが自動で行われるといった動作の差異がある。