概要
オオクニヌシの嫡妻(正妻)で、『古事記』では須勢理毘売命(すせりびめのみこと)、須世理毘売(すせりびめ)とも表記され、『先代旧事本紀』では須勢理姫命(すせりひめのみこと)、須勢理姫(すせりひめ)、須勢理姫神(すせりひめのかみ)として、『出雲国風土記』では和加須世理比売命(わかすせりひめのみこと)の名で表記される。
スサノオの娘で、元々は父と共に「根堅州国(ねのかたすくに)」に住んでいたが、ある日、八十神から逃れて来たオオクニヌシに出会い、一目惚れした彼女はすぐさま結婚。
その後スサノオが家に帰って来たので、父にオオクニヌシを紹介し、2人の結婚を知ったスサノオはオオクニヌシを蛇がひしめく部屋やムカデやハチが蠢く部屋に寝かせたり、野原で放った矢をオオクニヌシに取りに行かせた上で、その間に野原に火を放つ等々、様々な方法でオオクニヌシが娘の婿に相応しかどうかを試したが、娘のスセリビメやネズミの助力でこれらの試練を次々にクリアする。
そして最後の試練としてスサノオはオオクニヌシに自分の頭の虱を取るように命じ、早速オオクニヌシはそれに従おうとするが、実際にいたのは虱などではなく無数のムカデであった。しかし機転を利かせたスセリビメが渡してくれた木の実と粘土をオオクニヌシが齧り、それらを吐き出すと、スサノオはオオクニヌシがムカデを嚙み潰して吐き出しているのだと思い込み、彼の度胸と胆力に感心すると安心して眠ってしまった。
オオクニヌシはこの隙にスサノオの髪の毛を柱に結わい付け、扉を大石で塞いで生大刀と生弓矢と天詔琴を持ってスセリビメを伴って逃げ出した。
目が覚め、その事に気付いたスサノオは慌てて2人を追うも結局追いつけず、2人の中を認め、娘を嫡妻とせよといって見送ったという。
なお、スセリビメは父親の荒い気性を受け継いでいるのか、オオクニヌシに尽くす女神である一方、大変嫉妬深い一面を持っており、彼女と結ばれる前に結婚していたヤカミヒメは彼女を恐れて子供の木俣神を残して故郷に帰ってしまったり、ヌナカワヒメの下に夫が妻問いに行ったことに対して激しく嫉妬した為、困惑したヌナカワヒメが大倭国に逃れようとしたので、それを留める歌を贈り、2柱は仲睦まじい関係となったなどの逸話がある。