概要
『響け!ユーフォニアム』の主人公・黄前久美子と、その2学年上の先輩・田中あすかのコンビ・カップリング。二人は北宇治高校吹奏楽部の低音パートでユーフォニアムを演奏している。
あすかは久美子を「黄前ちゃん」(原作小説では「久美子ちゃん」)と呼び、対する久美子は「あすか先輩」と呼んでいる。劇中においてこの二人の親交は非常に多く、中でも久美子はあすかの大胆な言動に牛耳られている。久美子の、あすかへの第一印象は「怖い顔をした女子生徒」。(原作1巻、11・35ページ)。劇場版第2作目『届けたいメロディ』では、この二人が主役として大きく描かれている。
特にあすかは茶目っ気のある賑やかな振舞いによって周囲を振り回すことも多く、久美子もしばしば巻き込まれて呆れているものの、副部長としての卓越した掌握術とユーフォニアム奏者としての天賦の技量を併せ持つあすかの姿は、久美子の目に「特別」なものとして映っている(第二楽章前編、31ページ、最終楽章前編、215ページ、279ページ)。同時に久美子は、物事や人間関係などの情勢に達観し、分厚い仮面の下に底の知れない本性を秘めているあすかの追及に若干の苦手意識を抱いてもいる。(最終楽章後編、304ページ、TVアニメ版2期13話)。
豊富な楽器経験を持つ久美子に信頼を置いているあすかは、トランペットパートのソリストの問題や傘木希美の部活復帰を巡る騒動、そしてあすかに退部の危機が迫ってきたときなどに、しばしばあすかは久美子とふたりきりの状況を作り、自論や本心を打ち明けている。その過程において、あすかの秘める本当の想いに触れることになった久美子は、現実を受け入れて退部を認めようとするあすかを強い一心のもとに引き止め、結果としてあすかの吹部復帰に大きく貢献するに至っている。(原作3巻、264~268ページ、TVアニメ版2期10話)。
コンクールシーズンを通した一連の活動のなかで久美子と本心を打ち明け合ったあすかは、卒業式の日に自身のこれまでのユーフォニアム奏者としてのすべてを代弁する曲「響け!ユーフォニアム」の譜面を書き留めたノートを久美子に託す(原作3巻、378~382ページ、TVアニメ版2期13話)。そしてその曲を通してあすかの想いを受け継いだ久美子は、「北宇治でいちばんのユーフォニアム奏者」としての自負のもとに更なる飛躍へと勤しんでいくことになる。
経緯
小学生の頃から楽器を続け、ある程度の実力と経験を兼ね備えている久美子に対してあすかは一目置いており、あすかはしばしば久美子とふたりきりになった際に仮面の下に忍ばせた本心をちらつかせている(TVアニメ版1期10話、1期13話、2期4話)一方の久美子は、あすかのノリのいい振舞いに若干の苦手意識を覚えることもあるものの、卓越した実力を持つ演奏者としてのあすかの姿に強い憧れを抱いており、「あんなふうに吹けるようになりたい」「久美子にとって、あの音楽は特別だった」等と、高校生活の始終を通してあすかの背中を追いかけるようになる。
吹奏楽コンクール全国大会への出場を控えるなか、吹奏楽部があすかの退部騒動によって大きく揺れ動いた際には、あすかは久美子を自宅へと誘い、自身の生い立ちやコンクールに対する本心を明らかにしている。そしてその後日、姉・麻美子との和解を経て想いを新たにした久美子は、あすかに対して本気の説得を行い、結果としてあすかの部活復帰に大きく貢献することとなる。(TVアニメ版2期9話~2期10話)
全国大会では惜しくも同賞に終わったものの、審査員の一人だった実の父親・進藤正和から顧問の滝昇を通じてユーフォニアムの演奏を賞賛する言葉を受け取ったあすかは、これまで一度たりとも見せたことのなかった屈託のない笑みを浮かべながら「やったぁ! ユーフォ褒められちゃったぁ!!」と喜びながら、久美子を強く抱きしめている。(原作3巻、369~373ページ、TVアニメ版2期12話)
卒業式の当日、卒業生の代表として答辞を述べたあすかは、その後の在校生との懇談に顔を出すこともなくひとりで母校を去ろうとしていた。そんなあすかを捕まえた後輩の久美子は、”恋の相談”と称してこれまであすかに抱いていた想いを打ち明ける。いつも本心を見せずに見下したような態度をとるあすかに苦手意識を抱きつつも、その美しいユーフォニアムの音色にいままでずっと憧れ続けていたと語る久美子に、あすかは鞄から取り出した一冊のノートを渡す。そのノートが示すものが何であるかを悟り、「さよならって言いたくないです!」と涙を浮かべて詰め寄る久美子に、「じゃあ、言わない」と笑みを浮かべながら通り過ぎたあすかは、向き直りざまに「またね!」の力強い一言を残して立ち去っていった。あとに残された久美子は、静寂のなかであすかから託されたそのノートを開く。そこで久美子は、かつてあすかが自分の前で奏でてくれた曲と、その曲につけられた題名を初めて知ることとなる。 進藤正和があすかに託し、あすかが久美子へと託したユーフォニアムの独奏曲『響け!ユーフォニアム』。その題名に込められた誇りを受け継いだ久美子は、これから始まる新たな一年間へと踏み出していくこととなる。(原作3巻、374~382ページ、TVアニメ版2期13話)
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あすかの卒業式の日