最も暗く、最も穢れた場所に蔓延り、凋落と絶望の中に栄え、平和や希望、幸福を辺りの空気から吸い取る。
概要
ウィザーディング・ワールドに登場する闇の生物。腐敗した灰色の肌で、黒いローブを常に被っている。浮遊しながら辺りに冷気を放つ。
人間の幸福感が餌であり、ディメンターが近くにいるだけで普通の人間は絶望と憂鬱に苛まれる。(過去のトラウマがフラッシュバックすることもある) また、顔を覆うローブを脱ぎ「キス」を行うことで、人間の魂そのものを吸収することができる。これを行われた人間は抜け殻になり、廃人同様になることが作中で示唆されている。
普段は魔法省に協力し北海の牢獄アズカバンで看守を行なっている。魔法族がアズカバンを恐れるのはディメンターの存在が大きい。このように、言葉を交わす描写はないが人間との交流がある程度可能なようである。ただし、決して人に忠実ではなく、自分の餌となる人間が差し出されなかったり、相手が守護霊により防衛されていなかった場合は容赦なく牙を剥く。
ディメンターが闇の生物と考えられている理由、それはこのような危険性だけでなく闇の魔法使いとの親和性にある。闇の魔法使いは守護霊なしでディメンターと共存することができる。(闇の魔法使いは例外を除いて守護霊を出せない或いは出さない) 実際にヴォルデモート復活後はディメンターは死喰い人に協力していた。ヴォルデモートいわくディメンターは「生来我らの仲間」であるらしい。
どのように繁殖するのか、寿命があるのかなど生態は謎に包まれている。「幸せな思い出の結晶」である守護霊によって退去させられることはあっても完全に死ぬことはない。作者いわく鬱がモチーフなので、人に心がある限りこの世界から去ることはないのかもしれない。
アズカバンが北にあること、シリウスが4巻で南方に逃げていたことから、南や暖かい所ではあまり活動できない可能性がある。(うつ病も日照時間と関係がある)
まぁ、熱帯地域にはレジフォールドという吸魂鬼の近縁種が存在するのだが……。
ちなみにマグルには視認できない。ただしそれでも感情や魂を吸われる。ヴォルデモート復活後はマグルの世界にもディメンターが溢れ、原因不明の異常な霧と寒さ、そして人々のパニックが継続していた。
ホグワーツの戦いの後はキングズリー・シャックルボルト魔法大臣のもとアズカバンの看守の任を解かれ、人間が人間の看守をするようになる。これはアルバス・ダンブルドアの悲願でもあった。
正体と歴史
闇の魔術師エクリジスが創造した生命体であると言われている。エクリジスは北海の孤島アズカバン要塞で魔法使いやマグルを対象に残虐極まりない暴力・人体実験を繰り返した。
そしてエクリジスの死後、調査部隊が要塞の中で見た最も恐ろしいものが、人の魂を吸う鬼たちだったのである。
ダモクレス・ロウル魔法大臣はその要塞の堅牢さとディメンターを恐ろしさを見込んで、アズカバンは監獄として使用することを決定。ディメンターを看守とする政策を打ち出したのである。後の大臣であるエルドリッチ・ディゴリーは囚人たちが味わった恐怖と狂気を目の当たりにし衝撃を受けアズカバンを改革しようとした。しかし、「ディメンターを開放すればイギリス本島に攻めてくる」などといった反対意見にあい挫折した。
「キス」
「キス」を受けた魂がどうなるのかは不明。読者の間では「吸魂鬼に魂を吸われた人間は新しい吸魂鬼となる」と考察されることも多いが、これは公式設定ではなく原作でも裏設定でも言われてない。
(ただし、リーマス・ルーピンは「吸魂鬼には魂が存在せず、キスを受けた人間もまた同様に魂を失う」と語っている。)
ただ、ウィザーディング・ワールドにおいてゴーストになるには魂が必要であるとされているため、吸魂鬼の被害者は現世に痕跡を残すことは不可能であることは確かである。その点では彼の末路と似ている。