超光戦士シャンゼリオン
ちょうこうせんししゃんぜりおん
概要
東映が制作した単発ヒーロー作品。全身が透明素材で出来ているインパクトのあるデザインのシャンゼリオンにまず目が行くが、何よりの特徴は特撮ヒーローにあるまじき抱腹絶倒ギャグ&不条理展開である。
元々は「人造人間ハカイダー」のテレビシリーズとして企画されたが、新放送枠に向けてオリジナル作になった。セガがスポンサーとなる事で、セガサターンのCDがデザインモチーフの一つとして取り込まれている(作中でもバーチャファイターで遊んでるシーンがある)。
なお前番組は『愛天使伝説ウェディングピーチ』、後番組は『赤ちゃんと僕 第3クール』という放送期間の前後が少女向けアニメに挟まれた状況というガチな意味での単発特撮枠でもあった。
なおテレ東夕方アニメ枠の同期となった放送直後枠は前期(10月まで)が『VS騎士ラムネ&40炎』で後期(10月以降)が『超者ライディーン』。
人はイイがダメ要素の方が遙かに強い主人公・涼村暁を始め、敵味方共にやたらとアクの強いキャラクターがそろっており、視聴者の予想の斜め上を行くストーリー展開の数々を披露した。
特に後半の展開は最早筆舌に尽くしがたい展開のオンパレード。
- 怪人の方が主人公に、正当ヒーローらしく戦って自分を倒してくれと説教してくる。
- 「番組の途中ですがニュースです」という報告が入り、ニュース番組が始まってしまう(フィクションです)。この嘘ニュース番組が取材してる片隅でシャンゼリオンが怪人と戦ってる。
- 物語中盤からヒロインが交代する。
- 東京都知事選挙〜東京国独立宣言。
- 最終回の解釈次第では、悪の組織に完全敗北してしまう。
そのため、放送終了後もカルト的な人気を誇っている怪作である。
製作体制では野心的な試みが多数取り入れられている。透明素材を多用したヒーロースーツ、東映特撮初のビデオ撮影(ただし超光騎士の発進・変形シーンはフィルム撮影)、これらのノウハウや人脈は後に平成ライダーにも活かされる事になった。
テレビ放映は、企画書では1年間の予定と記載されていたが、後に3クール(39話)で短縮され敵を倒さないまま完結した。公式書籍『シャンゼリオンバイブル』によると、打ち切りではなく3クール目以降の契約更新をしなかった為としている。
ただ敵を倒さないままの最終回については短縮が決定する以前から構想があったようで、東映の公式サイトでも「他の終わり方は考えられませんでした。」と、それを窺わせる記述が残されている。
ちなみに当初の予定通り1年放送ならばシャンゼリオン2号機「ガイアポロン」が登場する予定であったが、結局お流れになってしまったという。
登場人物
超光戦士 シャンゼリオン
正体は私立探偵・涼村暁。性格はいい加減な面が多い。タイプとしては平成ライダーの先駆け的存在であることは確か。快楽に弱い遊び人で、シャンゼリオンとなったのもタダの偶然に過ぎない。
最終話(夢?の世界)では、正義感あふれる青年で訓練漬けの真面目な人生を悔やみ、もっと女の子と遊んだりの青春の日々に憧れていたが、ほぼ人類の戦力は壊滅、親友の速水も死にたった一人、ダークザイドの大軍勢の総攻撃に立ち向かう中、番組は終了する。
果たしてどちらが現実でどちらが夢だったのかは明らかにされていない…。
速水克彦
ダークザイドに対抗して設立された独立組織SAIDOCに選ばれた戦士、本来は彼がシャンゼリオンとなるはずだった。
女子供に優しく、悪を憎む正義の心の熱血漢と分かり易い正義の味方だったが、不慮の事故でちょっと優秀な人間で終わってしまうかと思われたが、物語の中盤、誤って闇の種を食べた速水克彦の肉体は、戦士ザ・ブレイダーとして生まれ変わった。
そして、梅干しを食べることにより、その戦士としてのパワーが発現するのだ。闇の種に含有されていたダーク・グレタミン酸は、梅干しに含まれる塩分と結合して速水克彦の血液の中を駆けめぐる。そして血液の中で練られていたチヌ第一物質が速水克彦の脂肪分によって分解され、タイロミンとデジタミンに分かれるのだ。一方、デターミントはリンパ液に結合して、カチルダ酸とノバ粘液とサルマドンとマグールトドータミンを作り出す。この際、ノバ粘液は体温によって分解され消滅するが、その残滓がカチルダ酸に結びついて核カチルダ酸に変化するのだ。そして、核カチルダ酸とサルマドンによって生成されたカッサノ蛋白質により、速水克彦はザ・ブレイダーであった記憶をなくすのであった。
正体は黒岩省吾。主人公のライバル。他の幹部が真面目に人間界の征服をたくらむ中『故郷の闇次元が滅んだ時点でダークザイドという種族は死んだも同然』との認識に立ち、独自行動をとる。
「知っているか!」の声とベートーベンの第九と共に薀蓄(デタラメ含む)を垂れるのが趣味。
終盤、東京都都知事として立候補、見事に当選し金と女で涼村を骨抜きにして行動を封じ、東京を日本から独立させて『東京都国』を建立したものの、戴冠式直前にその弱肉強食方針に親を殺された子供たちの銃弾に撃たれて死んでしまう…
強さ自体もさることながら選挙と洗脳という現実的な手段で地域レベルとはいえ征服を成し遂げ、変則的なヒーローでも真っ当なヒーローでもなく、ただの銃を握った子供に憎悪の銃弾を身に浴びて死ぬという死に方…凄まじく濃い悪役で有りながら退場後の最終話がまた伝説である辺りがこの作品。
なお、黒岩の最期のエピソードは、本放送時に一部の地域では諸般の事情により視聴できなかった。
将軍ザンダー
ダークザイドの首領的存在。物語冒頭では老政治家を思わせる姿をしていたが、中盤になってからは片桐一樹という青年の姿として暗躍する。
いわゆる真っ当な怪人で、目的は人類の支配によるラーム(生命エネルギーみたいなもの、ダークザイドの食糧)の確保であり、最大の敵と見做しているシャンゼリオンの前に幾度となく部下の闇生物をけしかけ、シャンゼリオン、ガウザーの行動を妨害するが、ダークザイドの闇生物は命令に忠実な奴も居ればタダのオタクまで人材が全く別の意味で豊富な為、大抵失敗してしまう。指揮官としても戦士としても一流ではあるのだが、立ち位置は難民の指導者に近い苦労人。