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黒岩省吾

くろいわしょうご

黒岩省吾(メイン画像右下の男性)とは、特撮テレビドラマ『超光戦士シャンゼリオン』の登場人物の一人。
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「知っているか!?」


演:小川敦志


概要編集

第1クール終盤より登場した謎の男性。

「黒岩相談所」を営む若き俊才で、プライドの高さは作中でも随一な自信家でもある。また、事ある毎に図書館などで調べ上げた、真偽定かならざる蘊蓄を記事冒頭にも示した決め台詞とともに披露するのが特徴だが、一方で「ダルマさんがころんだ」を知らず、暁にこれでもかと侮られた事もあるなど、その知識にはムラもない訳ではない。

当初は「ダークザイドに立ち向かうある秘密組織の戦士」を自称し、高い身体能力や前述した蘊蓄を披露して速水エリの信頼を獲得するのだが、ただ一人からは、その言行の端々から漂うイヤミさや気障さを理由に「気に食わないヤツ」と看做され、同時にその素性を怪しまれてもいた。


果たして、そんな暁の疑念は(半ば偶然にではあるが)見事に的中し、その正体がダークザイドの一人・暗黒騎士ガウザーである事が早々に露見するのであった。ダークザイドとしての黒岩は、「自分に惚れた女」のラームを好む性質を持ち、エリについても当初は単なる獲物の一人でしかなかった・・・はずだったのだが、何時しか本気で彼女に惚れてしまい、紆余曲折を経て相思相愛の仲にまで発展する。

とはいえそれも束の間のものでしかなく、互いの立場やスタンスの違い、そしてエリが「恋する気持ちは憎しみに似ている」と、自らの中にある嫉妬心の存在を痛感させられた事で、その関係も破綻を迎える事となる。


東京都知事・黒岩省吾編集

ダークザイドではあるものの、既に滅んだも同然な闇次元界や、人間界でコソコソと生きる「亡霊」の如き存在に甘んじていた同胞らに黒岩は見切りを付けており、物語中盤では「人間界で思いっきり遊ぶ」として思いもよらぬ行動――東京都知事選挙への出馬に打って出る。

前出の「黒岩相談所」も、人間界に潜伏する同胞らの悩みを聞いたり、働き口などの便宜を図るために開設していたものであるが、都知事選への出馬に当たってはそうした活動を通しての「借り」を、選挙活動費を出させたりその人脈・能力を提供させる形で返させ、選挙活動に役立てている。


「人間でないから、人間界の事を客観的に見る事が出来るのだ。

 今の日本は腐っている。それは人間が腐っているからだ。

 俺ならこの国を立て直す事ができる」


その歯切れのよい弁舌や姿勢により有権者の支持を集め、対抗して出馬した暁を抑えて見事に選挙戦を勝ち抜いた黒岩は、目論見通り東京都知事に就任するに至る。

しかし黒岩の真の目的は、「人間社会のルールに則った国そのものの征服」であり、東京都知事という地位もまたそのステップの一つでしかなかった。そしてその野望は、やがてとんでもない形で結実する事となるのである・・・。


「皇帝」の握ったもの編集

東京都知事への就任後も、着々とその勢力を強化・確立していった黒岩は、物語最終盤に至って国政へも影響力を発揮するようにもなり、さらには自身の神格化とも取れる子供達への教育や、東京都のみを消費税ゼロとするといった施策を通して都民からのさらなる支持を取り付けると、水面下で用意していた武力をもって東京都を封鎖、「東京国」なる独立国家とする事を宣言し自ら、その初代皇帝の座に収まった。

唯一、その目的の障害となり得るであろう暁に対しても、予め用済みとなった東京都知事のポストと、金や女を与える事で放蕩に走らせ、無力化せしめるという用意周到ぶりであり、ここに黒岩は前述した目標を達するに至ったのである・・・のだが、彼の野望がこの程度で終わるはずもなかった。


「東京国初代皇帝」となった黒岩は、自らの支配する東京国を最強の軍事国家へ成長させ、やがては全世界を征服する事を高らかに宣言。「国民」に対しても強く優秀である事を求めると同時に、知能や身体能力において劣等と看做した者を容赦なく排除するという、ある種の優生思想にも近い理念に基づいた国家運営に着手する。

その一環として、かねてより進めていた「人間とダークザイドの遺伝子を結合する事で優秀な新生物を生み出す」という研究をより実践的なものとすべく、「優秀な民だけを選出し、無能な民は容赦なくラームを吸って消す」という施策を断行。それにより無能とみなされて処分された人々の中に、車椅子の少年・児玉達広の父親もいた。その一部始終を達広は目撃し、ショックを受ける事となる。

一方、まんまと騙された事に気づいて憤慨し、ダークザイドの闇生物を退けては怒り心頭でシャンゼリオンに変身した暁に対し、自らも暗黒騎士ガウザーとなって応戦した黒岩であるが、そこに現れたエリに咎められたために人間の姿へと戻る。エリは達広を保護しており、彼を哀れむよう説得を試みるが、対する黒岩は達広の事を「虫ケラ同然」と切って捨て、ここにエリとも完全に袂を分かつ事になってしまう。

そして暁も「黒岩の野郎、お尻ペンペンだな!!」と、自らの手で黒岩に引導を渡すべく、速水とともに彼が催そうとしていた戴冠式の会場に殴り込みをかける事を決意する。当然このような事態も予測していた黒岩は、配下の闇生物・ハーガンとグロッカーをけしかける形で対処し、そのまま戴冠式を迎える・・・はずであった。


・・・しかし、その戴冠式場に黒岩が現れる事は遂になかった。何とあの達広が自衛隊のトラックから強奪した拳銃で黒岩を銃撃したのである。達広は同じ境遇を持った子供達を率いてテロを起こし、同じく自衛隊の手榴弾で護衛達を一掃して黒岩を追い詰める。

そんな彼等に対し、暗黒騎士ガウザーへと変身しようとする黒岩であったが、ふと自分をにらみつける達広の視線に気がつくと、


達広「僕は虫ケラじゃない!!」

黒岩「お前・・・俺が怖くはないのか!?」

達広「怖くなんか・・・怖くなんかあるものか!!」


自分に憎悪を向ける達広に、覚悟を決めてか変身する事なくその身を開いた。


黒岩「撃ってみろ・・・もう一度、虫ケラでない事を証明してみろ!!」


そして黒岩は達広に銃弾を何発も撃ち込まれ、他の子供達からも手榴弾を投げられた事で深手を負うに至る。死期を悟った黒岩は、追ってきた達広に対して以下の台詞と共に握っていたハンカチを空に向けながら、一人湖の中に沈んでいった・・・。


黒岩「知って・・・知っているか・・・世界で初めての皇帝は・・・皇帝は・・・」


「皇帝」として全てを握ったかに見えたかの黒岩の人生も、そして長きに亘って続いてきた彼にまつわるストーリー自体も呆気ない幕切れを迎え、その後の顛末も一切描かれぬまま、『シャンゼリオン』という物語は予想外の「終局」へと突入するのであった――。


知っているか!m9(๑• ̀д•́ )ドヤァ編集

黒岩省吾のうんちくシリーズ。料理関連の小ネタは脚本家が料理に並々ならぬ情熱を持っている人であるが故にためになるものが多い。この手の知識を蓄えるために随分勉強したようだが、中にはガセネタや単に黒岩の好みの話も入っており、さらに前述した通りその知識にもムラが多い事から、内容の真偽については若干怪しいところがある。

このうんちくを語りだす際には、大抵の場合ベートーヴェン第九の第2楽章が、その場の空気に関係なくテーマ曲的に流れるのも特徴の一つである。


  • 「いつも言っているはずだな。コーヒーブルーマウンテン4、ブラジル5、モカ1の混合豆を使うのが一番美味いと」
    • 秘書のユリカの淹れた、(恐らくはブルーマウンテン10割の)コーヒーに対する感想。一口飲んだだけで口に合わないと感じたのか、コーヒーカップの中にタバコをダイレクトアタックさせる始末である。
  • 「それからあなた、確かにその服装はダサい。あなたの歳なら・・・せめて、セロッティを選びなさい」
    • おそらくは作中での紳士服メーカー、もしくはイタリアに実在する服地メーカー「チェルッティ」の誤読か。当然言われた相手の中年男性はこの言葉の意味を理解できるはずもなく、セロリですか?と聞き返した。
  • 「知らないのか? キャベツというのは外側から8枚目だけの葉を使わなくてはならない。キャベツならではの歯ごたえと甘さを楽しめるのはそこだけだ」
  • 「知っているか? 世界で初めてのジャケットつまり背広は、1787年、イギリスのセービロードにある小さな洋品店で作られた。それからアァッと言う間にイギリス紳士の間に広まったという」
    • 実際にロンドン中心部のメイフェアに、高級紳士服店が多数立ち並ぶ通りは存在するが、正しくは「サヴィル・ロウ」である。
  • 「知らないのか? トマト料理で大事なのはトマトに汗をかかせる事だ。水分が多過ぎるとトマト本来の味がボケてしまう。料理する前に余分な水分を出してやる事でトマトは本来の味を発揮するのだ。すぐに作り直せ」
    • レストランで。トマトに限らず食材の余分な水気を取るのは理に適ってはいるのだが、ここで言うべき事なのかというと・・・。
  • 「知っているか? 世界で初めての公園は1653年にイギリスで創設された。その公園で最初にデートしたカップルは死ぬまで幸せに暮らしたと云う・・・」
    • 「公園の始まり」の定義をどこに置くか、にもよるがそういう説もあるにはある模様。このくだりの制作についてはスタッフが、東京都の公園課に研究者を紹介してもらった事が、かつて存在した番組公式サイトにて語られている(参考リンク)。
  • 「知っているか!? 世界で初めての外科手術は紀元前235年インドで行われた! 麻酔なしでなァ!! その時の患者は自分を瞑想状態に置き、無事手術を乗り越えたという!」
    • 「麻酔なしでなァ!!」の独特の言い回しもあってか、黒岩の披露した蘊蓄の中でも特に有名だが、作中ではガセネタとして切って捨てられている。暁からは後に闇法廷に際し、紀元前3578年インカ帝国で行われ、患者はキノコを麻酔として使用し、手術を乗り越えたと反論される。
  • 「知っているか!? 世界で一番高級な靴は今から23年前、ニューヨークのティファニーでアザラシの皮を使って作られた。その職人は今でも健在で南アフリカに暮らしているという!」
    • 「そんな事実は何処にもない!」(by涼村暁)
  • 「知っているか・・・世界で初めての死刑は紀元前578年ローマのグラシナスという小さな村で執行された。その地は今はナルハと名前を変え・・・だが、死刑執行の場所には今でも十字架が残っているという」
    • これもまたガセネタ。暁からは古代バビロニアで行われたと反論される。
  • 「皆さん、知っていますか? 世界で初めての選挙は、紀元前1432年中国のタイミーという小さな村で行われました。人口はたった231人の村でしたが、公正な選挙の結果選ばれた村長はその功績を認められ、やがて皇帝へと上りつめていったのです。そう皇帝へと! 皇帝へと!」
    • 東京都知事選での演説にて。内容の真偽については(以下略
  • 「知っているか!? 世界の歴史で最も愚かな法令は趙高によって発せられた。自分の配下達の忠誠心を試すために鹿として時の皇帝に献上し、その馬を正しく鹿と呼んだ者を厳しく罰したという。そこから、『馬鹿』という言葉が生まれた」
    • 実際にそういった逸話は残されているので全くのガセという訳ではないのだが、そもそも「馬鹿」の由来については諸説があり、確定には至っていないのも事実である。
  • 「知っているか? 人類が始まって以来最も大きな恋愛は1996年10月、黒岩省吾と南エリによってなされた。その歴史に刻まれるだろう」
    • 蘊蓄・・・にかこつけた惚気であるのはもはや言うまでもあるまい。
  • 「都民の皆さん、全都民の皆さん、知っていますか? 世界で初めてのホットケーキは1632年、イギリスの小さな農家で初めて焼かれたのです。その家庭に母親はなく、父親は子供のために愛情を込めてホットケーキを焼きました。皆さん、全都民の皆さん、私に皆さんのホットケーキを焼かせてください!! 私は皆さん一人一人のために尽くしたい。愛情を込めて尽くしたい・・・」
    • 少なくとも、ホットケーキの原型とされるものは既に古代エジプトの頃よりあったとされる。
  • 「知っているか!?シャイニングアタックとはS.A.I.D.O.Cの宗方猛が開発したシャンゼリオンの必殺技!全身のクリスタルパワーを胸のディスクに集め、シャンゼリオンの形をした光のビームを発射する。その威力は闇生物の体を木っ端微塵にする程だという・・・」
    • テレフォンサービスで聞けた蘊蓄。
  • 「知っているか!?世界で初めての暖炉は約紀元前4600年シベリアのルートックで作られた!発見されたその暖炉の遺跡には薪として燃やされた松ぼっくりが化石として残っていたという!」
    • ラジオドラマより。この後人工呼吸についての蘊蓄も語ろうとしたが、エリからはうんざりした様子で遮られている。


備考編集

  • 演者の小川はその後、芸名を「小川敦史」へと改名。本作のメインスタッフも少なからず参加している「平成仮面ライダーシリーズ」にて『仮面ライダーアギト』の沢木哲也、『仮面ライダー555』の南雅彦、『仮面ライダーカブト』の偽東省吾、『仮面ライダーキバ』の棚橋などを演じた。
    • 一人目は物語の重要人物として描かれており、黒岩とは正反対に戦いが終わると最終的に命が尽きて安らかな死を遂げる。二人目は、オルフェノク殲滅の為なら手段を択ばない冷酷な性格で、その性格が災いして最終的にオルフェノク側の主人公の復讐によって惨殺されている。そして三人目は、ZECTの幹部として登場し、組織に協力しない主人公を捕らえるも、中盤でワームに成り代わられてしまう。最後の四人目のみ(怪我を負ったりなどしながらも)生き延びている。
  • 小川は放送当時のスタッフからのインタビューにおいて、黒岩という男をどう思うかとの問いに「こうはなりたくない」「出世欲や出世術は学ぶところもあるけれど、性格は嫌いです」「最も嫌いな人間を作ろうとしていた」と答えている。また一方ではその印象的な最期に絡んで「黒岩という人間はアウトローですが、何かがあってこうなったんだと思う。すごくいじめられたとか、不幸な目に遭った。人よりよく勉強したり、かっこよく見せようとするのはそんな現れ」とも語っている(参考リンク)。
  • 黒岩が作中で語る蘊蓄は、後に前出の『仮面ライダーカブト』に登場する「天道語録」のルーツにもなっている模様。
  • 黒岩が皇帝に上り詰めていく過程は当初、町長とかから始めて段々出世していく、という構想であったのだが、その起点をどこにするか決めるに当たって、読売広告社プロデューサーの木村京太郎からの「せめて区長くらいにしないとサマにならんだろう」という言葉をきっかけに、なら初めから都知事くらいで行くか、といった感じでいきなり都知事へと出世してしまう展開となった経緯がある。
  • 黒岩の最期を描いた第38話「皇帝の握ったもの」は、その内容が全体を通してあまりにも過激過ぎた(特に優生思想やテロを肯定するかのような表現や、悪役とはいえ人間キャラが生身の人間(しかも子供)に殺害される描写等)ために、一部の地域では放送が見送られた。もちろん、あくまでローカルな規制に引っかかっただけの話であるため、後年のソフト化やCSでの再放送、東映特撮ファンクラブでの配信の際には、通常通り収録・放送・配信されている。
  • メインライターの井上敏樹は彼を「人間を征服する皇帝なんて言いつつ、その実、人間になりたかった奴」と評しており、「暁では相手にならず、自滅する他なくなった」とも語っている。

関連タグ編集

超光戦士シャンゼリオン 涼村暁 ダークヒーロー


帝王トランザ:『鳥人戦隊ジェットマン』の登場人物の一人。「井上敏樹が脚本を手掛けた作品の悪役」にして、「プライドが高く鼻持ちならない人物造形」「衝撃的な末路を迎えてしまった」等数々の共通項を有する。また演者の広瀬匠は、本作でも黒岩と度々火花を散らし合った片桐一樹(ザンダー)も演じている

佐野満 / 仮面ライダーインペラー:『仮面ライダー龍騎』の登場人物、およびヒーローの一人。こちらも登場するエピソードの脚本を井上が手掛けており、やはり驚愕の最期を迎えてしまった人物でもある

ダージリン:『ガールズ&パンツァー』の登場人物の一人。「格言好きのキャラクター」として、「登場するたびに蘊蓄を垂れる」という共通項を持つ

キラボシ共和国:『妖怪学園Y』に登場する国家の一つ。黒岩が建国した「東京国」と同様に、敵組織が日本から独立する形で建国したものである

デモンナイト:『幻星神ジャスティライザー』に登場するヒーローの一人。専用の変身シーンがあるダークヒーローという点で黒岩(ガウザー)と共通する一方、こちらは最終的に主人公とも共闘関係に転じたという相違点を有する

ジャグラスジャグラーウルトラシリーズの登場人物の一人。剣使いのダークヒーローという点で黒岩(ガウザー)と共通している


クランチュラ:『魔進戦隊キラメイジャー』の登場人物の一人。黒岩と同じく「知ってるかぁ」という言葉をよく使う事で知られる

キアイドー:『海賊戦隊ゴーカイジャー』に登場する敵怪人の一体。こちらも「知っているか?」との台詞を残すとともに、登場エピソードの脚本を井上敏樹が手掛けているという共通項を有する

擬似ライダー:『シャンゼリオン』という作品自体が「平成仮面ライダーシリーズの原型である」という見方から、ガウザーについても疑似ライダーの謂わばプロトタイプに当たる存在ではないか、と見る向きも存在する

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