概要
特撮番組『仮面ライダー』シリーズに登場する、仮面ライダーに準じるシステムで変身する戦士の総称。
「仮面ライダーじゃない戦士」自体は昭和ライダー6作目である『仮面ライダーストロンガー』の時点で登場していたが、「擬似ライダー」の名前の起源は『仮面ライダー龍騎』である。神崎士郎のライダーシステムを模したオルタナティブ/オルタナティブ・ゼロに公式で「疑似ライダー」の称号が付き、以降の仮面ライダーじゃない戦士にもファンの間で呼ばれる様になった。
オルタナティブ(ゼロ)以外の仮面ライダーじゃない戦士が公式で「疑似ライダー」と呼ばれなかったが、『仮面ライダーガッチャード』公式サイトにてヴァルバラドが「疑似ライダー」、「疑似ライダーポジ」と呼称された。
「“仮面ライダー”でも明確な“怪人”とも違うが、ライダーと同じく変身した戦士」を「疑似(擬似)ライダー」として分類するファンが多いが、人によってその基準は異なる為、非常に曖昧である。
更に仮面ライダーや怪人とは差別化された専用の変身システム及びアイテムを用いた変身体を用いるキャラクターが多い為、ファンでも余計に混乱しやすい。
シリーズでは、アナザーライダーやレイダー、プレミアムベロバ/プレミアムケケラのように「物語の扱いではほぼ怪人だが、変身アイテムの関係から設定上はライダーと同等の存在とも言える変身体」やゴルドドライブやゲムデウスクロノスのように「情報解禁当時はライダーとして扱われていたが、近年では怪人扱いで統一されつつある変身体」など、カテゴライズや解釈が公式からも一貫して定まっていない戦士も少なく無く(特にゴルドラ/シルバラは上記の例以上に扱いが不安定)、記述するとキリが無い為こちらでは記載しない。
公式の扱い
仮面ライダー図鑑
東映公式の解説サイト。
「怪人よりも仮面ライダーに近いキャラクター」として、「仮面ライダーじゃない」のカテゴリを設けている。
このカテゴリに分類されるキャラクターは、図鑑内では便宜上“怪人”では無く“仮面ライダー”の一覧に大まかに表示されているが、絞り込み検索で“仮面ライダー”カテゴリを選択した場合は該当せず、“仮面ライダーじゃない”カテゴリを選択した場合は該当する。
偽ライダーや量産型ライダーの一部が該当する一方で、ライダーとほぼ同じ外見なのに怪人として扱われている存在も居るので混乱し易い。
先述のオルタナティブやオルタナティブ・ゼロはこのカテゴリに該当するが、石ノ森ヒーローのリブート等明らかに仮面ライダーと異なる戦士もコレに該当する。
その為、該当する戦士が全て「疑似ライダー」に該当するとは限らない。
ライダーカード
『仮面ライダーディケイド』に登場するアイテム。
劇中では、仮面ライダーディエンドがアリゲーターイマジンとの戦闘中にライオトルーパーをカメンライドで召喚している。
2021年に予約開始した「CSMライダーカードセット EXTRA」には、公式で「擬似ライダー」として扱われているオルタナティブなどのカードが収録されている。
ライダーカードの有無で仮面ライダーか擬似ライダーかを判別は難しいが、仮面ライダーに似た怪人と擬似ライダーを判別する事は可能。
先述のオルタナティブ、オルタナティブ・ゼロ、ライオトルーパー、京介変身態の4名はカード化されたが、カードには「MASKED RIDER」は記載されていない。
本稿では昭和ライダー及び平成ライダー1期については、「MASKED RIDER」を冠さない表記でライダーカードがCSMで商品化されており、ライダー図鑑でも「仮面ライダーじゃない」での絞り込みに該当する戦士、それ以降は仮面ライダー図鑑で「仮面ライダーじゃない」での絞り込みに該当する戦士を記載する。
大森敬仁プロデュース作品
「怪人よりも仮面ライダーに近いキャラクター」が多数登場する。
これらの戦士は、「Break Up」「蒸血」「潤動」等の独自の掛け声や代用となる音声と共に変身する事が多く、ライダーとソレ以外が見分け易くなっている。大森P担当の作品であれば掛け声が「変身」かそれ以外の掛け声かが1つの基準となり得る。
『ガッチャード』は大森P担当じゃないが、擬似ライダーに独特の掛け声を用いる要素を受け継いでおり、今後他の大森P以外の作品でも受け継がれる可能性はある。
擬似ライダーの一覧
『仮面ライダーBLACK』
洗脳が完了した悪の改造人間。仮面ライダーBLACKの宿敵である。
ブラックサンと並ぶもう1人の世紀王であり仮面ライダーと完全に同格だが、作中で「仮面ライダー」扱いされる事は無く、本格的な擬似ライダーの先駆けとも言えるキャラクター。
高い人気を誇るキャラクターであり、後年の作品に怪人側の悪の幹部として登場する事も多い。一方で、本格的にダークライダーの先駆けになった存在として扱われる事もあり、ゲーム等では仮面ライダー同然の扱いで参戦している事も多く、「全仮面ライダー大投票」では仮面ライダーの1人としてリストアップされており、仮面ライダーなのか擬似ライダーなのかの定義付けが媒体によって異なるので、非常にカテゴライズがややこしい存在である。
仮面ライダー図鑑では『ディケイド』のリ・イマジネーションライダー共々、「仮面ライダーじゃない」扱いで掲載されている。
尚、リブート作品の『仮面ライダーBLACK SUN』では仮面ライダーSHADOWMOONとして登場する。
『仮面ライダー龍騎』
所謂擬似ライダーの歴史の始祖と言える存在。
「ミラーモンスターの力を宿したカードデッキをVバックルに装填して変身する」意味では共通するが、本作の仮面ライダーは「神崎士郎が開発したカードデッキで変身した者達」を意味する為、それを模倣したシステムを使う彼らは仮面ライダーにはカウントされず、かと言ってミラーモンスター=怪人とも違う等、何ともややこしい立ち位置のキャラクターである。仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」に該当する。
『仮面ライダーディケイド』の「ネガの世界」では何故か怪人扱いされているが、此方も仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」に該当する。
北米向けリメイクの『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』では、仮面ライダーのプロトタイプ(仮面ライダースカル、仮面ライダー1型とも立ち位置が近い)であるアドベントマスターとしてオルタナティブ・ゼロが、ゼイビアックスが変身する偽アドベントマスターとしてオルタナティブが登場する。
『仮面ライダー555』
番外編の劇場版で登場した量産型ライダー。TV本編でも終盤に登場する。
量産型ライダーの始祖とも呼べる存在。ライダーズギアで変身するファイズらとは異なる点が多く、映画の告知では「1万人のライダー軍団」と紹介されているが、実は当時から公式で「仮面ライダーライオトルーパー」の名称が用いられる事はほぼ一貫して無い。
外見は量産型ながら枠の拘りが無ければライダーと見ても良い外見である上に、先述の通り仮面ライダーディエンドがカメンライドで召喚している為、ファンからは正式なライダー扱いをされていたが、「CSMライダーカードセット EXTRA」の発売により、ライダーカードの存在は仮面ライダー扱いする根拠とは言えなくなった。
仮面ライダー図鑑でも「仮面ライダーじゃない」扱いで掲載されている。
『仮面ライダー響鬼』
本作における仮面ライダーである鬼の名前が与えられていない戦士。
他の戦士達とスペックや強さにそこまで差が有る訳では無く、ある程度は魔化魍に太刀打ち出来る。但し「登場シーン=初戦闘シーン」である為、実戦経験不足で苦戦気味であった。
他媒体(非公式)で「強鬼」と名が与えられていたが、『ジオウ』では「鬼の名を襲名出来なかった」扱いになっている。
仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」に該当し、「CSMライダーカードセット EXTRA」でも「MASKED RIDER」を冠さない表記でライダーカードが収録されている。
尚、同じ名無しの鬼である戸田山変身体は仮面ライダー轟鬼のフォーム扱いになっている為「仮面ライダーじゃない」扱いになっていない。
また、あきら変身体及び『仮面ライダーディケイド』のアスム変身体も同様の存在であり仮面ライダー図鑑でも「仮面ライダーじゃない」に該当するが、「CSMライダーカードセット EXTRA」にはライダーカードが収録されていない。戦士としての「顔」が登場していない為だと思われる(仮に顔写真を使うにしても、商品化の時点で役者の成長が進んでいる為、どうあっても違和感が出るだろうし、そうしなかった場合はどう考えてもコラージュ写真にしかならない)。
『仮面ライダー鎧武/ガイム』
本編に登場する仮面ライダー黒影を元にして作られた量産型のアーマードライダー。
「平成仮面ライダー英雄伝Ⅱ」等、一部媒体では「仮面ライダー黒影トルーパー」の表記だが、基本的には仮面ライダーの肩書きを冠していない事が多く、仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」扱い。
また、『MOVIE大戦フルスロットル』にはメガヘクスが複製したメカ黒影が登場するが、こちらも「仮面ライダーじゃない」扱いである。
只、本作の仮面ライダーと全く同じアイテムを用いて全く同じ変身をしているのに、何故「仮面ライダーじゃない」の方に分類されたのかは不明で、最も擬似ライダーの存在の定義を難しくしている存在の1人である(メタ的には仮面ライダー黒影と差別化する為だろうか)。
『仮面ライダードライブ』
後にチェイスの仮面ライダーとしての姿が登場した事から仮面ライダーとしては扱われていない。仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」に分類される。
魔進チェイサーがロイミュード(怪人)の1種として扱われる事は少なく、テレ朝公式サイトでも紹介ページが分けられているのだが、チェイス本人は魔進チェイサーの姿を「強化ロイミュード」と評しており、それ故に怪人ともライダーとも違う存在として扱われる。
他にも「元々は試作版ドライブを改造して作られた戦士である」事も、擬似ライダー扱いの理由となっているのかもしれない。また、仮面ライダーチェイサーは魔進チェイサーの本編中の最強フォームとしての側面もある。
Vシネマ『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』では実質的な究極フォームとも言うべき超魔進チェイサーが登場している。同時にこれはロイミュードの超進化態に相当する姿である為、魔進チェイサーが仮面ライダーと怪人の中間に位置する存在である補強にもなっている。
その名の通り仮面ライダーマッハの量産型。
変身者は仮面ライダーを自称しているが、仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」扱いされている。理由としては重加速対策としてピコピコを装備している等、正規のライダーとはシステムが違うからだろう。
『仮面ライダーエグゼイド』
ゲーム「仮面ライダークロニクル」のプレイヤー。
変身アイテムにゲーマドライバー等のデバイスを使用せず、ゲーム内の「仮面ライダー」はレアキャラとしてプレイヤーと明確に差別化されている為、仮面ライダー扱いされていない。但し、ライダーと共通のデザインになっている為に、一般人が変身する量産型ライダーとして扱うファンも少なくない。
仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」に分類されているが、そのカテゴリに入っている戦士の中では唯一『ジオウ』放送中の企画「ライドウォッチ大投票タイム」の候補に選ばれている。
『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』
忍者プレイヤーは仮面ライダー風魔が召喚して使役する「NPCとして出現させる存在」の為、擬似ライダー扱いされる。
仮面ライダー図鑑でも、例によって「仮面ライダーじゃない」に該当。
『仮面ライダーエグゼイド ファイナルステージ』
画像真ん中の戦士。外見は仮面ライダーと同じ(ライダーの変身アイテムも装備している)だが怪人扱いはゴルドドライブやゲムデウスクロノスの先例があるが、ファイナルステージ限定の存在であるが故にソレらと比較してそもそも仮面ライダーにカテゴライズされるのか、怪人としてカテゴライズされるのか公式から明言されていない異質な存在である。
その為、仮面ライダーとして扱うファンもいる。
『仮面ライダービルド』
本作は「怪人よりも仮面ライダーに近いキャラクター」が多数登場する事が特徴で(後述の劇場版含めば5体8種類)、しかも劇中で正規ライダーよりも数が多い期間がそこそこある。
本作に登場する仮面ライダー達は、ライダーシステムを使って変身するが、上述した戦士達は独自の変身システムであるトランスチームシステムやブロス系のカイザーシステムを用いて戦闘を行う。その為、彼等は本作の仮面ライダーとは明確に別系統の存在であり、厳密には「擬似」という表現自体がそこまで適切では無い。
また、これらのシステムのオリジナルに該当する下記のカイザーシステムの開発経緯を考えれば、元々これらのシステムはエグゼイド世界の技術から分岐した技術でもあり、システム上はエグゼイドの仮面ライダー達にも近い存在と非常に特殊な設定を持つ。
ナイトローグとブラッドスタークはトランスチームガンにロストフルボトル、ブロス系は後述のカイザーシステムのアイテムを複製したネビュラスチームガンにギアを装填して変身する。
本作のライダー達とは、主に変身にネビュラガス投与実験を受ける必要がない点、繰り返し変身して戦闘をしても「ハザードレベル」が成長しない点で明確に差別化されている。
仮面ライダー図鑑では、全員「仮面ライダーじゃない」に該当。
『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』
最上魁星がネビュラガスとエグゼイド世界のバグスターウイルスを融合させる事で、完成させたカイザーシステムによる戦士。その為、システム的には他作品の技術も用いられて開発された擬似ライダーとも言える、非常に珍しい存在である。
但し、擬似と言っても元は難波重工にて、最上の助手だった葛城巧が開発したライダーシステムと、正規採用を争っていた関係にあった変身システムであり、システム的にはバグスターウイルスを使っている事も含めて、ビルドのライダーシステムとは完全に別系統の技術となる。
完全体のバイカイザーになるには、「並行世界の人間を2人揃える」極めて難解な条件を満たす必要があるが、その代わり計画通りに進めば「万物を超越した力・不老不死」(最上当人曰く「帝王の力」)を会得出来るらしい。
上記した、トランスチームシステム系の戦士達の元祖であり、TV本編で登場したトランスチームシステムやブロス系は、このカイザーシステムからバグスターウイルスや並行世界融合能力等を抜いて簡便にしたデチューン版である。これらのシステムとはアイテムや武器が同系統な他、ハザードレベルを上げる機能が無い点も共通する。
『仮面ライダーリバイス』
主人公の悪魔と瓜二つの姿をした五十嵐元太から生まれた悪魔・ベイルがクリムゾンベイルバイスタンプを使って強化した姿。リバイスの強化フォームの一つであるジャックリバイスに酷似している。
テレビ朝日と仮面ライダー図鑑の公式サイトでは、仮面ライダーのページに掲載されているが他の仮面ライダーとは明確に区別されており、「変身」では無く「強化」と表現されている。
一方で、「仮面ライダーリバイス DXクリムゾンベイルバイスタンプ」の商品ページでは「仮面ライダークリムゾンベイルに変身」と表現されている…が、公式サイトの仮面ライダー図鑑では「仮面ライダーじゃない」に明確にカテゴライズされてるのでコレは単なる誤記だろう。
『仮面ライダーリバイス ファイナルステージ』
先述のクリムゾンベイルに酷似している戦士。
若林優次郎の兄である若林優一郎がブラッドベイドバイスタンプを使って自身の悪魔・ベイドと同化した姿。立ち位置的には仮面ライダーよりも怪人に近いと言える。
『仮面ライダーガッチャード』
黒鋼スパナがヴァルバラッシャーを使って変身する。物語序盤から登場する擬似ライダーで怪人に近い外見やライバルポジションではあるが、立場的には初の味方ポジションの異色な擬似ライダーで主役ライダーと共闘する場面もあった。後に仮面ライダーになるのだが、その際も名称が一切変わらない。また第33話にて冥黒の三姉妹の一人・ラケシスが量産型ヴァルバラッシャーで変身する。