概要
『仮面ライダーガッチャード』に登場する謎の集団。
錬金術を悪用する3人の女性錬金術師の集団で、その名の通り姉妹関係にある様子。
詳細は不明だが、九堂風雅が隠していた101体のケミーとガッチャードライバーを「暗黒の扉を開く鍵」として狙っている。
メンバー間では特に決まった上下関係があるわけではなく、アトロポスが中心にこそいるものの、それぞれが対等な関係である様子。
目的とその行動
全てのケミーが世界に解放され計画が遠退いてしまうも、当面の方針として『ガッチャードライバーの強奪』が3人の目的となる。
捕えたケミーでマルガム化してガッチャードを狙ったり、一般人とケミーが変異したマルガムが起こす事件を静観していたが、より強い悪意と能力を秘めたマルガムを生み出すように暗躍する。
しかし、この行動は黒鋼スパナが睨んだように「目的を達成するならばドライバーを1番に奪うはず」「わざわざマルガムを増やそうとしている」等と不可解な点が見られる。
実際ガッチャードに倒されたマルガムの破片を回収し、それを元にドライバーのように見える謎の装置を錬金術で生み出そうとしたりと、謎が多い。
また、彼女達はカードを持っていない為、最初こそケミーを捕まえてから人間をマルガムにさせていたが、敵対勢力である錬金連合に内通者を送り込んで途中からはライドケミーカード……つまり封印されているケミーを所持するようになった。
スパナから「化け物」と罵倒されている上、本編時間軸の10年前から容姿が全員(特にアトロポスは10年以上幼女姿のまま)変わっていないところから、少なくとも人間ではない模様。
実際、劇中では体力を大幅に消費したクロトーを治療する際、ラケシスが「修復」と表現していたり、第17話ではマルガムの素体となった不気味な人形が「兄」に相当すると称されたり、グリオンがクロトーに対し「作った人形」と発言したり、第24話でグリオン本人が彼女等を「錬金人形である」と明言している。
アトロポスはグリオンへの忠誠心はあるのだが、残る2人は畏怖の目で見たり、見限ろうとしていたりしており、とうとう第26話でラケシスがグリオンへの不信感からミナトと共に離反し、仮面ライダーに泣きつこうとした為に、他の2人から裏切り者として攻撃されてしまった。
残されたアトロポス、クロトーも第27話でグリオンが消息不明となったのをきっかけに、前者は「創造主の仇討ち」、後者は「ラケシスの奪還」を目的に各自行動を取り始めた為、ほぼ瓦解に近い状態へと陥ってしまっている。
しかし、〈冥黒王〉ギギストの降臨によりアトロポスはグリオンの悲願を達成するべく目的をシフト、クロトーは強さを求める余り強引に力を与えられた末に、半ば自我を失いかける事態となったものの、何とか修正された。
とはいえ、それは結局のところ一時的なものでしかなく、更なる冥黒王・ジェルマン、ガエリヤの降臨により彼らの口からグリオンの出生と顛末が語られたことでアトロポスはジェルマンを「父親の仇」だと認識し離反、打倒を画策。そして、見事ジェルマンに一矢報いることに成功、主・グリオンを復活させた。クロトーは反抗的な態度を無理やり力を与えられたことで制止され更に心身の不安定さが悪化したがガエリヤの手で力がリセットされた代わりに彼女の軍門に下ってしまい組織としては完全に瓦解する形となった。
そして、第48話でアトロポスがりんねを庇い消滅、第49話でラケシスがグリオンの凶弾に倒れ死亡したことでクロトーだけとなり、そのクロトーも最終話にてグリオンに敗れ消滅してしまった。
救いがあるとするのであれば、最期に彼女たちがそれぞれの願いに気づけたことだろう。
その正体
第32話でラケシス、クロトー両者の口から明かされた正体はグリオンが禁忌の錬金術によって人工的に造り出した人間……即ちホムンクルスである。
本来なら生身の人間には負荷がかかる空間操作による錬金術が扱えるのも、彼女たちが人間とは違うからであり、怪人としての固有の姿は持たないが、各人とも生身でも仮面ライダーと渡り合えるだけの戦闘能力を備えている他、グリオンに力を分け与えられると強化も可能な模様。
加えて、第31話の描写から、身体の構造上そもそも食事すら必要ない可能性がある。
公式曰く、彼女たちのモデルになった人間も存在しているらしいとはSNSで書かれていたが
本編にて44話・45話にてラケシスが人間になっていく段階で自身の前世を思い出すことになり、アトロポスは第48話でガエリヤから暴露される形で自身のモデルを知ることとなる。
なお、クロトーだけは本編で特に語られることなく未完計画にて明かされた。
メンバー
演:沖田絃乃
長女。3人のリーダー格。幼い容姿をしているが、残忍で冷酷。強力な錬金術を操る。
九堂りんね/マジェードに羨望を抱き、付け狙う形で因縁を持つようになる。後にジェルマンがグリオンを取り込んだことを白状したことがきっかけで、ジェルマンがグリオンの敵と認識。今後人を傷つけないことを条件に錬金アカデミー側と共闘関係を結ぶが、この共闘関係を結んだことが結果的に自らの手でグリオン復活に貢献することとなるが、ガエリヤの策略によってモデルとなったりんね共々囚われの身になったことで事態は一変。グリオンからは道具としてみていないことを聞かされたことで絶望し、最期はガエリヤが放った光線からりんねを庇い消滅。結果的にりんねに力を貸す形でガエリヤ撃破に貢献することになった。
演:宮原華音
次女。戦闘等の荒事を担当。格闘能力に優れている。
一ノ瀬宝太郎/ガッチャードが最初に対峙した相手で、その後何度もの直接戦闘を経て宝太郎を「仮面ライダーのクソガキ」と呼び対抗心を燃やす。
内心は「姉妹と家族のように過ごしたい」と言う切実な願いを秘めているが、冥黒王が現れてからは願いを曲解されて無理な力を付与されたりと、良いように利用され始めている。しかし、グリオンに反旗を翻そうとするも敗北。死に際に自身の抱えた希望を宝太郎に託す形での消滅となった。
演:坂巻有紗
三女。口琴を利用した錬金術の使い手。主に自分が唆したマルガムの護衛を行う。
黒鋼スパナ/ヴァルバラドとは仮面ライダーになる前から交戦の機会があり、皮肉を込めてスパナを「猟犬」と呼び個人的興味を抱く。
後にグリオンへの恐怖から組織を離反している。終盤にてエルドラゴンを捕まえるもグリオンに「裏切り者」とみなされ、殺されてしまう。
関わりのある存在
演∶鎌苅健太
三姉妹に指示を出す闇の錬金術師。彼自身も冥黒王に作り出されたホムンクルスである。
第5話で彼女達の口から語られ、アトロポスからは「様」付けで呼ばれているが、クロトーやラケシスからは「せっかちな奴」・「怒らせたら怖い」と畏怖の眼で見られている。
自分達の計画が順調に進んでいる現状を理解した上で「ただ待つだけでは不充分」と判断し、三姉妹に人間の悪意を唆すように命じる。
10年前の九堂風雅との戦いで身体が損傷し回復が必要な状態となっていたが、第16話で10年の歳月を経て肉体を回復させて復活を果たし、以降は彼が冥黒の三姉妹を指揮して、ケミーの回収や己の野望の成就の為に暗躍。
第27話でジェルマンによって暗黒の扉の向こう側へと連れていかれ、彼の肉体に取り込まったが、第41話にてアトロポスの手によってジェルマンの精神もろとも肉体を乗っ取って具現化・復活を果たした。
第17話で明らかになったグリオンの造り出した尖兵。人間の姿ではなく、白い人形のような状態で異空間に眠っている。
詳細は不明だが、三姉妹の兄的存在であるらしく、アトロポス曰く「あまりにも邪悪過ぎる」為に封印されている。
同話から登場した、より悪意に満ちた強力な黄金のマルガムを生み出す素体として活用されていたが、度重なる敗北にアトロポスから「使い物にならない」と見切りを付けられた。
CV∶置鮎龍太郎
暗黒の扉の奥に潜んでいた、高度な錬金術を扱う高等存在・〈冥黒王〉の1人。
グリオンの悲願を叶えるための要であるらしく、ウロボロス界にある扉の向こう側から現実世界に出現。自身の目的の遂行と同時に代わりの統率者となる。
CV∶天﨑滉平
ギギストより遅れて現れた、〈冥黒王〉の1人。
グリオンを取り込んだ張本人であり、アトロポスからは仇として憎悪を向けられていた。そして、宝太郎達に敗れ満身創痍となった際にアトロポスからグリオンの形見である錬金具を入れ込まれたことで人格が消滅。グリオンに身体ごと乗っ取られた。
CV∶伊藤彩沙
ギギストより遅れて現れた、〈冥黒王〉の1人。
「占星錬金術」を用いて事態を静観していたが、グリオンの復活を契機に独自の思惑で暗躍を開始。有り余る力に苦しんでいたクロトーの力を戻し、彼女を傘下へ取り込んだ。
戦力
本作のライダー怪人で、ケミーと悪意のある人間が一体化することで誕生する。基本的には自然発生なのだが、幹部たちがそそのかしたりする形でマルガムにさせたり幹部たち自らもマルガムへとなったりする。
マルガムの破片から生み出したドレッドライバーを使って変身する仮面ライダー。
仮面ライダードレッドの量産機で、AIで動く完全自律型。ドレッドに出てきたフォーム以外に新たに軍式タイプが登場する。
他作品での活躍
『ザ・フューチャー・デイブレイク』
デイブレイクの未来では冥黒のデスマスクが生み出されたことによって本編同様捨てられたが、二人を庇って絶命したラケシス以外は生存。全員グリオンの元から離反して未来の宝太郎の味方になっている。因みにラケシス以外は本編とは衣服が異なっている。
また、劇中ではラケシスと酷似したラキネイレスが登場しており、(本人じゃないとは言え)本編とは敵味方の関係が逆になっている。
登場しているのはデイブレイク世界の三姉妹だけで、テレビシリーズ側の三姉妹は未登場である。
『仮面ライダーガッチャード 未完計画』
本編とはほぼ関係のない…というより、事実上のメタ時空の三姉妹。こちらでは本編とは打って変わってメタ発言が多く(クリスマス回後の放送後には「祝・全員生存!」とぶっちゃける場面もある)、いつもとは一風変わった三姉妹を楽しめる。
ファイナルステージ
クロトーとラケシスが登場することが判明。だがどうやって復活したのか、そもそも同一人物なのかはまだ不明。因みに決定した当初はシルエットで隠されていたがファン達からは普通に丸分かりだった。
余談
- 元ネタはギリシャ神話に登場する運命の三女神〈モイライ〉。
- 初期プロットでは登場予定が無かったものの、「さすがに1年間を通して戦っていく幹部がいた方が分かりやすい点から必要」だと判断され、縦軸の要素として後から追加された経緯がある。(「宇宙船NO.182」より)
- 身なりはエジプト風だが、錬金術とエジプトは切っても切れない関係にある。
- ヨーロッパではギリシャ神話の伝令神ヘルメス、エジプト神話の知恵の神トート、賢者としてのヘルメスが習合して偉大なる錬金術師〈ヘルメス・トリスメギストス〉の伝承が誕生した。
- ちなみに後の時代の錬金術につながる思想が生まれたのは〈シンクレティズム(=1つの地域で様々な様々な宗教・信仰が混じり合っている状態) 〉時代の古代ローマと考えられている。
- また、古代ギリシャの時代からヨーロッパにおいては、錬金術に限らず魔術・呪術なども含め「神秘的な知識・技術は中東やエジプトからもたらされた」とする考えが有った。
- 更に、古代ギリシャにおいて呪い・魔術などの神秘的な知識・技術に関連が深いとされた神ヘカテーは3人の女神の集合体の姿で現わされ、かつ、3つの体は「少女」「大人の女性」「老婆」の女性の人生における様々な年齢・段階の象徴と解釈される説が有った(実際に同じギリシャの女神であるヘラにも、上記の三面位相があったとされ、“ゼウスとの不仲も寡婦=老婆の相の時に起こり、逆に円満な時は少女=処女の相であった” と考えられている。出典=メディア・テック社『女神大百科』)。
- 加えてイシスがギリシャで信仰されるなど、ギリシャとエジプトにも文化的な繋がりがあるので、『ギリシャ神話の女神の名前を持つエジプト風の美女』とする属性付けは、そこまでおかしい訳でもないかもしれない。
- ヨーロッパではギリシャ神話の伝令神ヘルメス、エジプト神話の知恵の神トート、賢者としてのヘルメスが習合して偉大なる錬金術師〈ヘルメス・トリスメギストス〉の伝承が誕生した。
- これまで男性キャストのみの敵勢力は多数あったが、女性キャストのみの敵勢力は史上初のケース。モチーフが仮面ライダーシリーズでは珍しく実在の神話の神なだけに、このような編成になるのはそこまでおかしくはない。
- しかし、2024年から上司のグリオンが本格的に参戦する、立場上は兄に相当する〈悪意人形〉等も登場した為、上記の女性キャストのみの敵勢力 の図式が崩壊、敢えて訂正するなら女性キャストのみの敵幹部集団となった。
- 逆に三姉妹が変身する怪人やライダーのスーツアクターはほとんど男性スーツアクターが演じている点は、女性のスーツアクターが多く活躍している現在では珍しいキャスティングとなっている。
- だが、上述通りグリオンへの不信感が爆発した末、遂にラケシスがミナトを介して「宝太郎達に守ってもらおう」との保身から錬金アカデミーに走り、残る2人から絶縁状を叩き付けられた結果、事実上 幹部集団としての 冥黒の三姉妹にも亀裂が入った(これからは冥黒の姉妹か?)
- そしてグリオンの退場後、ラケシスはそのまま錬金アカデミーに在籍、上記の通りアトロポスは『グリオンの敵討ち』に執心する、クロトーはアトロポスに従いつつも「ラケシスを姉妹に復帰させたい」と独自に暗躍する等、遂に姉妹間の結束まで綻び始めているようにも見える。
- そして、ギギスト達冥黒王の本格的な参戦を契機に、上述の通りアトロポスはそちらに服従の姿勢を見せつつ『グリオンの復活と彼の大願成就』 にシフト、それに伴い自分以外の同胞を半ば見限る言動を繰り返すのみならず、クロトーの狂戦士化を平然と傍観、更にジェルマンの真意を知るや彼(?)を謀殺しグリオンを復活させた挙げ句、グリオン以外の全てを捨て第三勢力と化すと、実質的に幹部集団としての冥黒の三姉妹の関係は破綻したと思われる。
- 衣装デザインは『仮面ライダーリバイス』でデッドマンズの衣装を、『仮面ライダーギーツ』で創世の女神をデザインした石川紗希氏である。
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