宝太郎「アイツは…!!」
「大切なのは…」
『ガキン!』
「……美学」
マッドウィール「ウィール!」
『MADWHEEL!』
『ゴキン!』
「鉄鋼」
『ヴァルバラッシュ!』
マッドウィール「ウィィール!!!」
『TUNE UP! MADWHEEL…!』
「美学なき者は……この、ヴァルバラドが消し去る…!」
CV:藤林泰也
スーツアクター:今井靖彦(第3話~第7話)/中田裕士(第8話以降)
装着者
概要
『仮面ライダーガッチャード』に登場する謎の戦士。第3話で初登場。変身者は錬金アカデミーの卒業生・黒鋼スパナ。
変身アイテム兼専用武器のヴァルバラッシャーのスロット・ライドケミーカードハンガーにビークル属性のライドケミーカードを装填し、トリガーを引いて変身する。スパナが自ら作り上げた、対マルガム用強化スーツである(なお「鉄鋼化錬成」によって筋肉を鋼鉄に変換していたり、血液を特殊な液体と交換していることから、実態は装甲化したケミーを身に纏った上で錬金術で自身の身体も錬成しているものと窺える)。
メイン画像の通常形態への変身にはマッドウィールのカードを使用する。
洗練されたスーツと輝く装甲を持つガッチャードとは違い、下半身は煤で汚れた作業服のような白いスーツ、上半身には錆びた赤紫色の鎧を纏っている。また、ビークルのケミーカードでカスタムし武装する装備も同様に錆びついている。
顔の向かって右側がモンキーレンチ(=スパナ)をほぼそのまま模したデザインになっているのが最大の特徴。
あくまでも形態ごとにスーツやアーマーを製作(錬成)しているガッチャードとは異なりヴァルバラドはスパナだけのオリジナル品であるためか、後述する様に派生形態も「◯◯カスタム」という表記とされる。
一応2号ライダー的なポジションではあるが、『仮面ライダーガッチャード』の世界における「仮面ライダー」は人とケミーの多重錬成を成功させた戦士を指すため、システム上ケミーを複数同時に使用できないヴァルバラドは厳密には"仮面ライダー"には該当しない(公式サイトでも仮面ライダーであるガッチャードとドレッドとは別の項目に振り分けられている。『仮面ライダーアマゾンズ』におけるモグラアマゾンや『仮面ライダーSPIRITS』における滝ライダーのようなものだと言えば分かりやすいだろうか)。
紆余曲折あって第21話でスパナは仮面ライダーの力を手に入れ、"ヴァルバラド"もライダーの字として引き継がれたため、この姿に鉄鋼(変身)することは無くなったのだが…
変身
ヴァルバラッシャーのトリガーを引くと巨大なボルトが何本もある空間に移動し、突如空間に空いた穴からマッドウィールが出現する。巨大なレンチがスパナの立つボルトを締めるように回転すると同時にマッドウィールがスパナと融合し、変身が完了する。また、変身完了直後は各部から蒸気が噴き出す。
スペック
身長 | 213.0cm |
---|---|
体重 | 113.8kg |
パンチ力 | 8.1t |
キック力 | 9.8t |
ジャンプ力 | 12.3m(ひと跳び) |
走力 | 7.3秒(100m) |
ライドケミーカード1枚での単独錬成のため、性能だけで言えばガッチャード・スチームホッパーよりも数値は低い。ヴァルバラドそのものはスパナが自分で製作した物なので、多重錬成ができない分別のケミーの能力を使用するにはガッチャードとは異なりカードを別途でスキャンさせる必要がある。
しかし、それを補えるほどの高い戦闘力及びマッドウィールの力を再錬成したことによる強靭な肉体を作り上げることで、そのマッシブな見た目に相応しいパワープレイで敵を迎え撃つ。
その戦闘能力はスパナの技量もあってか並程度のマルガムなら基本的に圧倒、冥黒の三姉妹レベルの錬金術師の相手にも互角以上に立ち回れる実力であり、変身解除による敗北も第12話が初。当時ではほぼ最強格の力を持っていたヴァルバラドの敗北に、錬金アカデミーのメンバーはおろか宝太郎でさえ「あのスパナが負けた…!?」と零す程だった。
しかし、今の所仮面ライダードレッド戦では4戦3敗(残りの一戦もとある要因でドレッドの変身者が弱体化していた)、『ガッチャ大作戦』では道長/バッファケミーの忠告を無視してリクシオンに一度返り討ちに遭うなど、レベルナンバー10絡みの事件やグリオンの呼び出すマルガムが出現してからはスパナの技量をもってしても補えないスペックの差に苦戦することとなる。その後、スパナが仮面ライダーの力を手に入れてからは事実上の下位互換であるこちらを使用することは殆どなかったのだが…。
仮面ライダーの「錬金素材の混合ベクトルによる完全融和再構築」とは異なり、カード1枚の錬金術師装甲であるヴァルバラドの場合はベースとなる素材に追加要素を重ねる強化型錬成が限界である(要はマルガムで言う所のミクスタスに原理は近い)。
本来普通の人間は一人につき一体のケミーとしか融合できないが、類稀な錬金術師としての素質を持つスパナにはこれらの強化錬成(劇中では「二重錬成」「三重錬成」などと呼ばれる)はそれ程高等な技術ではないらしく、第9話においてはラケシスに「二重錬成ごとき」と言及している。
使用アイテム
レンチのような形状をした変身アイテム兼専用武器。
カードを収納できるデッキケース型のベルト。もっとも、基本的に宝太郎程複数のケミーを戦闘に扱わないスパナの性格上あまりバックルにカードを出し入れする場面はかなり少ないが。
変身、必殺技に使用。ヴァルバラドは主にビークル属性のカードを使う。
上記の変身音声はマッドウィールを使用した時のものだが、それ以外でもビークル属性なら変身可能。
- ケミーライザー(スパナver)
錬金アカデミー生も所持しているケミー召喚機だが、こちらはスパナが独自にカスタマイズした改造品(召喚・捕獲も3体同時に可能)。アカデミー生と違い独力でライザー抜きの戦闘能力が卓越しているスパナの背景上、劇中では通常品のケミーライザーよりもあまり使用頻度は少ない。
なお、『ガッチャ大作戦』ではバッファケミーを召喚する形で元のバッファに戻したりリクシオンの捕獲に使用したりと出番はそこそこ多く使われていた。
カスタム(派生形態)
ガッツショベルカスタム
『ガキン!』
『GUTSSHOVEL!』
『ゴキン!』
『ヴァルバラッシュ!』
『TUNE UP! GUTSSHOVEL!』
スペック
身長 | 213.0cm |
---|---|
体重 | 166.6kg |
パンチ力 | 13.5t |
キック力 | 9.8t |
ジャンプ力 | 7.2m(ひと跳び) |
走力 | 10.1秒(100m) |
ヴァルバラッシャーにガッツショベルのライドケミーカードを装填して強化錬成した姿。
ガッツショベルの力で左腕に「ショベルバーサーク」と呼ばれる強化錬成アームを装着させることで、パンチ力が通常のヴァルバラド以上に増加している。オーラショベルと呼ばれるショベルカーのエフェクトの展開も可能となり、最大でショベルカー20台分の量を一度に掘削することが可能。
ゲキオコプターカスタム
『ガキン!』
『GEKIOCOPTER!』
『ゴキン!』
『ヴァルバラッシュ!』
『TUNE UP! GEKIOCOPTER!』
スペック
身長 | 213.0cm |
---|---|
体重 | 135.1kg |
パンチ力 | 9.3t |
キック力 | 9.8t |
ジャンプ力 | 11.2m(ひと跳び) |
走力 | 9.6秒(100m) |
ヴァルバラッシャーにゲキオコプターのライドケミーカードを装填して強化錬成した姿。ゲキオコプターの力でヘリコプター型錬成アーム「コプターバーサーク」を右腕に装備し、プロペラによる飛行能力と先端部の3連ミニガンによる連射砲撃能力を獲得する。ただし、実際のヘリコプター同様高度限界が存在する。
トライカスタム
「二重錬成ごときで、いい気になるな…!」
『ガキン!』『GUTSSHOVEL!』『ゴキン!』
『ヴァルバラッシュ!』『TUNE UP! GUTSSHOVEL!』
『ガキン!』
『GEKIOCOPTER!』『ゴキン!』
『ヴァルバラッシュ!』
『TUNE UP! GEKIOCOPTER!』
スペック
身長 | 213.0cm |
---|---|
体重 | 187.9kg |
パンチ力 | 13.5t |
キック力 | 9.8t |
ジャンプ力 | 6.1m(ひと跳び) |
走力 | 12.4秒(100m) |
ガッツショベルとゲキオコプターのライドケミーカードを連続で読み込ませて強化錬成した重層強化型形態。
ショベルバーサークとコプターバーサークの双方が装備され、ゲキオコプターの飛行能力とガッツショベルのパワーを駆使する。
三重錬成形態だけあって出力や性能は他のカスタム形態を上回るが、バーサーク武装を2つ取り付けた影響で機動力は全ヴァルバラド形態の中で最も鈍重となっている上に1枚ずつカードをスキャンしなければならないためか、意外と劇中では登場回数はそれ程多くない。
『ガッチャ大作戦』では、ショベルバーサークで地面から削り巻き上げた岩をコプターバーサークのガトリングで打ち出す技を見せ、リクシオンを弱らせることに成功した。
必殺技
- ヴァルバラブレイク
『SCRAP』
『ヴァルバラブレイク!』
ヴァルバラッシャーのタイテンスクラッパーを締め、アルケミートリガーを引くことで発動する必殺技。
第4、6話ではゲキオコプターカスタムで使用し、サブマリンマルガム戦では飛行しながら接近してヴァルバラッシャーで斬りつけた後、空中から連続射撃を放って蜂の巣にし、ホークマルガム戦ではコプターバーサークを回転させての斬撃を繰り出した。
第8話では通常形態で使用。マッドウィールの幻影が現れると同時にヴァルバラッシャーにエネルギーが充填され、紫色でX字の斬撃波を放つ。第13話では切先に紫色のエネルギーを集めドレッドに放とうとしたが、ミナトの説得を受け攻撃を止めた。
映画『仮面ライダーTHE WINTER MOVIEガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦』ではトライカスタム時に使用し、ショベルバーサークで地面を掘り起こした後にコプターバーサークで掘り起こした岩を吹き飛ばす攻撃でレベルナンバー10の上級ケミーであるリクシオンを追い詰めた。
安全装置を破壊して発動するこの技は変身者であるスパナに大きな負荷がかかるようだが、鉄鋼化錬成による身体強化に加えて相応に鍛錬を重ねているのか、戦闘後は特に疲れ果てる様子を見せなかった。一応『ガッチャ大作戦』においては仮面ライダーバッファと共にギーツⅨの拘束を解いた後疲労で鉄鋼が解除されている。
- 〇〇バースト
『ガキン!』
『○○(属性名)』
『ゴキン!』
『〇〇バースト!』
ビークルとオカルト以外の属性のライドケミーカードを装填して発動する必殺技。
- 仮面ライダーバースト(仮面ライダーバッファ)
『ガッチャ大作戦』にてバッファケミーのカードを使用し発動。ゾンビフォームの左手「バーサークロー」を模したエネルギーで相手の攻撃を防ぐ。この時はバッファケミー=道長が自分の意思でカードをヴァルバラッシャーにスキャンさせている。
- ジョブバースト(サスケマル)
生身の状態で使用。第17話において錆丸から受け取ったサスケマルのカードで煙幕を張り出し、宝太郎やりんね共々撤退した。
- オカルトヴァルバラバースト
『ガキン!』
『○○(ケミー名)』
『ゴキン!』
『オカルトヴァルバラバースト!』
オカルト属性のライドケミーカードを装填して発動する必殺技。ヴァルバラドとして使用されることはなく、22話で仮面ライダーヴァルバラドとしてダイオーニカードで発動した。
- ケミーライズ(マッドウィール)
第49話にて生身で使用したケミーライズ技。マッドウィール本人を召喚し、そのまま搭乗することでその場から緊急離脱する。一応大人2人程度ならば余裕を持って入れる様である。
第33話以降の活躍
ミナト「ラケシス…!」
「枝見鏡花に頼まれまして…」
『ガキン!』
「助太刀しますわ」
『MADWHEEL!』
『ゴキン!』
「…鉄鋼……♪」
『ヴァルバラッシュ!』
『TUNE UP! MADWHEEL…!』
CV:坂巻有紗
装着者
・ラケシス
身長 | 203.0cm |
---|---|
体重 | 84.4kg |
パンチ力 | 11.0t |
キック力 | 8.0t |
ジャンプ力 | 14.1m(ひと跳び) |
走力 | 7.1秒(100m) |
ラケシスがレプリマッドウィールのレプリケミーカードと量産型ヴァルバラッシャーを使用して鉄鋼化錬成した錬金術師装甲。
見た目はオリジナルのヴァルバラドとほぼ変わらないが、レプリケミーを使用しているためかボディや頭の一部に傷跡のような模様が入り、その模様と眼は白だったオリジナルに対してターコイズグリーンになっている。
ラケシスの体格に合わせて身長と体重が低くなっているほか、パンチ力とジャンプ力が上昇、キック力と走力が低下と、スパナのヴァルバラドとスペック上でも差別化されている。
なお、初変身時には鉄鋼する際にヴァルバラッシャーの刀身にキスをしていた。
レプリケミーカードを使用した変身は量産型だからこそできるのか、スパナのオリジナルの時点で使用できるのかは不明。
変身はレプリマッドウィールがラケシスに突進し、バラバラになった後装甲として取り付けられるという形で行われる。
なお、レプリマッドウィール入手描写がないことなどから、使い捨てではなく同じ個体が複数回変身に使われていると思われる。
ラケシスがスパナほど鍛錬を重ねていなかったことに加え量産型でも「ヴァルバラブレイク」の負担は軽減できなかったのか、それとも異世界からの侵略者に手こずったからなのか不明だが34話ではミナトより「治療中」ということが明かされた。
なお、後に第40話ではクロトーレビス戦にて引き続き量産型ヴァルバラッシャーを使用し再びヴァルバラドへと変身している。仮面ライダーウインドすら撃破する程のパワーアップを遂げたクロトー相手に奮戦するも、ヴァルバラブレイクを防がれた挙げ句強烈なカウンターキックを受けて敗北を喫した。この頃のラケシスは余程のことがない限り前線に来ることが殆どなかったため、登場回数も2回程度と極小数に留まった。
第49話では2回程ラケシスが鉄鋼しようとする場面があったが、一度はギギストによって変身する瞬間を攻撃されて未遂に終わり、二度目はスパナが量産型ヴァルバラッシャーを借り受ける形で使用したため、結局ヴァルバラドに変身することなく終わった。
メタ的に言えば第49話では下記の通り通常ヴァルバラドも登場するため、ヴァルバラドのスーツは一着しかないので登場しなかったと思われる。
必殺技
- ヴァルバラブレイク
ヴァルバラッシャーを操作して発動する必殺技。第33話では白いエネルギーを纏ったキックを仮面ライダーヴァルバラドの「ヴァルバラドクラッシュ」と同時に使用し、仮面ライダーグレア(ハンドレッド)を撃破した。
第40話では紫色の針状の弾丸を連射するというパターンも見せている。
第49話での活躍
ヴァルバラドライバーがガッチャードとの戦闘により破損してしまい、仮面ライダーヴァルバラドへと変身する能力が消失したため、ラボに来襲してきたギギストとの対決時には代わりの応急処置として、スパナのヴァルバラドが再登場することとなった。
スパナ本人の成長も相まってか戦闘中にヴァルバラブレイクなどの特別な必殺技がなくとも黒い炎を纏いながら敵を切り裂く大技も見せた。劇中ではラケシスの持つ量産型ヴァルバラッシャーも借りて一時的に二刀流で戦う場面も見せている。
だが、やはりスパナの成長をもってしても旧ヴァルバラドの性能ではギギストには全く歯が立たず、2回の戦闘で2回ともギギストに大敗を喫することになった。しかし…?
『ファイナルステージ』
「……スパナがあまりに不甲斐ないから、助太刀しますわ……。鉄鋼!」
グリオンによって再錬成されながらもスパナと鏡花の必死の呼びかけで記憶を取り戻したラケシスが久しぶりに鉄鋼化錬成して変身。実にTVシリーズの第40話ぶりのラケシス版ヴァルバラドが登場した。
今回ではドレットルーパー達を仮面ライダーヴァルバラドと共に撃破。今回はドレッド終式によって弱体化を受けていたためスパナが一時的に黒い炎を出せなくなっていたので、彼が使用していたヴァルバラッシャーをそのまま借りる形で変身している。
余談
- 名前の由来はいくつかあるとの事だが、明言されたのは擬音の「バラバラ」。また、その響きから「ヴァルカン(炎と鍛冶の神)」も入っているのではないかと推測される。。
- 第12話のドレッドとの対決では、どちらのデザインも悪役寄りであるため、一見どちらが味方サイドかわからない絵面となった。
- 実は第1話放送後に配信された変身講座で先行登場とばかりに変身を披露している。しかし宝太郎とはまだ面識がないため「誰この人?」扱いであり、更にりんねは「さぁ…?3話ぐらいに出てくるんじゃない?」と発言してたりする。
- スーツアクターは第3話から第7話まで今井氏が担当していたが、第8話からは今井氏から中田氏へと交代している。おそらく同時期に放送している『王様戦隊キングオージャー』に今井氏がオオクワガタオージャーのスーツアクターとして参加している影響と思われる。中田氏は仮面ライダーヴァルバラドとなった後も引き続き担当している。
- ラケシス版のヴァルバラドはスパナ版のヴァルバラドのスーツを女性用に合わせ、緑色の傷痕を付け流用した物。第49話にてスパナのヴァルバラドが再登場した際、スーツは元に戻された。その為2人のヴァルバラドが並び立つことなく同話にてラケシスが鉄鋼しようとした所をギギストに妨害されるという展開となった。
- ラケシスが鉄鋼するときにヴァルバラッシャーにキスをするのは撮影当日まで決まっておらず、ラケシス役の坂巻有紗はアクション監督の福沢博文との打ち合わせの中で福沢からヴァルバラッシャーへのキスを提案。それを聞いた坂巻はヴァルバラッシャーのアップ用のプロップがスパナと共用のため、「借り物にそんなこと(キス)していいんですか?」と困惑したものの、福沢は「ラケシスっぽいからやろうよ!」と後押ししたため採用となった。