「……そんな奴、最初からいなかった……!」
グリオン「実験終了……。10年前に垣間見た、あの黒く美しい炎。その強大な力は、私のものだ……!」
スーツアクター:中田裕士
データ
身長:221.4cm
体重:113.9kg
特色/力:内燃機関/突進力
概要
『仮面ライダーガッチャード』第20話に登場。エンジェルマルガムの力で一時的に蘇った両親を目の前で再び殺害され、絶望と激情に支配された黒鋼スパナが、グリオンの力でビークルケミー「マッドウィール」と結合することで誕生したマルガム。
人間が変異しているのだがグリオンの力が介入しているためか、悪意人形を素材にしたマルガムと同じ金色の素体となっている。
最初に変異する際は一旦ヴァルバラドになった後、右肩からマルガムの腕が突き破るように生え、その手がヴァルバラドの仮面を剥ぎ取ると同時に変貌している。
まるで「超A級錬金術師黒鋼スパナ」・「美学の戦士ヴァルバラド」の仮面を捨て、両親の死に顔を抑えて泣き叫んでいるようでもあり、黒鋼スパナの今まで他人に見せてこなかった負の一面を体現した存在と言える。
容姿
黄金マルガムとヴァルバラドを掛け合わせたような外見をしているが、前述の通りヴァルバラドにあった仮面は右肩より生えた素体の手によって剥ぎ取られたまま存在しており、その仮面を持っている腕と合わせて見ると顔に手を当ててむせび泣いているようにも見える。
仮面をよく見ると、顔の左半分を構成している特徴的なスパナの部分が無くなり、差し込まれたネジがあった部分には差し込み口が剥き出しになっている。まるで記憶を一度は消されたが忌まわしい記憶を思い出し、「黒鋼スパナ」と言う個を失った心情を表しているかのよう。
また、ヴァルバラドの下半身にあるクロスされた銀色の部位と同じ位置に、金色のバンドが配置されている。
胴体から灰色のコードが無数に垂れ下がり、剝き出しになった車のエンジンを模した頭部には目と思しき赤いセンサーが五つほど確認できる。その容姿から与えられる印象は宛らスクラップ車のようであり、スーツの内側から出てきたような印象も与える。
また、ヴァルバラドの肩パーツが右腕の役割を果たし、打撃武器にもなる。
他のマルガムがケミーを縛り付けている様なデザインなのに対し、全体としてケミーと一体化した姿=ヴァルバラドを内側から突き破る、或いは脱ぎ捨てる様な真逆で異質なデザインとなっている。
能力
頭部にある内燃機関により爆発的な力を生み出し、その全てを突進力に集中させることであらゆる物を粉砕する力を持つ。タイヤ型のエネルギーも放つことが可能で、これによって怨敵を焼き尽くす。
この力は奥底に秘めていた絶望や復讐心が形となった黒い炎であり、それを纏うことで強大な戦闘力を手に入れている。
しかし、スパナ本人が悪意に呑まれたことで精神が両親を失った当時の不安定な状態に戻っており、ヴァルバラドのような豪快ながらも無駄のない動きで追い詰める戦闘スタイルではなく、我武者羅に暴れるだけの力任せなものに変わってしまっており、その様子は交通事故によって車体が半壊してもなお暴走し続ける自動車を思わせる。
活躍
エンジェルマルガムとグリオンの策略によって両親を目の前で殺され過去に消された記憶を思い出し、最愛の肉親を2度も失う悲劇に見舞われたスパナは悪意に呑まれ、心配して駆け寄ったマッドウィールを取り込み誕生。
グリオンに殴りかかるもフラッシュを浴びせられ怯んでいる間に逃走を許し、制止しようとする宝太郎/ガッチャードとりんね/マジェードを薙ぎ払いながらエンジェルマルガムをただ憎しみのままに攻撃を仕掛けるが、相手は撤退。
元の姿に戻り、身を案じる宝太郎達の言葉に耳を貸さずその場を後にした。
その後、自身をグリオンの元へと引き渡すべく鏡花の研究室へと来襲してきたエンジェルマルガムに復讐せんと再変貌。エンジェルマルガムに再蘇生させた両親を人質に揺さぶりをかけられ、一方的な攻撃を喰らい続けるも、息子の苦しむ姿を見た2人は死者には使えないはずの錬金術を使い自害。
三度も親の死を目の当たりにして怒りのままに猛攻を仕掛け、相手が動揺している間に強烈なパンチを繰り出して圧倒するが、想定外の事態にエンジェルマルガムが逃走。
闇雲に暴れ回って周辺の建物にも被害を出し始めるが、威力を落としたファイヤーガッチャードの「スチームホッパーバーニングフィーバー」を叩き込まれて沈静化。
キッチンいちのせで手当てを受けるも、周りに頼らずに1人で解決しようと飛び出すと、ミナトの連絡を受ける。
翌日、待ち合わせ場所の廃工場に向かうと、先に待っていたミナトの手には鏡花や宝太郎達が開発したヴァルバラドライバーが。
ミナト「殺した。それがグリオン様の命令だ」
「どこまで……どこまで堕ちれば気が済むんだ!ミナトォォッ!!」
そして、「グリオンの命を受けて鏡花を殺害した」と言う言葉を耳にして怒りを爆発させウィールマルガムに再変貌。仮面ライダードレッドに変身したミナトと交戦するも「枝見鏡花が10年もの月日をかけた努力は全くの無駄だった」と人生を否定され、レプリマッドウィールのレプリケミーカードで発動させた「ブラッドレイン」を喰らって追い詰められる。
ミナト「怒りと憎しみに飲まれ、自分を見失い、まるで力を制御できていない。このままだとただの醜い化け物に成り果てるだけだ。そうなる前に、俺が引導を渡してやる……!」
そのままトドメを刺されそうになる中、両親の遺したアルケミストリングを介して映し出された過去の中で、両親と鏡花の想いを思い出し、過去のトラウマと絶望を克服し自力でマルガム化を解除。
そして、解放されたマッドウィールがスパナの思いに共鳴して自らを再錬成したマッハウィールの力を纏わせたヴァルバラッシャーでミナト/ドレッドを撃破。
さらにミナトの手に渡っていたヴァルバラドライバーや、スパナの熱意に惹かれてガッツショベル、ゲキオコプター、ダイオーニの奪還にも成功し、満を持して仮面ライダーヴァルバラドに変身できるようになった。
そして、命からがらその場から逃げおおせたミナトだったが、スパナの温情か急所は避けられており、「鏡花が死んだ」と嘘をつき、スパナの憎悪を煽り仮面ライダーの変身を促すように仕向けていた事が判明。
だが、「これで悪夢が消え去るわけじゃない……」と更なる脅威が迫っている事を予感しているようで……。
余談
グリオンが錬金したマルガムは悪意人形を素体とした黄金マルガムと呼ばれていたが、このマルガムは初の人間を素体とした黄金マルガムとなる。
そのデザインから見てヴァルバラドと言うものは【黒い炎に呑み込まれないようにするための一種の拘束具】、または枝見鏡花の言う【美学の鎧】のようなものであったとも言える。
公式サイトによると、スパナが怪人になることは造形部は知らなかったようである。
関連タグ
ジョーカーアンデッド、ファイティングジャッカルレイダー:3号ライダーが変身したライダー怪人。
ホークマルガム:スパナに執着していた錬金術師が変貌したマルガム。皮肉かつ奇しくも彼と同じ道を辿ることとなってしまった。
プロトゼロ:乗り物がモチーフで紫の疑似ライダーとして戦う人物が変身したライダー怪人。こちらも疑似ライダーと怪人を経由して3号ライダーに変身した。