概要
インディーゲーム制作チームである。
兄弟2人によるチームであり、主に探索型ホラーゲームを開発している(なお、Patreonにて2023年4月1日に「実は3人兄弟だった」と発言したが、その後削除されており、日付からしてエイプリルフールのギャグであったと推測される)。兄弟は日本人だが、アメリカで育ち、現在は日本在住とのこと。
兄がモデリングなどCG関連全般、弟がエンジン内のセットアップなどプログラミングを担当し、ゲームデザインやアイデアは2人で考えている。
兄は元々3Dアーティストで、長年ホラーゲームを作ってみたいと考えており、2018年に日本に帰国したタイミングで一人で『Evie』を制作した。このとき「自分にはプログラミング力が足りない」と感じ、弟に手伝ってもらうことになった。弟はもともとプログラミング未経験であったが、英語が得意なことからプログラミング言語の習得にはそれほど苦労しなかったという。
日本のレトロ、リアルな日常を描いた世界観を得意としている。
開発スピードが非常に速いのが特徴であり、2019年以降は2〜3か月に1作のスパンで新作を投稿している。2022年は「閉店事件」1作のリリースであったが、2023年からは再び元のペースに戻っている。
また全てのゲームで価格が1000円以下に抑えられており、気軽に遊びやすい値段設定となっている。
演出面のインパクトや値段に対したボリュームの大きさ・高難易度のゲーム性に加え、Chira's Art側もほぼ全ゲームで動画サイト等での実況プレイを許可・推奨しており、実況者やYoutuber/バーチャルYouTuberからの人気は高く、実況プレイを見て購入する人も増えている。
ゲームの特徴
多くの作品で、2020年代のゲームらしい高画質でリアルなモデルではなく、NINTENDO64~プレイステーション2初期時代のような粗いポリゴンを採用しており、レトロフィルターの画面効果と合わせ「古き良き時代」の中にある古い(明瞭にモノが見えない)からこそ出て来る不可思議な存在に対する恐怖を感じさせる作りとなっている。
エネミーから逃げたり戦ったりするアクションと、謎解きをしながらストーリーを進めるアドベンチャーに大きくジャンルが分かれており、サバイバルホラーとサイコロジカルホラー(いわゆるヒトコワ)の2軸が展開される。
「怖がらせ」の演出として一時期は「轟音+唐突に現れるエネミー」を組み合わせたよくあるジャンプスケアを多用していたが、「夜勤事件」以降からはじわりじわりとにじり寄っていく雰囲気から来る恐怖演出を好むようになっている。そのためビックリ系が苦手なプレイヤーにも手を付けやすくなっている。
また、ローポリ作品では人の顔は敵対する霊的存在等を除き、モブや生存者が写真でとった顔を無理やり粗いポリゴンでできた人間の顔に張り付けたような造形となっているのも不気味さを増長している。
海外のゲームから影響を受けたと思われる作品もある。特に、海外のレトロ風ホラーゲームPuppet Comboのデベロッパー「PUPPET COMBO」が手掛けた『Nun Massacre』(2018年発売)は赤マントに非常に良く似ており、同じデベロッパーが手掛けた『Night Shift』は夜勤事件と非常によく似ている。
最近ではパトロン(支援者)が増えた事により、ゲーム中の広告やキーアイテムにパトロンの名前を貼りだすようにもなっている。これにより開発費が増え、開発のペースが上がり、新しいゲームが作られることでプレイしたパトロンがさらに増え…という好循環に繋がっている一方、Steam上では短いスパンで出る分一つ一つのクオリティが安定しない、ゲームがワンパターンになってしまっているというレビューも複数見受けられる。
代表作
赤マント
言わずとしてた代表作。「おかえり」の時点でそれなりに注目されていたが一気に実況界隈で注目される決定打になった作品。
実はモチーフとなったゲームが存在し、「PUPPET COMBO」が手掛けた『Nun Massacre』(2018年発売、教会で刃物を持ったシスターが追いかけてくるゲーム)の影響を受けており、ジッポライターやダクト、爆音を発しながら追いかけてくる敵などのゲーム性、粗いポリゴンで再現されたゲーム画面の雰囲気まで非常に似ている。
最大の特徴は難易度。襲われたら即死ではなく体力制なのだがとにかく難しく、敵キャラである赤マントの出現が神出鬼没で不意打ちを食らいやすい上、回復手段が非常に少なく、進行によって敵のスピードがさらに速くなる。更には蜘蛛や能面やムカデといった妨害要素も多く、謎解きについてもほぼノーヒント(どこに何があるか、何を集めればクリア等は探索して知るしかない)。これだけでも充分高難易度だが、ここに更にセーブ機能無しが入る。
そのため一度始めたらゲームクリアするまで駆け抜けろという普通にやるには苦行も等しい代物であったが、これが生放送でクリアするまでプレイするというストイックな実況スタイルと見事にマッチし、高難易度なホラゲーを求めていた多くの挑戦者を呼んだ。ライトな実況プレイヤーは殆どが折れてクリアを断念したのは言うまでもない。
以降「怪異のいるステージを探索し、それらを何らかの方法で討伐する」タイプのゲームとして「雪女」「怨霊」等が製作された。
尚、セーブ機能無しは非実況者等のライトなプレイヤーにはキツすぎたためか「怨霊」のアップデート時に遂に実装されて後の作品でもキャラに話しかけるなどでセーブできるようになっている。
2023年にリリースされた『パラソーシャル』ではゲーム内で赤マントをプレイする場面があり、プレイした主人公から「セーブないの鬼畜すぎる」と言われる制作チームの自虐ネタも仕込まれている。
犬鳴トンネル
探索系ホラーゲーム。探索中にやったことと最後の選択肢でエンディングが変わる内容から「赤マント」と「夜勤事件」や「行方不明」の中間に位置するゲーム。
実在する旧犬鳴トンネルをネタにしたホラゲーであり、実際に訪れた(立ち入り禁止区域なので本当は訪れちゃいけない)人たちからも「(トンネル内については)再現度が高い」と言われるほど本家をリスペクトした作品となっている。実在した施設の都市伝説をネタにしたこともあって、ゲーム実況を生業にしていないyoutuberも本作をやっていたりした。
また、このゲームが実況界隈で有名になりはじめたころに映画「犬鳴村」の宣伝が始まったタイミングの良さもチラズアートの代表作入りを果たすきっかけとなった。
夜勤事件
何でもないコンビニの深夜勤務中に怪現象が発生していくという「つぐのひ」等に代表される日常浸食系ホラー。制服の色などから恐らく事件現場はローソン。同じ類のゲームでは「事故物件」「幽霊電車」などがある。
本作も「PUPPET COMBO」が手掛けた『Night Shift』の影響が見てとれる。
普通に進めるとクリアに2~3時間以上かかる長さと、コンビニという身近な施設をネタにした親近感、ホラゲーによくある「轟音+点滅+恐怖画像」というジャンプスケアはないこと、話を追うだけで基本的にクリアできるゲームとしての難易度の低さとマルチエンディングの存在もあって多くの実況者の目に留まった。
本編中に挟まれるある演出が特に有名で、十人十色な実況者の阿鼻叫喚が見られる貴重なシーンとなり、多くの実況者のヒトとしての本性があぶりだされることになった。
国内海外のホラゲー実況者は勿論のこと、特にVtuberは有名どころで実況していない人物はいないというレベルでプレイされ、様々なシーンの切り抜き動画等も有名になっている。実質チラズアートが注目された最大のきっかけがコレと言っても過言ではない。
作品一覧
2018年2月16日 | Evie |
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〃5月10日 | Welcome Back Daddy |
〃6月27日 | Sphaera |
2019年6月3日 | Blame Him |
〃9月7日 | Okaeri |
〃9月24日 | Aka Manto 赤マント |
〃10月26日 | Stigmatized Property 事故物件 |
〃11月19日 | Inunaki Tunnel 犬鳴トンネル |
2020年1月3日 | Yuki Onna 雪女 |
〃2月18日 | The Convenience Store 夜勤事件 |
〃4月25日 | Onryo 怨霊 |
〃6月13日 | Missing Children 行方不明 |
〃7月24日 | The Ghost Train 幽霊列車 |
〃12月11日 | Hanako 花子さん |
2021年1月21日 | Teke Teke テケテケ ※1 |
〃4月3日 | The Caregiver 終焉介護 |
〃6月5日 | Night Delivery 例外配達 |
〃8月7日 | The Night Way Home 帰り道 |
〃10月31日 | The Radio Station 深夜放送 |
2022年3月19日 | The Closing Shift 閉店事件 |
〃10月1日~2023年3月17日 | The Bathhouse 地獄銭湯 ※2 |
2023年2月4日 | The Karaoke ヒトカラ |
〃6月17日 | Night Security 夜間警備 |
〃8月25日 | Parasocial パラソーシャル |
〃11月1日 | The Kidnap 誘拐事件 |
2024年3月23日 | Shinkansen0 新幹線0号 |
〃8月10日 | The Bathhouse 地獄銭湯 Restored Edition ※3 |
※1:NyxTalesとの共同開発
※2:進行不能バグにより提供中止
※3:地獄銭湯のリメイク版で映像の改良や一部要素が追加
関連イラスト
関連タグ
関連ゲーム
Nun Massacre 海外のレトロ風ホラーゲームPuppet Comboのデベロッパー「PUPPET COMBO」が手掛けた作品、赤マントの元になったと思われるゲーム。刃物を持ったシスターが轟音と共に追いかけてくるゲームだが、見つかった時の音量は赤マントを遥かに超えるほどの爆音。
Night Shift 上記と同じ「PUPPET COMBO」が手掛けた作品。夜勤事件は本作の影響を強く受けていると思われる。
関連人物
ガッチマン 特に有名なホラゲー実況者。氏らのパトロンとしても有名。
オースティン・リー 全く関係ない台湾の歌手。だがあるパトロンが氏の名前を使って支援したことで「怨霊」にて重要な存在として意外な登場を果たし(てしまっ)た。