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犬鳴村

いぬなきむら

都市伝説の一つ。外部の人間が立ち入ると帰って来れないという恐ろしい村の話。
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概要

福岡県宮若市と糟屋郡久山町の市境に存在する犬鳴峠。この峠に掘られた犬鳴隧道は明治時代に作られた旧トンネルと1975年に開通した新トンネルの2つがある。

この旧犬鳴トンネルの近くには法の支配が及ばない『犬鳴村』があり、そこに立ち入ったもので生きて帰ってきたものは居ないというもの。
具体的には

  • 日本の行政記録や地図に一切載っていない
  • 村の入り口に「この先、日本国憲法は適用しません」という看板がある。
  • 江戸時代以前から村人たちは激しい差別を受けており、村人は外部の人間を敵だと認識している。
  • 入り口から少し進んだところにボロボロのセダンが置かれており、広場の先にある小屋には骸骨が置かれている。
  • 旧トンネルは柵で塞がれており、それを乗り越えると鳴子が鳴り、斧を持った異常に足の早い村人が追いかけてきて情け容赦なく惨殺される。
  • 村の近くにあるコンビニに置いてある公衆電話は警察に通じない。携帯電話は全キャリア圏外。
といった物。


真相

結論から言えば、犬鳴村伝説はガセである。

そもそも、犬鳴に人が住み始めたのは江戸時代の1691年であり、それ以前は無人の土地であった。
江戸時代末期になると犬鳴で鉱山の開発が始まり、1865年には藩主の避難場所として犬鳴御別館が開設されるなど、犬鳴周辺は間違いなく外部からの人の出入りがあったことが当時の資料などでも確認されている。
ちなみに、当時の建物こそ明治時代の災害で失われたものの、現在でも犬鳴御別館跡には石垣などの遺構が残っていて往時の繁栄を偲ぶことができるし、地図にもちゃんと載っている…ばかりか紹介用のホームページまである。

このように、犬鳴は当時の福岡藩にとっての要所であり、人の出入りも多かったことから、そんな危険な村がずっと見つからないというのは考えにくい。
ついでに、犬鳴御別館が開設された1865年は慶応元年…つまりは明治直前の幕末の最末期であり、そんな文明開化が目前に迫っている時代の、それも閉鎖的どころか人々が行き交う要所において、差別はともかくここまで極端に排他的かつ野蛮な文化と環境が醸成されるとも思えない。

また、たとえ村を見た人が惨殺されていたとしてもおそらくは数例は生還者が居るはずだし、仮に例外なく皆殺しの憂き目に遭っていたとしても、数日も経てば殺された者の家族や友人知人らが心配して行方不明として捜索しだすであろうことは想像に難くない。
また、そうした行方知れずが増えていくと、今度は地元の領主や藩主が事態を重く見て大がかりな捜索や山狩りを行うだろうし、そうなればやがて村の存在が白日の下に晒されるのは必定である。

さらに言えば、そんな危険な村が自分の領地内で発見されたとあっては藩主も当然黙って見過ごす訳がなく、すぐに討伐に乗り出したはずであろうし、いかに村人たちの足が異常に速かろうと戦闘力が高かろうと、物量にも装備にも優れた藩の討伐隊に小さな村が太刀打ちできるとは考えにくい。
そもそも、幕末期にそんな怪物退治のような討伐戦があったら、ほぼ確実に何らかの記録として後世に残るはずである。

また犬鳴村という名前の村は大昔から今日に至るまで、そもそも存在すらしていない。
一応、「犬鳴村」ならば過去に(具体的にいえば明治元年まで)この地にあったのだが、犬鳴谷村はその後周辺の村落を合併して「吉川村犬鳴」となり、独立した村ではなくあくまで村内の集落のひとつとして扱われているなど、「犬鳴村」としてはやはり一度も存在していないし、また日本国内の他の地域にも「犬鳴村」という名前の村が存在していたという記録はどこにも無い。
なお、かつて村があった場所は現在では1994年に完成した犬鳴ダムの湖底に沈んでおり、住人は全員周囲の地域に移転している。

そもそも…

  • 日本の行政記録や地図に載っていない⇒前述の通り、最初から存在しないものが載っていないのは当たり前である。
  • 江戸時代以前から危険な村人がいる⇒そんな危険地帯のある集落の近くに何故わざわざ明治時代に旧トンネルを作ったのか?そもそもそんな集落があるならば、トンネル建設中に村人の襲撃が起きている(=事件として通報されるし、そうなれば警察や軍が動く)はずである。
  • 「この先、日本国憲法は適用しません」⇒日本国憲法の何が適用されないのかが書かれていない。またその理由すらない。「国の法治の及ばない地である」ということをアピールしたいのかもしれないが、現実に日本国内で自治体や行政の許可無しにそんな自分ルールを定めたら、いずれは役人や警察が動くし大々的に報道もされる。
  • 村の近くにあるコンビニに置いてある公衆電話は警察に通じない⇒どういう理由や原理で?店舗内の固定電話は?119番や友人知人にかけて警察に取り次いでもらった場合は?そもそもなんでそんな危険箇所の近くにコンビニがあるの?そんなとこに店構えて、売上はともかく店員の命は大丈夫?…と思うが、実際の犬鳴トンネル付近にはコンビニ自体存在せず、距離的に一番近いコンビニでも犬鳴峠からはかなり離れている。
  • 携帯電話は全キャリア圏外⇒衛星携帯電話はどうなの?無線機は?原始的に狼煙は?あるいは狼煙の火で山火事が発生したら、警察と消防が村に大挙して押しかけてくるけど?



…とまぁ、結構ツッコミどころだらけである。

犬鳴村の噂の出処の発祥と原文(?)

追跡できる形で判明したのは1999年頃に2ch(現5ちゃんねる)オカルト板で立てられたスレッドでこの話が出てきたのが初出だった模様。犬鳴峠と題したスレッドであり、そこに書き込まれたソース元となるリンク先は現在では消滅しており確認不可能だが、依頼内容そしてリンク先アドレスが日テレのものでそれに含まれる文字「FERC」からすると、当時放送されていた噂と謎を追跡する情報バラエティ番組だった日テレの特命リサーチ200Xの視聴者からのリクエストフォームに書き込まれたものをスレ民が発見した可能性が高い(該当番組では架空の調査機関としてFERCという設定があった)。


※以下、リンク先にあった書き込みとみられるコピペ。

4 :2です:1999/11/02(火) 12:32
探しにくいんで、転載しておきます。

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依頼主  匿名希望
タイトル 『日本に在って日本でない村』

依頼内容

福岡県で犬鳴峠という地元ではとても有名な心霊スポットがあります。
私は心霊の類は一切信じないのですが、この地域はどうやら心霊だのなんだの
を抜きにして非常に奇妙な場所のようなのです。

犬鳴峠の、あるトンネルの横に普通では絶対見落としてしまうような畦道があ
ります。その畦道を登っていくとどんどん道は狭くなっていきます。それでも
上っていくと、なんと地図に載っていない村があるのです。畦道の途中には
「この先、日本国憲法つうじません」といった旨の立て札もあるそうです。

ある夜、この村に行こうとした知り合いは、村の入り口(?)にプレハブ小屋を
見つけました。ふと車を止めてそのプレハブを見ていると、いつのまにか4、5
人の男が集まっていて、所謂キレた(イった)目でこっちを見ていたそうです。
彼らはすごい速さで車に近付いてきて、「これはヤバい!!!」と思った知り合
いらは慌てて来た道(村の入り口は急に広くなるためUターンができる)を引き
返したそうですが、車の後ろ部分は、斧のようなものでボロボロにされたそうで
す。

また昼に村に行った別の知り合いは、昼には村には誰もいなくて、ボロボロの木
で戸を打ち付けられた家が何個かあって、広場(?)のような開けた場所に、島
根ナンバーの白い車がグチャグチャになって放置されていたといいます。そうい
えば、以前、この地域で島根のカップルが行方不明になったという話がありまし
た・・・。

また、奇妙なことにその周辺では、どこのメーカーの携帯電話も圏外になるとい
う奇妙な現象も起こります(私のもそうでした。)。また、未確認ですが、そこ
からもっとも近い某コンビニの公衆電話は110番が通じないとのことです。
ある人から聞いたのですがこの村は、警察や国家権力の介入ができない「特別な
んとか保護(?)地域」なんだそうです。たしかに、地元ではとても有名な場所
に関わらず、TV等の取材もなぜか峠止まりなのです。

一説には、この村は江戸時代以前とても酷い差別を受けていていつからか外界と
の接触を一切断ち、その村だけで自給自足し、また女性の絶対数が少ないため近
親相姦を繰り返し、遺伝的に危ない人になったのではという話もありますが、そ
れは単なる憶測に過ぎません。

一刻も早い調査をお願いします。
最近、興味半分でこの地域に行く若者が急増しているのです・・・。

進行状況 未調査

※ここまでスレッドで書かれた原文ママ

…と、先述の犬鳴村の概要とはやや異なる部分が見受けられる箇所がある。危険人物がいる地域なのに「特別保護地域」という不可解な記述等が含まれている。また、村の名前すら出ておらず「日本に在って日本でない村」「犬鳴峠に存在するとされる村」としか語られていない。
依頼投稿者からして「~のようだ」「~だそうだ」の伝聞調であり「村の実情が憶測にすぎない」と言っている上にそもそも投稿者自身が実際に村へ行った事がないとしか読めない

「噂」の特徴である伝聞調と憶測の羅列ゆえに確証となるものが一つもないのでやはり初出からしてガセネタ(作り話)の臭いしかない。そりゃ番組でも未調査で終わっているはずである。
なお、念の為に言っておくが当時の番組投稿フォームに書き込まれていたかは先に述べた通りサイト自体削除されている為、その先は追跡不可能である。しかも今となってはこのコピペ自体もコピペを装ったものである可能性も捨てきれない。

よってこれがネットを介して噂が広がっていった事はほぼ確実である。ネット経由の噂話は既にネットが普及して20年以上過ぎた事でリンク切れやサイト消失によって手掛かりとなるものの確認の術が途絶えたのが多くなってきている。それでもこの都市伝説は辛うじて手掛かりが残っていた稀なケースであった。

さらに面白い事に似たような話の出処のソース元が未だ判明しない「杉沢村伝説」は、実際にフジテレビの番組「奇跡体験!アンビリバボー」で何度か取り上げられた事で有名になっていったのに対して、「犬鳴村伝説」は番組で全く取り合わなかったのにネットで有名になった事が対象的である。

犬鳴村が1999年で杉沢村は2000年と非常に年代が近かったのも特徴的だったと言えよう。




関連項目

都市伝説
杉沢村…同様の都市伝説。
バイオハザード4プラーガに冒されたためとはいえ、「閉鎖的・排他的なコミュニティ」「村人が極めて狂暴で全力で殺しにくる」「骸骨が山積みになった家屋」などの類似する点がある。序盤は本当によく似た展開が続く。なおバイオハザード4は2005年発売であり、先述の都市伝説の初出年の方が先である。

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都市伝説 としでんせつ

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