「私は星の囁きを聞き未来を読める。黄金郷などという愚かな妄想に囚われたあなたには見えない正しき世界の姿が…」
「悪意こそ、人類とケミーを正しき進化へと導く道標……。封じられた記憶を呼び覚まし、やがて憎しみの連鎖が世界を包む…!」
データ
身長:216.3cm
体重:93.0kg
特色/力:占星錬金術
概要
『仮面ライダーガッチャード』の登場人物。ウロボロス界の扉の中に潜んでいた冥黒王の1人。
冥黒王共通のマルガムの素体に似た複数の腕で構成された黒い身体を持つが女性的で、バンドが左横に流れた顔部分は両手で覆い隠しているような不気味に造形になっている。
複腕は上に掲げたような造形となっており、金色の球体は右肩と胸元、三角の仮面は左腕と同化している。
人物像
非道かつ冷酷な性格の持ち主で、淡々と事実のみを告げるような何処か無機質さを感じさせる丁寧な女性の声を持つ。
人形であるグリオンはおろかジェルマンやギギストのような同格の冥黒王も内心小馬鹿にしているらしく、賢者の石の欠片を持つ宝太郎に拘り過ぎたが故に敗北したと言及している。実際、ジェルマン等と異なり特にニジゴンは重要視していないらしく、大錬金術師である九堂風雅の血を引くりんねやホムンクルスでありながら家族を取り戻そうと躍起になっているクロトーに興味が湧いている様子。
しかし、「心を捨て去り、定められた運命を受け入れてマルガムになる事が人類の正しい進化である」という思想の元にかつてマルガム化した人間を再び冥黒の力で怪人化させるなど、その考えの極端さや危険性は他の冥黒王と五十歩百歩と言って良い。
しかも、錬金術によって一度は消された忌まわしい記憶を掘り起こしては対象の精神を追い詰めたり、ケミーの記憶を思い出した人々が悪意を振り回す様子を見て愉悦に浸るなど、人の心を引っ掻き回す悪どい作戦を考える事を好む。
能力
激戦と困難を乗り越えた仮面ライダーと互角に渡り合うほどの戦闘力を持つ。
また、錬金と占星を用いた独自の術式体系である「占星錬金術」を確立しており、あらゆる事象を星の巡りに委ねるとされている(現実世界のローマ帝国時代の初期の錬金術でも「錬成は太陽・月・惑星が特定の星座の位置に有る場合にしか成功しない」という考えが主流であり、当時の錬金術師にとっては占星術の知識・技能は「本業を行なう上での必須の基礎知識・基礎技能」でも有った)。
戦闘でも占星術を遺憾なく発揮し、レインボーガッチャードの攻撃を予言し、咄嗟に防御している。
冥黒の力を持つが故に同格のジェルマン、ギギストが発動した錬金術も無効化させることが可能で、強大な力と引き換えに痛みに苦しむクロトーレビスを元に戻すという芸当も見せた(この際クロトーに一瞬星座が浮かんでおり、占星錬金術も応用していたと思われる)。
無論通常の錬金術の腕前も極めて優秀であり、マルガムとなった人間に残されたケミーの因子でケミーを結合させずにマルガムを錬成したり、かつてジェルマンが錬成したゴーレムも作り上げクロトー達に貸し与えたこともある(ただし、ジェルマンの個体よりも耐久力が若干劣っている模様)。
活躍
ジェルマンと共に暗黒の扉から出現し、ギギストと合流。この時仮面ライダーレインボーガッチャードとの戦闘で負った傷を再生している彼に嘲笑するでもなく冷たい声で自分たちを出し抜こうと抜け駆けした彼を叱責した。
グリオンの復活を懇願するアトロポスに対し、肝心の彼が単なる手慰みで作った人形だった事実を明かし、その後はショックを受ける彼女やクロトーに何の感慨も抱くことなく、ジェルマンの意見に賛同する形で九堂風雅の研究室を襲撃。
その後はアトロポスの密告で駆け付けた宝太郎と戦闘を開始し、ジェルマンやギギストと追い詰めるも撤退されてしまう。
勝手に動こうとするジェルマンに詰め寄られるも「自分の星が巡っていない」と一先ずは傍観することに徹した。
第41話では、得意の占星錬金術で「今日あなたは欠片を手に入れる」とジェルマンに告げたが、その本人は宝太郎達との決戦の末敗北し、アトロポスに利用される形でグリオンの再錬成の素体にされてしまった(実際どのような結果だったのかは不明。ただ、ガエリヤが単に外した可能性は考えにくく、恐らく彼を騙した可能性が高い)。
第44話で遂に暗躍を開始。手始めにクロトーを傘下に引き入れ、彼女に対して狩谷と矢吹恭一といったかつてマルガムと化した過去を持つ人間を刑務所から脱獄させると、彼らに残るケミー因子を覚醒させることで人間のみでマルガムへと変貌させた。
続く第45話でクロトーや矢吹/ジャングルマルガムに姫野聖を誘拐、自身のアジトに連れて来させる。
「ようこそ。星に選ばれし、特別なる者よ」
聖「化け物…!」
「神に対してその言い草は感心しませんね。ですが……寛大な心で許します。貴方も立派な化け物なのですから」
「さあ、貴方の絶望を解放するのです。あの時と同じ様に…!」
彼女の兄や自分がバッテリーマルガムに変貌し悪意のままに殺害しようとした封じられた記憶を蘇らせ、自己嫌悪に陥った彼女の強い憎しみから特殊なバッテリーマルガムを錬成。結果として聖は仮面ライダーたちの手で救われたが、彼女の特殊能力に着目して抽出し粒子状にまで具現化した悪意とケミー因子を全ての人間に振り撒き、善人や悪人を含む多くの一般人に錬金術師及び仮面ライダーたちの存在が表社会に拡散。
純粋に好意やケミーに会うのを望む者もいれば、ケミーを恐れたり、力に魅入られてマルガムになろうとする者、錬金術師やケミーを悪と決めつけ誤った正義で暴動を起こす者も現れ始め、錬金術師も対処できないほどまでに広がってしまう。
第46話では、消された記憶を思い出したゴーレム剛力を脱獄させ、ゴリラセンセイの因子を活性化させゴリラマルガムへと変貌させた。そして、自身も戦闘に介入しヴェノムダケを強奪し近くにいた悪人と結合させてポイゾナスマッシュルームマルガムを誕生させた。
その後、りんねに謎の錬金術を施し(本人曰く「いずれわかります。」とのこと。)、宝太郎とりんねに対して「この渾沌の中、ケミーによって大切な生命が失われる」と呟き、その場を後にした。
その後、この事態を終息させる為に黒鋼スパナが下した全ケミーの処分と言う非情な決断を高らかに嘲笑い、「全ては星の囁くままに…!」と呟いていた。
第47話では、「誰であろうと星の告げる未来からは逃げられません…!」と呟きつつ、クロトーにアトロポスを連れてくるように命令。
その後、アトロポスを拘束し「約束が違う」と反論したクロトーを「場をわきまえなさい」と一蹴。
アトロポス「僕をどうするつもり?」
「ウフッ…可愛い人形、貴方はまだ自分の可能性に気づいていない。貴方たち人形にはモデルとなった人間がいます。これから行う儀式により、そのモデルの力を貴方に全て注ぎ込みましょう」
「そうすれば、モデルとなった人間は死に、貴方は究極の人工生命体となる!私のために、さぞ働いてくれるでしょうね…」
アトロポス「僕の……モデル?」
「そう。それは……“九堂りんね”」
そして、アトロポスの目の前で彼女のモデルが幼い頃のりんねであることを暴露。りんねに施した術式をアトロポスにも刻み込み、りんねの死と引き換えに究極の人工生命体・キマイラに変え、自身の忠実な僕にしようと目論む。
末路(第48話)
りんねを自身がかつて施した錬金術で転送した上で拘束し、アトロポスを素材にキマイラに錬成しようとするも、そこに愛娘を助けんと九堂風雅とグリオンが乱入。
それでも落ち着いた態度を崩さずに、りんねとアトロポスをブランクカード(おそらくレプリケミーカード用のもの)に閉じ込め、風雅とグリオンを魔法陣の上に拘束。「決闘に必要なもの以外は立ち入れない」というルールを結界に定義した上で銃と一発の弾丸を錬成し、二人に「互いの生命を賭けたロシアンルーレット」を強制する。
同じく居場所を突き止めた宝太郎とニジゴンが乱入しようと奮闘しているのを嘲笑いながら二人の勝負を見ていたが、放たれた弾丸が蝶のように霧散しただけでなく何故か侵入成功したガッチャードによって失敗に終わる。
実はガエリヤの言葉を聞いた宝太郎は機転を利かせ、勝負に必要な道具として銃の形態を持つバレットチョウチョワイルドに変身して侵入。
結果としてりんねとアトロポスも解放されてしまい、そのままガッチャードとの戦闘になるが、とうとう本性を表したグリオンが自身の目論見を実現しようとしたのを阻止すべく、「素材を壊してしまえばいい」と今度はりんねの抹殺に方針を転換した。
それを妨害しようとするガッチャードやマジェードを自身の実力で軽くあしらい、変身解除に追い込み、
満身創痍のりんねに止めの光線を放つが、これまでの事を思い返し改めてりんねとの約束を果たす事に決めたアトロポスが身を挺して彼女を守ったことで消滅してしまう。
「どちらが死んでも同じこと、キマイラは完成しません。しかし、人形が人を守るとは……喜劇と言えるほど愚かしいですねぇ!アッハハハハハ!」
ガエリヤからすれば片方が消えればどうでもよく、妨害自体は成功したため、人間のように無駄な行動をした彼女を嘲笑するも、りんねの逆鱗に触れ、新たに変身した仮面ライダートワイライトマジェードと交戦。
「姿は変われど、貴方の未来は読める。貴方の攻撃など当たるはずが…」と占星錬金術で変わらず優位に立てると高を括るも、マジェードに宿ったアトロポスの意識から繰り出す動きまでは予測出来ずに動揺、劣勢へと追い込まれてしまう。
「何故……何故、運命に抗おうとする!?人は皆、怒りや悲しみに支配されるもの……。だから、星に示された運命を受け入れ、心を捨てる事が正しき進化なのですっ!かつての私も、そうして人間を捨てた……!」
「意思を持たず星の導きに従うのが救済だ」と縋るように呟くガエリヤだが、りんねからは「あなたは間違ってる!どんなに辛くても、自分の生き方は自分の心で決めなきゃいけないんだ!」と否定され、最期はトワイライトマジェードの『トワイライトノヴァ』を喰らい爆散・消滅。
内包していた賢者の石はグリオンとギギストに還元され、冥黒王の中では2番目の退場となった。
人の心を脆いと決めつけ、星の導きに従って思考を停止した冥黒王は自分のルールに従って進み続ける若き錬金術師と、人の心を宿して共に戦うことを決めたホムンクルスの繋がりの前に撃破された。
最終話では、グリオンが生み出したコピー体が登場。意思もない物言わぬ人形として戦いに赴いたが、トワイライトマジェードの必殺技「ギャラクティック・ノヴァ」で撃破された。
余談
- CVの伊藤女史はこれまでハピクローバーやユニコンなどの多数のケミーの声を演じている。
- これまでのアニメであまりヴィランキャラクターを演じて来なかった伊藤女史の芝居を見たいという松浦大悟APの熱意によりキャスティングされたとのこと。
- 第46話にて、「おやおや。2対1だなんて、卑怯な仮面ライダーですね」と呟きながら戦闘に介入していたが、第40話にて4人がかりで風雅を襲撃していたため、「お前が言うな」とツッコまれている。
関連タグ
アズ:『仮面ライダーゼロワン』の登場人物。ガエリヤと同様に「人間の悪意」を利用した計画で主人公達を苦しめていた。