「俺は人間を愛しているから! まずは人間の幸せのために、一番邪魔な蝿を消しに行こうか……!」
「俺の名はジェルマン! 俺は人間を愛しているからさぁ~、全てマルガムに変えてあげたいんだ〜!だから……ケミーを寄越せ」
データ
身長:221.3cm
体重:114.0kg
特色/力:錬金術
概要
『仮面ライダーガッチャード』の登場人物。
冥黒王共通のマルガムの素体に似た複数の腕で構成された身体を持つが、魔導師然としたギギストとは異なり、鎧を着込んでいるような黒い身体となっていて、背中には二対の突起が生えている。複腕は上に掲げたような造形となっているが、背中を丸める体勢を取ると我先に欲しいものをせがんで手を伸ばしているような造形にも見えるようになる。
金色の球体は両肩と胸元、三角の仮面も腹部に埋め込まれている。
人物像
「人間の心なんて理解してどうする? 人間の本当の望みは、俺たちに支配され、正しい進化をケミーと共に辿ることだ!」
落ち着いた物腰の同胞二人とは異なり、非常に多弁かつ騒々しい言動の持ち主で、若々しい声色とおどけた態度を取りながら雄弁に語る姿は道化師を思わせる。
「人間を愛している」と語るが実際は愛玩動物を戯れで可愛がっているようなもので、自分たちの扱う錬金術を「神の力」と称し、冥黒王を神であるとのたまう傲慢な人格。
自分たちの技術を猿真似しておきながら我が物顔で生きる錬金術師のことは「目障りな蝿」と見下している。
その本性は愛を与えると嘯きながら、自分の愛を受け入れない存在には極めてヒステリックに喚き散らすなど強烈な自己愛を押し付けるエゴイストである。
能力
錬金術師が基本とする「万物はこれなる一者ノ改造として生まれうく」の詠唱のみで周囲にある普通の石物から人工生命体・ゴーレムを錬成するなど、自らを「錬金術の始まり」と豪語しても差し支えが無い、高度な錬金術の使い手。
素の戦闘力も高く、前回のエピソードでギギストを圧倒したレインボーガッチャードを(他の冥黒王と同時に攻撃し、仲間を庇ったとはいえ)あっさりと変身解除に追いやっている。
主な攻撃手段は両手から放つ冥黒のエネルギー弾。
活躍
ナレーション「一ノ瀬宝太郎が、解放された最後のケミーとガァーッチャンコ! これにて、101体全てをガッチャ! さらには、冥黒王ギギストもレインボーガッチャードとケミー達の力によって撃破し、世界には平和が訪れた!」
「だが……“冥黒王が一人”だなんて、誰が決めたんだい?」
同胞のガエリヤと共に暗黒の扉から現れると、レインボーガッチャードに敗北したことで自分の身体を再錬成していたギギストの前に出現。抜け駆けしようとした彼を嘲笑し、グリオン復活を願うアトロポスに種明かしとばかりに「自分が取り込んだ」ことをからかいながら告げた。
ここでギギストの口からプラチナガッチャードに敗北したグリオンを扉の向こう側に引き摺り込んだ腕がジェルマンのものであることが判明。初陣として取り分け目障りな蝿である本物の九堂風雅に狙いを定める。
「俺たち、神の力を模倣するうるさい蝿……錬金術師。その中で一番強い蝿がお前だろ?」
他の冥黒王と共に隠れ潜んでいた研究室を特定し、更に力を与えて暴走させたクロトーに襲撃させるも、アトロポスから情報を得た九堂りんね経由で異変を知った一ノ瀬宝太郎達がエクシードファイターの力で駆けつけたことで仮面ライダーマジェードと戦闘を開始。この事態に「掃除が一度で済む!」と意気揚々としていた。
戦闘中、「マルガムこそ人類が進化するための要素」と語りながらケミーを渡すよう促すも当然拒否され、実力行使とばかりにゴーレムを錬成。
「はぁ…マルガムはケミーと人間の正しい進化の道筋。謂わば、世界の意志なのに……。それを阻む悪者達にはご退場願おうか!」
後一歩まで追い詰めるも、ミナトと風雅の機転によって撤退を許してしまう。
その後、この件を自身に一任するように他の2人に半ば強要していたが、単独行動を不審に思い抜け駆けを警戒したギギストから「玉座は渡さぬ」と反論されるが、「まだ傷が痛むだろ?大人しくしてろよ〜」と地に伏させた上に煽り返して黙らせ、ガエリヤにも同意を求めて独自で活動を開始する。
末路(第41話)
その後はニジゴンを奪うべく、姿を消した彼を探していた宝太郎とりんねの前に現れ、再びゴーレムを錬成して攻撃を仕掛ける。
それでも奮闘するプラチナガッチャードとマジェードに抑え込んでいた苛立ちが爆発。
「低能なる人間ども……大人しく俺の愛を受け入れろよォォ! 優しく飼い慣らしてやるからさァ!!」
そう叫ぶと、ゴーレムを媒介に強烈な錬金術を発動、二人のライダーに更なる猛攻を開始する。
ガッチャードとマジェードをゴーレムだけで圧倒するが、マジェードの攻撃で隙を生んだゴーレムはインフェニックスの力をまとわせたプラチナガッチャードの「プラチナシュートフィーバー」で爆砕され、自身もスチームホッパーに続け様にチェンジしたガッチャードの「スチームホッパーフィーバー」で思い切り蹴り飛ばされて膝をつく。
「面白い……楽しみが増えたよ!」
言い残してその場は撤退したが、その後ガエリヤから「今日、ジェルマンの中に欠片が宿るでしょう」と告げられ、「遊び」の時間が思ったより短かったことに落胆する様子を見せる。
そのままニジゴンの気配を追って出撃するが、スパナも加わったトリプルライダーと錬金術師三人を加えた5人が立ちはだかり、レインボーガッチャード、マジェード、ヴァルバラドと戦うことに。
三人がかりの猛攻を意に介さず余裕をもって渡り合うが、ミナト達の錬金術で横槍を喰らい、それぞれの意志のもとに奮起したマジェードとヴァルバラドに立て続けの攻撃を受け、一転して攻撃を避けられず次々と被弾。
さらに、二人の雄姿と「力がなくとも誰かを応援することができる」と言う結論に至ったニジゴンを見て奮い立った宝太郎がガッチャーブラザーズでスチームホッパー、アントレスラー、ライトニングジャングルを召喚したことで頭数が一気に不利になる。
一瞬前までの余裕はどこへやら、4人のガッチャードによる間断ない連撃とレインボーガッチャードの錬金術で翻弄された挙句、スチームホッパーのキックを喰らったところをアントレスラーのスープレックスで叩きつけられ、ライトニングジャングルの電撃も浴びてボロボロに。積もり積もった苛立ちが爆発し、ヒステリックに喚き散らす。
「安心して死んでいけよォォォッ! 人間は俺が管理し、幸せにしてやるゥゥゥゥ!!」
りんね「人の幸せは、人が決める!」
スパナ「お前の出る幕はない!」
宝太郎「行くぞーっ!!」
そのままガッチャーブラザーズの手を借りて高空へ跳び上がった三人のトリプルライダーキックを受け、渾身のバリアで防ぎ切ろうとするも果たせず直撃。
「バカな…!? 正しいのは俺……なのにいぃ……!!ウワァアァァァァァ―――――ッ!!!」
大爆発を起こして敗北したが、それでも死には至らず、まともに動けない状態ながらもかろうじて生存していた。
最期を見届けに現れたアトロポスを「おいそこの人形、こっちに来い……お前を食って、力を……!」とここでも上から目線で招くが、アトロポスは元よりそれに応じるつもりなどなく、無言のまま歩み寄ると、グリオンの残した金色のキューブをジェルマンに埋め込んだ。
「うっ!何を!? うぐ、おお、あが、がっ……うぐ、うぅぅ、うおおおお……おああああああ――――!!」
ダメージで力を失ったジェルマンはキューブの力に耐えられず、うごめく体でのたうちまわった挙句断末魔と共に消滅。
入れ替わりにその場に立っていたのは……。
グリオン「……冥黒の檻の中で何度も夢に見た顔だ……。その眼に金色の世界を映すまで……私は決して、滅びない」
何と自身が食らったグリオンの新たな肉体として利用され、その自我を消滅させられ、冥黒王の中では1番最初の退場となってしまった。
結果的にペットのように扱っていた人間の錬金術師の絆の力に敗北し、『人形』と見下していた相手に滅ぼされるという因果応報の末路を迎えることとなった。
最終話では、グリオンによって生み出されたコピー体が登場。意思もない物言わぬ人形として戦いに赴き、レインボーガッチャードと交戦。しかし、仮面ライダーウインドの加勢によりレインボーガッチャードが巨大キューブの方へ向かったため、ウインドと交戦することとなり、最終的に必殺技「ブラックバハムートビッグバンノヴァ」で撃破された。
ファイナルステージでは復活したグリオンが変身した仮面ライダードレッド終式の禁術で蘇った意思を持たない人形として現れ仮面ライダーの力を持たない錆丸、蓮華、加治木を襲うも自分の名を騙って大切な友人を傷つけられて機嫌が悪い仮面ライダーレジェンドが現れ金色の悪意人形とともに襲いかかるも会場のカグヤファンのゴージャスな輝きを受けパワーアップしたレジェンドに押されていきがしまいには手頃のいい椅子代わりにされ最後はゴージャスアタックライドを受け撃破された。なおレジェンドは直接グリオンと相対していないためグリオンと勘違いされている。
余談
- CVの天﨑氏はエクシードファイターとの兼役。初登場となった同話ではエクシードファイターも登場している。
- スーツアクターの浅井氏は同作で仮面ライダーガッチャードデイブレイクを担当している。なお、浅井氏が怪人役を担当するのは『仮面ライダーゼロワン』のアークマギア(オニコタイプ)及び『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のヤバソード以来約4年ぶり。
- 制作陣はジェルマンを退場させ、グリオンを復活させる前提で展開を考えていたらしく、公式サイトで「皆さん、復活したグリオンです。私は冥黒の三姉妹の生みの親――。この度は皆さんに、残念なお知らせがあります。冥黒王ジェルマンは、ラスボスではない。私の野望の、捨て石だったのです――。」と某科学者のどっかで見たことあるような演説を引用してコメントしている。
- ただ、天﨑氏と浅井氏の演技が予想以上に素晴らしかったため、少し後悔しているとのこと。(By.松浦大悟AP)