作品情報
概要
原作:武田綾乃(たけだ あやの)、漫画:むっしゅによる、放送部を舞台とした青年漫画作品。
月刊誌『ウルトラジャンプ』2021年7月号から連載が開始されており、2022年1月19日にはコミックス(単行本)の第1巻が発売。あわせてコミックス1巻発売記念のプロモーションビデオも同日に公開されている。
なお、作品の取材については原作者:武田綾乃の母校である嵯峨野(さがの)高校の放送部が協力しており、作中に登場する放送室やスタジオなどの描写は作者の記憶ほぼそのままの形で登場している。(武田綾乃公式Twitterアカウント 2022年1月20日更新分)
ストーリー
人口600人の小さな島・十鳴島に住む花奈は、島の子供たちに向けて朗読会を行うほど朗読が好きだった。
花奈の“読み”に人を惹きつける力を感じた瑞希は、自身が部長を務める放送部への入部を誘う。
「お前の本当の願いを言え、アタシが叶えてやる」
「私、放送部に入りたいです」
入部を決意した花奈は、たくさんの“初めて”を放送部のメンバーと共にし、大好きな朗読を深めていく…。
(『ウルトラジャンプ』公式サイトの作品あらすじ紹介より引用)
登場人物
すももが丘高校放送部
なお、判明しているプロフィールは単行本5巻(1年生)・単行本6巻(2年生)に基づく。
春山花奈(はるやま はな)
(CV:悠木碧 ※コミックス1巻発売記念PV / 藤寺美徳 TVアニメ)
学年 | 一年三組 |
出身中学 | 十鳴中学 |
誕生日 | 5月7日 |
出身地 | 十鳴島 |
身長 | 151cm |
好きなもの | 朗読、お母さん |
嫌いなもの | お化け屋敷、暗算 |
人口600人の小さな島・十鳴島(となきじま)に暮らしている、朗読が大好きな高校1年生の女子生徒。5歳の時に父親が離婚し、それ以来十鳴島で母親と二人暮らしをしている。
普段は押しに弱く引っ込み思案な性格であるものの、その身の内には“好き”という気持ちによって磨き上げられた天性の朗読の才能を秘めている。
すももが丘高校に進学する前日、島の子どもたちを前にして朗読会を開いていたとき、偶然その『読み』を聞いていた同校放送部の瑞希と出会う。彼女からの強い勧めによって外の世界へと踏み出す決意を固めた花奈は、晴れて放送部の新たな一員として迎えられ、Nコンへの挑戦をはじめとするさまざまな出来事に触れることになる。
薄頼瑞希(うすらい みずき)
(CV:日笠陽子 ※コミックス1巻発売記念PV / 島袋美由利 TVアニメ)
学年 | 二年一組 |
出身中学 | 鳴野中学 |
誕生日 | 1月26日 |
出身地 | 美芭蕉市 |
身長 | 171cm |
好きなもの | 友達、昔の映画 |
嫌いなもの | 祖母、将来 |
すももが丘高校放送部の部長を務めている、明るく溌剌(はつらつ)とした高校2年生の女子生徒。
ショートヘアにパーカーというボーイッシュな外見に違わず、強引で大仰(おおぎょう)な振る舞いが目立つが、同時に他者を思いやる面倒見のよさも備えている。家庭の事情のためか、海沿いのアパートで一人暮らしをしている。
部活で使うネタ探しのために十鳴島を訪れていたところ、偶然朗読会を開いていた花奈と出会い、彼女を自身が率いる放送部へと誘う。その過程で、花奈が秘めている『読み』の圧倒的な才能を目にした瑞希は、過去のしがらみによって一歩を踏み出せない彼女のために手を差し伸べ、放送部という新たな世界へと連れ出している。
冬賀萩大(とうが しゅうだい)
(CV:千葉翔也)
学年 | 一年三組 |
出身中学 | 第三中学 |
誕生日 | 12月30日 |
出身地 | 美芭蕉市 |
身長 | 177cm |
好きなもの | 音・音楽 |
嫌いなもの | 束縛されること |
花奈と同じクラスに所属している、高校1年生の男子生徒。
気だるげな雰囲気と冷めた言動が目立つが、同時にものづくりに対する熱い想いや聡(さと)い一面も見て取ることができる。
中学時代から放送部で活動していた経験者であり、当時から映像やラジオ作品の効果音作りに没頭していた。
同じく放送部経験者の杏とは犬猿の仲。
夏江杏(なつえ あん)
(CV:和泉風花)
学年 | 一年二組 |
出身中学 | 第二中学 |
誕生日 | 7月21日 |
出身地 | 美芭蕉市 |
身長 | 161cm |
好きなもの | 勝利、オシャレ |
嫌いなもの | 敗北、ダサいもの |
中学時代から放送部で活動していた経歴を持つ、高校1年生の女子生徒。
威風凛然とした印象どおりの、他者と馴れ合うことをよしとしない生真面目さの持ち主。中学のころからスパルタな活動に勤しんできたため、放送部員としての技量は高い。
挫折や苦境をバネにしながら自身を鍛え続けてきたこともあり、朗読が好きという想いだけで放送部の世界に飛び込んできた花奈のことをあまり好ましく思っていない。
同じく放送部経験者の萩大とは犬猿の仲。
「一番である」事にこだわっている。
秋山松雪(あきやま まつゆき)
(CV:山下誠一郎)
学年 | 一年二組 |
出身中学 | 第一中学 |
誕生日 | 10月18日 |
出身地 | 美芭蕉市 |
身長 | 170cm |
好きなもの | 特になし |
嫌いなもの | 特になし |
学年一位ですももが丘高校に入学してきた、高校1年生の男子生徒。
入学式の式辞担当に選ばれるほどに優秀な勉学の才を誇っており、普段から物腰柔らかな振る舞いのもとに周囲と接している。
放送部員としての経験はないものの、入学式の式辞から素質を感じ取った瑞希から熱烈な勧誘を受け、放送部の新たな一員として迎えられている。
整井良子(ととのい りょうこ)
(CV:安野希世乃)
学年 | 二年二組 |
出身中学 | 第一中学 |
誕生日 | 6月3日 |
出身地 | 美芭蕉市 |
身長 | 156cm |
好きなもの | 古典、放送部 |
嫌いなもの | 運動 |
すももが丘高校放送部の副部長を務めている、眼鏡をかけた高校2年生の女子生徒。
醸(かも)し出す雰囲気や発せられる声音はマシュマロのような優しさと柔らかさに満ちており、終始穏やかな笑みを浮かべながら1年生部員たちを見守っている。
活発な性格の瑞希とも、適度にあしらいながら良好なコンビぶりを発揮している。
箱山瀬太郎(はこやま せたろう)
(CV:坂泰斗)
学年 | 二年二組 |
出身中学 | 第一中学 |
誕生日 | 3月20日 |
出身地 | 美芭蕉市 |
身長 | 181cm |
好きなもの | ゲーム、漫画、アニメ、インターネット、放送部 |
嫌いなもの | 注目されること、ガラの悪い人、自分 |
瑞希や良子たちとともに放送部で活動している、無口で大柄な高校2年生の男子生徒。
背の高さとは裏腹に寡黙かつ人見知りな性格で、しょっちゅう部長の瑞希に引きずり回されている。
放送室のスタジオの一角にある本棚周辺を自身の領土にしており、そこに引きこもることを常としている。
吉祥寺博美(きちじょうじ ひろみ)
すももが丘高校放送部の顧問。担当科目は国語で、京言葉を操るナルシストな男性教師。
普段はつかみどころのない飄々(ひょうひょう)とした振る舞いが目立つが、アナウンスや朗読の指導においては鋭い観察眼に基づいた手厳しい評価を下している。
自身も高校生時代に放送部員としてNコンの全国決勝で優勝しており、経験と知識に裏打ちされた指導は瑞希をはじめとする放送部員たちから高い信頼を預けられるものとなっている。
他校の放送部
ライラック女学院
牡丹鉾ぽここ(ぼたんぼこ ぽここ)
三年。去年のNコン京都の朗読部門で一位を取った実力者。
しかし異様に人との距離を詰めるのが得意なコミュ強でもあり、特に「朗読の才能がある」と確信した人に対してはその傾向が強くなり、抱きついたりすることも多々。
柊谷満歌(ひいらぎだに みつか)
二年。放送部のエースと言える存在で、去年のNコン京都のアナ部門で一位を取る。
人前ではいつも表情を変えないが、牡丹鉾に心酔しており、その際には人知れず表情を崩す事も。
香玲(しゃんりん)
一年。中等科の途中までは中国にいたため、片言の混じった話し方をする。
合同練習会で花奈の隣の席となった。
音羽高校
曇美咲(くもり みさき)
一年。合同練習会で花奈の隣の席となった。
夏江杏とは幼なじみだが、中学時代に美咲がNコンの朗読部門で上位になってからはぎくしゃくした関係になっている。
箕原無花果(みのはら いちじく)
三年。映像制作に高い技能を持ち、音羽高校を去年のNコン京都で創作テレビドラマ部門一位に導いた実力者。瑞希曰く「(音羽高校は)ワンマンなんだよ、無花果の。だから無花果の芸術性が爆発してる」。
萩大とは過去に「3日間だけ」付き合っていたようだが…?
千鶴高校
西野蓮吾(にしの れんご)
三年。千鶴高校放送部部長。気さくな性格。千晶曰く「毒にも薬にもならないタイプの男だけど、意外に頼りになる所もある」。
箕原に片想いしている。
林千晶(はやし ちあき)
三年。林まなか・林もなかの妹。人見知りが激しい。
西野に片想いしている。
その他の登場人物
花奈の母
名前は不明。夫と離婚した後女手一つで花奈を育てている。十鳴島に花奈を放送部に入るよう勧誘しに来た瑞希を泊めてくれるなど、優しい性格。
しかし「家の中で、西園寺修羅の出ている番組やCMを見ない事」が花奈にとっての暗黙のルールになっていたり、娘が放送部に入部しても(帰宅が遅くなるにも拘らず)本土への転居や下宿生活の許可などをせず、そのため花奈も十鳴島に住み続けながら高校に通っている事になっているなど、謎が多い。
西園寺修羅(さいおんじ しゅら)
幼少期から天才子役として名を馳(は)せている、花奈たちと同世代の少女で、東京都の私立帝龍学園高校に通っている。。前年度のNコン朗読部門で優勝に輝いた実力者でもある。
聞く者をあまねく魅了する類稀(たぐいまれ)な『読み』の力と、Nコンの朗読部門優勝という華々しい功績によって多方面に活躍の場を広げており、その際限ない活動のやり方は賛否両論を巻き起こしている。
花奈は小学生のとき、テレビ番組のなかで朗読をする彼女の姿を目にしており、その『読み』の圧倒的な力を前にして強い憧れを覚えている。
猫井(ねこい)
花奈と同じ班のクラスメイトで、彼女の隣の席に座っている。
ワイワイと賑やかに振る舞うムードメーカーで、花奈のことを「春っち」と気安く呼びかけている。
放送部の杏と同じ中学校の出身であり、その当時は陸上部で活動するかたわら、放送部のインタビューで彼女と顔を合わせるなどしていた。
弧ノ夜野終里(このよの おわり)
InstagramやTikTokなどのSNSにおいて、若者から人気を集めている新進気鋭の詩人作家。年齢は23歳。
自身の詩集『叫』が西園寺修羅とのコラボレーションを果たし、舞台化されている。
また、一身上の都合によりしばらく会えていない弟がおり、彼から連絡が来た際には喜びをあらわにしている。
林まなか・林もなか(はやし まなか・はやし もなか)
KYTテレビアナウンサーで、千鶴高校のOG。吉祥寺とも知り合い。
合同練習会で各高校の生徒たちを指導した。林千晶の姉でもある。
薄頼真由美(うすらい まゆみ)
瑞希の祖母。「頼天グループ」を夫に代わり経営しており、赤字続きだった会社を立て直した実績から「絶対のルール」となり、瑞希の両親さえも逆らえない存在。
会社経営以外にもフラワーアレンジメメントの指導など、多彩な活動を行っている。
薄頼光希(うすらい こうき)
瑞希の兄。現在は頼天京都本社のグローバル広報戦略室の室長を務めている。
祖母のやり方に反発して家を出た瑞希を案じており、瑞希と会うために自分を通じて接触したすももが丘高校放送部に協力した。
石狩梓美(いしかり あずみ)
瑞希の鳴野中学時代の先輩。風紀委員長でもあり、家庭の件もあってやさぐれていた瑞希を気にかけていた。放送部に所属しており、瑞希の声を気に入った事で瑞希を放送部に勧誘しようとした。
後に北海道に引っ越していく事となる。
用語解説
すももが丘高校放送部
前年度に校舎が建て替えられた際に放送室がリニューアルされたことがきっかけとなり、吉祥寺を顧問として活動が始められている。
活動を始めてからまだ1年しか経っていないにもかかわらず、顧問の吉祥寺の卓越した知見と指導力のもとにNコンの全国大会まで進出する躍進ぶりを見せており、瑞希をはじめとする創設期の部員たちの実力にも磨きがかけられている。
活動内容はNコンへの出場のほか、校内放送や学校行事のアナウンスなど多岐に渡り、それらの各種活動をこなすための基礎となる練習メニューも入念に組まれている。
Nコン
正式な名称は『NHK杯全国高校放送コンテスト』。
個人発表には朗読部門とアナウンス部門のふたつがあり、毎年約16000人もの参加者が全国大会決勝の枠を目指してしのぎを削っている。
全国大会決勝の舞台であるNHKホールは放送部員にとっての甲子園ともいうべき場所であり、全国大会出場者のうち上位10名のみが選ばれるいう非常に狭き門となっている。
作中に登場する文学作品
道程/高村光太郎
(新入生の入学を祝う校長先生の選んだ詩として登場。校内放送で瑞希が代読している)
春と修羅/宮沢賢治
(花奈が初めて西園寺修羅の朗読を聞いたときに読まれていた作品。入学式の翌日の早朝、花奈は雨の降るなかひとりきりで作品の一節を暗唱していた)
やまなし/宮沢賢治
(花奈の朗読の才能を知りたがっていた萩大に対し、花奈が図書室で借りていた文庫本の一節を読み上げる場面で登場)
銀河鉄道の夜/宮沢賢治
(放送部の基礎練習の最中、機転を利かせた良子が花奈と杏に読み合うように勧めた作品。ふたりでジョバンニとカムパネルラの対話のシーンを読み上げている)
(西園寺修羅の朗読DVDの収録内容として登場。作中では、吉祥寺が朗読のお手本としてDVDの映像を放送部員たちに見せている)
夢十夜/夏目漱石
(今年度のNコン朗読部門の課題図書のひとつとして登場。また、「朗読なんて誰がやっても同じだろ」と発言した入部したての瑞希に対し、顧問の吉祥寺が手本を見せるために読み上げた作品としても登場している)
更級日記/菅原孝標女
(今年度のNコン朗読部門の課題図書のひとつとして登場。良子がNコンの課題図書に選んでいる)
(今年度のNコン朗読部門の課題図書のひとつとして登場。また、花奈の父親が昔読んでいた本として彼女の記憶に残っている)
とにかく散歩いたしましょう/小川洋子
(今年度のNコン朗読部門の課題図書のひとつとして登場。カテゴリはエッセイ(随筆)となっている)
青い春を数えて/武田綾乃
(今年度のNコン朗読部門の課題図書のひとつとして登場。第1話『白線と一歩』を花奈が気に入り、Nコンの課題図書に選ぼうとする。『でも、伝えようとしなきゃ、なんにも始まらないんだよ』という一節は本作で度々引用されるが、片方向の関係性を誰かしらに抱く本作の登場人物達を現しているのか)
セロ弾きのゴーシュ/宮沢賢治
(4校合同での合同練習会で、花奈たちが朗読で読んだ小説として登場)
(4校合同での合同練習会の休憩時間に、美咲が読んだ小説として登場)
(前年度のNコン朗読部門で、瑞希が読んだ課題図書として登場)
汚れつちまつた悲しみに/中原中也
(瑞希の祖母・真由美に自分のやりたい事・向き合いたい事としての「朗読」とそれに対しての想いを伝えるため、読み上げた詩として登場)
(今年度のNコン朗読部門の決勝での課題図書として登場)
TVアニメ
2024年6月12日、TVアニメ化が発表された。
アニメーション制作はスタジオバインドが担当。
2025年放映予定。
関連イラスト
関連動画
コミックス1巻発売記念プロモーションビデオ(2022年1月)
関連タグ
響け!ユーフォニアム - 原作者である武田綾乃の過去作品。こちらは吹奏楽部が舞台となっている。また、作中でも「北宇治」が会話の中で登場している。
星街すいせい - 『ホロライブプロダクション』に所属しているバーチャルYouTuber。コミックス1巻の帯にコメントを寄せている。
六三四の剣 - 村上もとかの漫画。主人公と「修羅」という名前の登場人物との因縁を軸に物語が進む。こちらの題材は剣道。