趙高
ちょうこう
始皇帝の寵臣
実際に趙高が始皇帝にいつから仕えたのかは、『史記』秦始皇本紀に一切記されておらず、不明である。勤勉な努力家で法律に詳しいことから、始皇帝の末子の胡亥のお守役を拝命した。その後は晩年期の始皇帝にその才能を寵愛されることになり、始皇帝の身辺の雑務を全てこなした。
皇帝の操り手
始皇帝の五度目の行幸にも参加するが、始皇帝が行幸中に病死すると、丞相の李斯を強引に抱き込み、その遺言を書き換えて、太子の扶蘇を自決に追い詰め、末子の胡亥を即位させる。
胡亥を丸め込み、宮中に籠らせて贅沢三昧の生活をさせ、自らは代わって政務を取り仕切って実権を握った。胡亥の傀儡ぶりは著しく、丞相李斯ですら趙高の仲介なくしては胡亥に奏上も適わなかった程であった。
政策は基本的には始皇帝の方針を引き継いだが、皇帝の権威、即ち自らの権威を高めることに腐心し、人民に過重な労役を課す。
また、北方の守護を司っていた名将蒙恬やその弟の蒙毅、始皇帝を諫めたのが原因で蒙恬の所に左遷させられていた秦の公子扶蘇(胡亥の長兄)など、有力者や敵対者を悉く冤罪で処刑した。これにより悪臣などが増え、政治に対する不平不満は増大、始皇帝在位時は豊富であった人材も枯渇することとなり、恐怖政治を敷いたことと合わせて趙高は大いに人民から恨みを買うことになった。
秦帝国の滅亡と趙高の最期
天下に満ちた怨嗟は、陳勝・呉広の乱の挙兵をきっかけに、一気に全土での反乱として現れた。事態を憂慮し、対策と改革が必要と考えた李斯と、現状保持に拘る趙高は対立を深め、ついに趙高は胡亥に讒言して、李斯を極めて残忍な方法で処刑、一族を根絶やしにする。そして、自分が後任の丞相となった。
しかし、有能な文官である李斯を抹殺し現実逃避に走るのは、この時点では最大の悪手であった。反乱は広がり、主力軍でもある名将章邯が、旧戦国七雄最大派閥の「楚」を率いる項羽に敗れた際も、趙高は増援を送るどころか敗戦の責任をなすりつけようとしたため、章邯は項羽率いる楚に20万の兵と共に降伏し、秦帝国の崩壊は決定的となった。
その間も胡亥は何も知らされていなかったが、都である咸陽のすぐ近くにまで劉邦(後の前漢初代皇帝高祖)の軍勢が迫ると趙高はさすがに隠し切れぬと思い、胡亥を弑する計画を練った。この際に群臣が自分のいうことを聞くかどうかで、ある事を試みた。
趙高が宮中に「珍しい馬がおります」と鹿を連れてきて、「これは馬です。君らはどう思うか?」と黙り込む群臣に聞いた。趙高の権勢を恐れる者は馬と言い、屈しない者は鹿と言った。趙高はその場は「ちょっとした余興」ということで納めたが、後日、鹿だと答えた官吏を、軒並み捕らえて処刑した。このエピソードが「馬鹿」の由来の一説である故事成語『指鹿為馬・鹿を指して馬となす』である。
ちなみに「阿呆」の語源は趙高が建設を推し進め、労働者から反感を買った「阿房宮」である。
つまりこの男は「馬鹿」と「阿呆」の語源である。むべなるかな。
二世3年(紀元前207年)8月、趙高は反対者を粛清したのち、謀反して胡亥を弑逆した。趙高は胡亥の死体から玉璽を奪って身に帯びて、秦の帝位(もしくは王位)につこうとしたが、流石に事ここに至れば、側近や百官は趙高に従うはずもなかった。趙高は殿上に登ろうとしたが、宮殿は三度も崩壊しようとした。趙高は天が自分に味方せず、自分が支配者になることを秦の群臣が許さないことを理解した。この時、趙高は劉邦軍と密かに内通を画策していたが、劉邦からは全く相手にされていなかった。
同年9月、胡亥の後継として、人望の厚い子嬰に玉璽を授けて秦王として即位させ、全てを胡亥のせいにすることで自身への非難をかわそうとする。だが、趙高は彼を憎悪する子嬰と韓談らによって、子嬰の屋敷に呼び出されて殺害され、一族も皆殺しにされた。
中華史上でも一二を争うほどの悪徳政治家として名を残し、後漢の董卓や明の魏忠賢等に並んで中華屈指の悪人と評されている。
後の『平家物語』においても、新皇帝王莽や唐の安禄山と並ぶ悪党と断ぜられている。
なお余談であるが、近年の研究ではそもそも宦官ではなかったという説も出ている。
コメント
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すべて見る嵐の前の(YJ42号・402話ちょっとネタバレ)
向たんと趙高の、合従軍戦後~麗ちゃん誕生までの間のいつだかのお話です。 趙高のキャラがまだいまひとつハッキリしないのをいいことに好き放題書きました。ごめんなさい。 あと秦の後宮システムもよくわかってないですすみません。 私にわかるのは、向たんはとても可愛いということだけだ……(悟り) 【2014.10.22 追記】やっとYJで趙高出たの読みました! あーーーーー口調ちがうーーーー!っていうか性格も何もかも違う!!すんません!! 本誌読む前に想像で書いたので、「あーあ」くらいで読み飛ばしていただけると幸いです!!2,153文字pixiv小説作品