「友よ、力を貸してくれ」
史実
父と共に秦の中華統一事業の中心メンバーの一人であり、若い頃から戦場で活躍しており魏・燕・代・斉を諸将と共に滅ぼした。
子の王離はのち「破釜沈船」の四字熟語の由来となった項羽との鉅鹿の戦いに敗れて捕虜になっている。
前漢の李広・李陵らを輩出した同僚の李信と同じく子孫に代々人材を輩出している。王離の長男の王元の系統は「琅邪王氏」と言われ、次男の王威の系統は「太原王氏」と呼ばれた。双方とも後漢末期〜魏晋南北朝時代に掛けて有名な人物が次々登場しており、琅邪王氏からは孫堅に殺害された王叡やその甥で曹髦や司馬炎に仕え孝行でも知られた王祥、東晋の名臣とされる王導やその従兄の王敦、従甥にして書で有名な王羲之が、太原王氏からは董卓を暗殺した王允にその甥で司馬懿に反乱を起こした王凌を輩出している。
フィクション作品
キングダム
CV:細谷佳正
主人公・信と同じく”天下の大将軍”を志しており、出世のライバルとして信と張り合っている。
「玉鳳隊」という、完全武装の騎馬隊で構成された特殊三百人隊を率いる三百将として作中で初登場。
山陽戦で臨時の千人将に昇格し、戦後は正式に千人将となる。合従軍編ではすでに二千人将に昇格し、戦後は三千人将に昇格。
著雍編では四千人将に昇格していたが、魏火龍七師の一人・紫伯を討ち取り、五千人将に昇格する。
鄴攻略編では、朱海平原戦で、「藺家十傑」筆頭・尭雲を討ち取り、戦後は将軍に昇格する。
副官・番陽からも恐ろしい方と評されるほどの軍才を持つ。
武器は槍。天賦の才と弛まぬ努力からその槍術は達人と呼べる腕前を誇る。変則的軌道を描く突き技「龍指」を扱う。
歩兵の本分を「蟻のごとく大集団を形成して戦うこと」、独立遊軍を「貴士族出身の騎兵が行う高度な任務」だと認識しており、百姓出身歩兵で構成された飛信隊が独立遊軍を務めることを快く思っていない。信に必殺技を叩き込んで下僕出身者と貴士族出身者との立場の違いを示す等、エリート志向が強い。
それでも作中では幾度となく飛信隊と戦場を共にしているため共闘もたまに描かれ、特に鄴では急務であった隊の成長のためにどうするかを信と王賁で思案したり、影丘では崩壊寸前だった玉鳳隊の前線を飛信隊に譲る代わりに攻略の糸口を伝えるなど、お互いに口の悪さこそ相変わらずだが隊同士の関係も緩和されつつある。
王騎とは同族で、彼から見れば王賁は本家筋になる。
同じエリートの蒙恬とは逆に堅物で真面目、出自に対するプライドが高い性格。一方で、独断専行する場面も多く、良い意味でも悪い意味でもまだまだ若い。
父・王翦との蟠りは深く、プライドの高い王賁も父の言うことにはどんな無茶でも黙々と従う。部下の関常曰く、王翦が王賁に心を開かないのは彼の出生が大きく関わっているとの事。
信、蒙恬との若手三人組の中では最も早く結婚し、一児の父となっている。相手は予てから婚約していた名家の令嬢・彩華で、蒙恬が言うには明るく優しく器量良しの良く出来た女性とのこと。
出生の闇
賁の生母・朱景は王家に引けを取らぬ大貴族・関家の令嬢で、美しき才媛ということもあって嫁ぎ先は引く手数多だったと言う。最終的には王翦の妻となり、賁を身籠った朱景だが、出産直前に妙な噂が流れる。それは『朱景には王翦より前に好いた男が居て、その男の種を宿した状態で王翦に嫁いだ』=王賁は王翦の実子に非ずというものだった。秦国屈指の貴族のスキャンダルとあって、周りは当然心穏やかで無く、すぐさま朱景は問い質されたが、何故か彼女は申し開きをせず口を閉ざした。そして賁を産み落とすと、朱景は産後の肥立ちを悪くしてそのまま死去。賁の出自の真偽は永久に解らず仕舞いとなった。
以上が王賁の出生に纏わる問題である。関常や番陽は「王翦が息子に異様に冷たいのは彼が実の子では無く、剰え愛する妻の命を奪った者だから」という推察のようだが、内容が当代の秦王や先立って亡くなった楚の宰相に掛けられていた疑惑とモロ被りな為、イマイチ信憑性に欠け、内容を聞いても王翦自体にそこまで人間味があるか疑わしく、そもそも王賁が本当に王翦の子に当たるのかも結局解決しておらず、朱景が弁明しなかったのは何故か(仮に根も葉も無い噂であったとしても何らかの事情はあるかも知れない?)も分からない等、未だに謎だらけのエピソードのため、今後の動向が待たれる事となる。
横山光輝『史記』
王翦が始皇帝から嫌疑を受けるのを避けるために隠棲した時、父子で会話するシーンのみ登場。
達人伝
エピローグにおいて軍を率いて魏の都・大梁を水攻めにしたシーンのみ登場。横顔のみの登場だが父に似ている。子の王離は鉅鹿の戦いで項羽軍に撃破され捕虜になっている。