概要
正式には『達人伝-9万里を風に乗り-』。2013年~2023年まで「漫画アクション」(双葉社)で連載していた。
天下を征服せんとする秦に対抗すべく、荘子の孫・荘丹が天下の達人を集結し戦う。
あらすじ
小国に住むホラ吹きの青年、荘丹は琰王に仕える兵士となるが、秦の刺客・黥骨に王と親友・玄信を殺されてしまい、都に侵攻してきた斉軍の大将軍・朱涯と秦に対抗できる達人たちを集めることを条件に「9年の約定」を結び、達人を探す旅に出る。
荘丹は旅の途中で出会った無名、丁烹と共に「丹の三侠」と呼ばれ活躍する。
主な登場人物
詳しくは公式サイトを参照。
丹の三侠(あかしのさんきょう)
- 荘丹(そうたん):荘子の孫。
- 無名(ウーミン):関西弁の解説役。キャラ立ちからスラムダンクの相田彦一を彷彿とさせる。諸国のあらゆる情報が頭に詰まっている。実は出生に秘密があり……!?
- 丁烹(ていほう)/庖丁(ほうてい):本名は丁烹。叔父は伝説の料理人庖丁。叔父のようになれるよう修行中!血の気の多いコック!
秦国
- 昭襄王(しょうじょうおう):秦の天下統一を目指す覇王。大改革を進めて国力を激増させた。妖怪のような人物として描かれている。
- 白起(はくき):虐殺将軍。戦いのたびに天才的な軍略で数十万の首級を上げる。土城を投槍で崩してしまうなど、単純な武力も蒼天航路のトップ勢に匹敵する。
- 王齕(おうこつ):蝙蝠のような装束の老将。昼夜逆転生活で生の虫が好物など、人物も蝙蝠じみている。策は参謀に任せ、圧倒的な武力で暴れまわるのを好む。
- 呂不韋:流浪の商人。政治をも商人の理で割り切ることにより秦国で出世を重ね、宰相にまで上り詰めるが、息子の存在が前途に暗い影を落とす。
- 異人:秦の公子。趙国に人質に出されている。「奇貨」つまり商えば莫大な富を産む珍品と見做され、呂不韋の支援を受ける。
- 嬴政:後の始皇帝。本作では呂不韋の実子で、顔も酷似。昭襄王の覇気と呂不韋の冷徹さを併せ持つ残虐非道の暴君で、人倫に悖る悪辣なやり方で六国を制圧していく。
- 蒙驁(もうごう):昭襄王薨去後の新政権で抜擢された将。武力も知力も秦国トップクラスの英傑だが、無能な息子に甘すぎるという弱点がある。
- 蒙武(もうぶ):蒙驁の嫡子。顔は父にそっくりだが武力も知略も足元にも及ばず、やられ役が多い。
- 麃公(ひょうこう):函谷関の守将。本作の函谷関は要地でないため風紀が乱れており、女を侍らせて遊び暮らしている。しかしその武力は非常に高い。
趙国
- 廉頗(れんぱ):国を支えてきた老将。今も武力・指揮力は作中最上位レベル。王齕の武に最上の手応えと痛快なライバル意識を感じている。
- 藺相如(りんしょうじょ):国を支えてきた老政治家。廉頗とは刎頸の交わりで知られる親友。今もその知力は健在だが、死病に冒され余命幾ばくもない。
- 趙奢(ちょうしゃ):元は徴税役人ながらその厳格さゆえに将に抜擢され、天才的統率力で秦に対して唯一勝ち続けた。しかし自分以上の才と噂される息子には良い評価を下していない。
- 趙括(ちょうかつ):趙奢の嫡子。威容は父そっくりで、兵法書も全て暗記しており、周囲の期待は高い。しかし実戦経験のなさと尊大すぎる性格が玉に瑕。
戦国四君
- 孟嘗君(もうしょうくん):斉の宰相。恐ろしい目つきの男で、性格も苛烈。一芸に秀でた三千の食客を抱えており、戦場でも卓越した指揮力を発揮していた。
- 信陵君(しんりょうくん):魏の公子。豪快でカリスマ性が高く、腕っぷしも強い。側近にも賢者を揃えており隙がない。
- 平原君(へいげんくん):趙の宰相。顔も態度も飄々とした遊び人だが、いざという時には躊躇なく全てを擲って戦う胆力の持ち主。
- 春申君(しゅんしんくん):楚の政治家。他の四君に比べると若輩だが、弁舌で人の心を操る才は抜きん出ている。
無所属
- 荘子:荘丹の祖父。諸子百家に名を連ねる儒教の大物。木鶏などが有名。
- 紀昌(きしょう):荘丹が出会った弓の達人。葦で作った矢で、飛ぶ鳥を射抜くことができる。仲間になりそうでならない人。ちなみにキングダムにも同名の人物が登場するが無関係。
- 盗跖(とうせき):伝説の大盗賊。本作では襲名制による盗賊団の頭目として描かれている。作中で数回代替わりするが、いずれも巨体と怪力で並の将軍を圧倒する。
余談
同じ史記漫画であるキングダムでは始皇帝こと嬴政が善玉として描かれているが、本作では徹底した悪役として描かれている。単行本34巻のあとがきによると、作者の王欣太も始皇帝を悪質な独裁者と見做して嫌っているとの事。