愛知県小牧市に鎮座する田県神社(正確には田縣神社であるが「縣」が機種依存語である為、以後は「県」にて代用する)が毎年、三月十五日に開催している祭りである。天下の奇祭として有名であるが、田県神社が他の各県に存在する同類の祭りと異なる点は「海外メディア(確かBBC)が何を思ったかテレビで祭りの様子をオンエアしてしまったが為に、大受けした外国人の参加者が非常に多い」点にある。
故に、毎年豊年祭にて神社で使用される常備品の類に括り付けられる全ての益荒男に跨がったり頬擦りしたりキスしたり艶めかしくさすったりする姿が多く撮影されるのである。その手の話題に強い外国人さんならではである。更に、外国人からの盛況ぶりに英語でのアナウンスが求められた結果、「留学生による外国人の臨時巫女さん」を目にする事が出来る、大凡は全国で唯一の神社と思われる(筆者拝見。臨時なので豊年祭の時だけではあるが)。由緒書も日本語と英語の二種類が存在する。
そして毎年、海外の様々なメディアがこぞって取材に訪れるので歳を重ねるに至って大いに賑わい、本来の社格で云えば遙かに格上である近所の大県神社(大縣神社)の同じく豊年祭だけに限っては参加者数で後塵を喫している。どう考えても成人向けな土産品も非常に多い。
豊年祭は「田県神社の御神体である『超大型益荒男』を新規作成して神社まで御輿で担ぎ、神社まで練り歩く」ので、折良く(折悪しく?)御神体が練り歩く時間にぶつかった場合、旧国道が通行止めにされる程の優先度を誇る。故に近所を通行する場合、三月十五日は禁忌である。周辺には工業団地もある為、商談に間に合わなくなっても益荒男様に怒りを覚えてはいけないのである。外回り中に危険な幟を見かけた場合、疾く踵を返そう。
尚、上記の大県神社(旧国弊中社)は田県神社と対を為し、田県神社が男神である点に対して大県神社は女神を祀っている。どちらも子宝、安産の神様である。