GT-R
じーてぃーあーる
曖昧さ回避
グランツーリスモレーシング(Gran Turismo Racing)の略。
モータースポーツのジャンルだけでなく、高性能グレードを指す単語として自動車業界では広く用いられている。
そのため、日産自動車以外のメーカーにも、「GT-R」と類似した単語を名に持つ車種が存在する。
日産自動車のスポーツカー
合計で17年にも渡って販売されたスカイラインGT-Rの後継として、2007年にR35型が登場。
ちなみにカルロス・ゴーン体制下で始めて開発のゴーサインが出されたスポーツカーである(発売だけなら2002年のZ33型フェアレディZが先)。
開発責任者はグループCマシンでデイトナ24時間制覇を果たした実績を持ち、現在は自動車評論家として知られる水野和敏。
「ATTESA E-TS」(アテーサ・イーティーエス)という駆動システムの自動制御により、基本は事実上FR走行で状況に応じて4WDとなる。
それまでの「GT-R」はスカイラインの最上級スポーツグレードであったが、本車は独立した車種として設計・開発された。
型式番号からもわかる通り、本車は第二世代GT-R(R32~R34)の進化版と呼べる設計になっており、「GT-R」のエンブレムや丸4灯テールライト、独自の電子制御4WDは引き続き採用されているものの、ピュアスポーツ化によって走行性能、乗り心地、新車価格、維持費などがもはやスーパーカーレベルである。
第二世代GT-Rは少しの背伸びや貯金で新車に手が届き、グランツーリスモとしての快適性も考慮されていたため、同じスポーツカーではあるものの趣も立ち位置も全く異なっている。
エンジンは本車のために新規開発された「VR38DETT」を搭載。
3799㏄の排気量を持つV型6気筒のツインターボエンジンで、出力の自主規制が解除されていた事もあり初期型では480馬力、2016年モデルまでは550馬力、2017年からは570馬力(565馬力)を叩き出す。
足回りやシャシーも専用設計で、他車種からの流用はほとんどない。
市販車として非常に高度な技術が用いられている事や違法改造対策などから、「ハイパフォーマンスセンター」と呼ばれる一部の販売店舗でしか購入・整備ができない。
また本社ギャラリーや専門販売店での試乗では、免許取得から1年以上かつ満30歳又は35歳以上という厳しい条件がある。
ちなみにR35は、フロントを注視する事で大まかにであるが年式が確認できるとされている。
初期型~2009年まで
2010年~2013年まで
LEDフォグライトを追加。
2014年~2016年まで
前照灯部に稲妻を描くLEDイルミネーションを追加。
2017年~現在
フロントバンパー全体の形状が変更された。
モータースポーツ
SuperGTのGT500クラスでは2008~2021年までベース車両として用いられた。同じ期間中にトヨタが4車種(SC430→RC F→LC500→GRスープラ)、ホンダが3車種(初代NSX→HSV-010→2代目NSX)を用いていることを考えると、極めて異例な長さであった。
2010年代前半はミシュランタイヤとの組み合わせにより2011・2012年、2014・2015年と2度の同一チームによる連覇を達成し、呆れるほどの強さを見せていた。
GT300ではGT3仕様のGT-Rが投入され、2015・2020年にタイトルを獲得。なお2020年は当時渦中にいた近藤真彦のコンドーレーシングによるものである。
FIA GT世界選手権のGT1クラスやGT3クラスなどにも参戦し、2010年にGT1で世界チャンピオンを獲得。
ニュルブルクリンク24時間耐久レースでも2011年と2012年にクラス連覇を達成している。このときのドライバーの一人にグランツーリスモ開発者の山内一典がいる。
2015年ル・マンではGT-R LM NISMOというマシンが登場しているが、エンジンのVR38DETT以外は全く本記事のGT-Rとは関係のないマシンである。