概要
スタジオぴえろによる、『魔法の天使クリィミーマミ』、『魔法の妖精ペルシャ』、『魔法のスターマジカルエミ』に続く「ぴえろ魔法少女シリーズ」の第4作目。
日本テレビ系列局の一部の他、フジテレビ系列局約1局、テレビ朝日系列局約2局(当時)で放送された。
前3作に共通していた「魔法によって生み出された自分の虚像に思い悩む主人公の想いを描く」というコンセプトから大幅な方針転換をし、旧来型の魔法少女ものに近いドタバタコメディ的世界観に回帰。
「魔法のペンで描いたものを実体化させる」という魔法の荒唐無稽さと相まって、シリーズで唯一「主人公が変身しない」ことも合わせて特異な作品となった。
このコンセプトの大幅転換については、前作『エミ』の最終回において「魔法の万能性の否定」という着地点を描いたことで、「魔法によって作られた虚像の自分との決別」というシリーズのテーマが究極的に突き詰められ、同様のテーマを維持することが難しくなったことにあると言われている。
結果的には、これまでのシリーズ作品と同様のコンセプトを期待していたマニア層の期待に添わないものとなり、制作の中心にいた多数の男性スタッフの悪い意味での暴走ともいえる過剰演出(主人公の裸が意味なく頻出する)が製作スタッフ内外で問題視されていたことが大きく影響して視聴率の不振を招いた。更に魔法少女アニメのブーム自体が下火になっていたことも手伝ってシリーズ最短の25話で終了。本作をもってぴえろ魔法少女シリーズの大きな区切りとなり、シリーズ最終作「魔法のステージファンシーララ」まで12年ものブランクを要することになる。
前作「マジカルエミ」同様、あらいきよこが手掛けたコミカライズが「ちゃお」(小学館)に掲載されているが、アニメとはかなり内容が異なる上、一部の登場人物の年齢が引き上げられている。
ストーリー
主人公・花園ユーミは、花と絵が大好きな10歳の少女。ある日ユーミは、花の妖精かき丸・ケシ丸に出会う。花の国では、毎年春に花を愛する子供に魔法を贈る習慣があり、ユーミはかき丸・ケシ丸に魔法のステッキを授かる。ユーミはこの魔法の力で自分の描いた絵を現実化させ、様々な活躍をする。
登場キャラクター
- 花園ユーミ(CV:志賀真理子)
- かき丸(CV:冨永みーな)
- ケシ丸(CV:渕崎ゆり子)
- 三沢恭平(CV:水島裕)
- 三沢健太(CV:坂本千夏)
- 花園一郎(CV:安原義人)
- 花園桃子(CV:三田ゆう子)
- 袋小路夫人(CV:丸山裕子)
- 国光三郎(CV:千葉繁)
- 花園ダン吉(CV:富山敬)
- ムスタキ(CV:亀山助清)
主題歌
オープニングテーマ
「金のリボンでRockして」
作詞:麻生圭子/作曲・編曲:山川恵津子/歌:志賀真理子
エンディングテーマ
「フリージアの少年」
作詞:麻生圭子/作曲・編曲:山川恵津子/歌:志賀真理子
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 街は魔法で花ざかり |
第2話 | 魔法のステキな使い方 |
第3話 | よろしく冒険ガール |
第4話 | おじいちゃん冒険旅行(アドベンチャー) |
第5話 | 紙ヒコーキからの伝言(メッセージ) |
第6話 | ふたりの袋小路さん |
第7話 | 涙のダイエット日記 |
第8話 | もう一度ロマンス |
第9話 | とべ 愛の翼でスカイハイ |
第10話 | いたずらオバケに御用心 |
第11話 | ふしぎ? 黄金鳥伝説 |
第12話 | お嬢様はつらいよ |
第13話 | おまかせキューピット |
第14話 | 想い出に消えたかき丸 |
第15話 | 妖精がくれた音楽会 |
第16話 | すみれ色の初恋 |
第17話 | ユーミちゃん気をつけて |
第18話 | 発車ベルが鳴るまで |
第19話 | 花ビラのステップ |
第20話 | 花を愛してみませんか? |
第21話 | はばたけ空へ 風をうけて |
第22話 | 恋のミスキャスト |
第23話 | 家出したお父さん |
第24話 | さよならフラワータウン |
第25話 | 忘れないでメモリー |
余談
第14話の予告シーンが放映で流れた時に、入浴シーンであまりにモロに全裸が描かれていたためにテレビ局長が苦言を呈したというエピソードがある。制作現場は大慌てで修正したのだが、もう完成した作画に対してどうやって短期間で修正したかというと、場面が風呂場なので湯気のエフェクトで大切なところを隠すという苦肉の手法が使われた。
これこそがディフェンスに定評のある湯気という概念が生まれた瞬間。それまではこんな方法論は誰も思いつかなかったのである。
しょうもない部分かもしれないが、本作はある意味ではアニメ史にとってはとてつもなく重要な作品であるのかも知れない。
放送終了後、ユーミの担当声優だった志賀真理子は、1989年に留学先のアメリカで交通事故に遭い、帰らぬ人となってしまい、生前の首藤剛志はその事を非常に残念がっていた。