概要
王の座に就いている者が血縁関係のない人物にその地位を譲る行為。
古代中国の五帝と呼ばれる伝説の王達が有徳者に王位を譲った神話に基づく。
歴史上最初に禅譲が行われたのは前漢から新への譲位で、歴史上最後に行われたのは清朝から中華民国(北京政府)への禅譲。
ただし、神話とは異なり歴史上の禅譲はほとんどが事実上の簒奪であくまでも王朝交代を正当化する為の演出に過ぎなかった。例外として五代後周から宗の趙匡胤への政権移行は概ね平和的に行われ、後周皇室の子孫も丁重に扱われており禅譲の要件を満たしていると考えられている。
また、ラストエンペラー宣統帝溥儀から中華民国への政権移行は、後継が共和政国家であるため要件を満たしてはいないが、概ね禅譲に準ずる形をとっている。
比喩表現として
一般に、政党や自民党の派閥において党首や領袖が選挙によらず前任者の指名や話し合いによって決められることや、同族経営の企業において血縁のない新指導者が平和的に任命されることなどを上記に準えて「禅譲」と言う。
余談
作家の井沢元彦は著書「逆説の日本史」第三巻で称徳天皇が弓削道鏡に天皇の地位を譲ろうとしたのは禅譲ではないかと推測しているが確証はない。