ザイドス「なんじゃこりゃあー!! 俺の顔ぉ! 俺の体ぁ! 助けてくれェェェー!! 俺の出世はどうなるんだァァァ!!」
ゴーマ十五世「ワシが泥人形だったなんてぇ・・・シャダぁm・・・」
ガラ「私は・・・ゴーマのガラなのだ・・・!! ア・・・アァ・・・!!」
概要
ゴーマ族が用いる秘術の一つで、泥や土から作った人形に死亡した人物の魂、もしくは残留思念を宿すことによって、これを擬似的に蘇らせるというものである。
この術によって蘇らされた者は、生前とほとんど変わりない姿や記憶、人格を備えており、妖力や妖術なども駆使する事ができる。また前述の通りゴーマに由来した術ではあるが、ガラ中佐のように元はダイ族出身の者に対してもこの術は有効である。
一方で、生前の記憶や人格をそのまま引き継いでいるという性質上、時に術を施した者の意図を超えた行動をする場合もあるため、定期的に調整を施して意に沿うように仕向けなければならない場合もある。
術はそれを施した者によって任意に解くことができるが、それ以外にも強力な力によって強制的に解かれる場合もあり、いずれにおいても術が解けた泥人形はその姿を維持できなくなって元の土塊へと戻ってしまう。具体的な過程としてはまず手足といった末端部から崩壊が始まり、やがて胴体を経て頭までも、最後には土に転じて完全な崩壊を迎える。この時、意味ありげに眼球が映し出されることも多く、これこそが術の核となっているのではないかと考察する声もある。
対象となった者には自分が既に死んで泥人形になっているという自覚は全くなく、術が解けて自らの身体が土塊へと戻っていく状態になって初めて、この事実に気づく者がほとんどである。さらに恐ろしいことに、この状態になってもなお当人の意識はハッキリと残っており、全身が崩れる際に生じる苦痛も当然味わうこととなる。このあまりにもおぞましくむごたらしい末路は、それを間近で見届けた登場人物は言うに及ばず、視聴者にも凄まじい衝撃と恐怖を与えた。
術の目的と黒幕
そもそもこの術が何のために用いられたのか、その答え(というよりも術の存在そのもの)は物語の最終盤になって語られることとなる。
まず記事冒頭に示した台詞からも察せられるように、この術はゴーマ族の、それも中枢に関わるごく一部の人物を対象に施された者である。そしてこれらの人物たちと深く関わっていた者――即ちシャダム中佐こそが、この術を駆使していた張本人である。
六千年前の戦いの果てに、消耗したゴーマ族が現代に至るまで雌伏を余儀なくされた後も、元老院を始めとする組織体制そのものは引き続き維持されており、皇位継承の資格者とはいえあくまで一幹部にすぎないシャダムが、そうしたしがらみを無視して組織を壟断する余地は本来残されていなかった。
そのため、こうした「障害」を克服して自らがゴーマの実権を掌握するためにシャダムが取ったのが、かつての戦いで死したゴーマ皇帝を「泥人形」として蘇らせ傀儡として立てた上で、裏からこれを操るという方策であったのである。
もっとも、全てがシャダムの思惑通りに進んだ訳ではない。
例えば自らの息子にして忌むべき政敵でもあった阿古丸は、傀儡として立てたはずのゴーマ十五世に気に入られたことでその寵臣として度々シャダムの立場を脅かしており、これを排除するために「調整」の必要に迫られたこともあった。またシャダムが事の真相を明かし、ゴーマ皇帝の地位を簒奪した時点で、ダイレンジャーの突入や大神龍の介入などによって本拠たるゴーマ宮、それに組織の中核をなす者達の多くは失われており、既にゴーマ族は組織としての体をなさないボロボロの状態にあった。
シャダムにとって何よりの誤算だったのは、彼自身もまた「黒幕という役割を与えられた」泥人形でしかない、という事実である。「作中で活動していたシャダム」も泥人形である以上、それを仕立て上げた人物――本当の黒幕ともいうべき存在がいるはずだが、それが誰であるのか、そもそもそういった人物がいたのかという点も含めて、作中では終ぞ語られる事はなく、番組終了から30年近く経つ今なお謎を残したままである。
シャダム「俺も・・・泥人形だったのか・・・。 嘘だ・・・助けてくれ・・・助けてくれ亮ォォォォ!!」
関連タグ
ハニワ腹話術師:土を素材とした人形そのものがモチーフのゴーマ怪人の一人
ゴーマ四天王:同じくゴーマ怪人の集団で、一度倒された際に土塊の状態を経て再度蘇った事から、あるいはこの術とも何らかの関連があるのではないかと考察する向きもある
兵馬俑:恐らくモチーフ
バンドーラ一味:前年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』に登場する敵組織。彼らが使役するモンスターや戦闘員は、いずれも「泥人形から作られた存在」である
銀河戦国群雄伝ライ:『ダイレンジャー』とほぼ同時期に連載されていた漫画。作中に類似した泥人形の術が登場する