怖い話を聞いているだけなのに
何かおかしい……。
概要
『鳴神学園七不思議』とは、mebiusが開発するswitch用ソフトである。
正式名称は『アパシー 鳴神学園七不思議』。
本作は、『学校であった怖い話』および、アパシー版『学校であった怖い話』を踏襲しつつ、新たに多数のエンディングや新規シナリオが追加された新作。
総エンディング数は500以上、登場キャラクターは120名以上。なお、大型アップデートが予定されており、アプデ後のエンディング数は650を超える。
全文章量は約280万文字。そのうち新規シナリオと新規分岐は約100万文字(SFC版『学怖』とほぼ同じ文字数)を占める。更に既存シナリオもほとんど加筆修正が入っており、一切修正無しのテキストは50万文字ほど。
原作・脚本 飯島多紀哉
キャラクターデザイン 倉馬奈未
リブート
今作は原作の飯島氏からYouTubeの公式生放送やTwitterなどで度々「リブート版」であると説明されている。
リブートとは、再起動・1から新しく作り直す作品ということで、主にはSFC版『学怖』や、同人で展開した『特別編』に収録されたシナリオが大幅なリライトを伴い収録されている。他にも『晦-つきこもり』・『ドラマCD』・『極』・『小学怖』などからも一部のシナリオが引用されている。
リブートにあたり、年代や各キャラクターの設定が見直されている。
時代は「現代」で統一され、語り部を含め登場キャラクターは皆スマートフォンを持つのが当たり前となった。
一部の語られキャラクターは名前の変更や統合があった他、学年設定が変更になった人物もいる。
分かりやすい例では、「絶対トイレに行かない男」の竹内清が三年生で在学中に変更されている。(SFC版では細田友晴と二つ違いのため、主人公が入学する年には卒業している)
おそらくはシナリオ展開の幅を広げるためと考えられる。
またリブート版では、『鳴神学園都市伝説探偵局』や『2008』などの時代の異なるキャラクターも同時期に鳴神学園に在籍している。(飯島氏Twitterより)
※大型アップデート前の現在(2022年9月下旬)はゲーム内での存在は確認できていない。現状は店舗特典の小説でその姿を見ることができる。
と、ここまでは細かな設定の変更の違いだが、本作がリメイクでも続編でもない、「リブート」と言われる最大の理由は、実際にゲームを何周か遊ぶことで分かってくる。
それは実に、語り部と語られキャラクターの境界線の撤廃である。(公式生放送より)
一言でいえば、語られキャラクターが生きている。
これまでの作品では、語られキャラクターはあくまでその語り部の話の中だけに登場する人物だった。
ところが今作は、その語られキャラクターにも普段の日常があり、ゲーム内の至る所で目にすることができる。周回すればするほど、キャラクターの意外な接点を発見したり、全く思わぬ一面に出くわすことになる。語り部を含めた120名を超えるキャラクターが複雑に絡み合うことで、予期せぬ方向へ話が膨らんでいく。
遊べば遊ぶほど、『学怖』とは全く違うゲーム体験が味わえることを目指した意欲作である。
そのため、120名のキャラクター全てに詳細なプロフィールが付くこととなった。
ゲーム内で新しいキャラクターと出会う度に「キャラクター図鑑」が埋まっていき、ここでもその人物の思わぬ一面を知ることができる。
またユーザーからの多数の要望に応え、更に詳細なプロフィールを掲載した書籍「生徒名簿(仮)」の発売も決定した。
登場キャラクター
※収録シナリオ微ネタバレ注意
語り部
三年D組。ボクシング部キャプテン。
喧嘩っ早いところもあり、考えるよりも先に手が出てしまうタイプ。
今作では語りのレパートリーに部活動の話題が多く、自身も所属するボクシング部、王道な野球部やサッカー部、少し物珍しいパフェ同好会やバイク愛好会など、バリエーション豊かに取り揃えている。
物理で殴れる怪異なら拳で撃退できるため頼りになるが、自身の命惜しさに最悪なムーブをかますこともしばしば。
パフェが好きで、柴犬にはメロメロ。
二年B組。
根暗で引きこもりだが、学校が嫌いなわけではなく、気が向けば学校に行っている。
知識欲が人一倍強く、それを満たすためなら自ら危険に足を踏み入れることも厭わない。
今作では一年前の夏休みに体験した奇妙なアルバイトの話題を中心に、個性豊かな荒井フレンズとの交友が多く語られる。
一年生の時は運動部に所属していたとの言及があることも多く、一ヶ月間の過酷な労働にも耐えられるガッツと体力がある。
仲間外れは耐えられないのか、集会メンバー全員がはっちゃけるような場面では彼も渋々ノッてくれる。
一年G組。ダンス部所属。
いつも明るく元気いっぱいの女子高生。
しかし本来の喜怒哀楽の感情は欠落しており、その笑顔は彼女が生きていくための作り物。
猫が嫌い。
今作では語りの冒頭からいきなり宗教の話を始めるが、話題を変えさせる選択肢も数多く用意されており、全てのリクエスト(無茶ぶり)に応えてくれる屈指の語り部力(ちから)を見せてくれる。
クラスメイトも個性派揃いで、話の中心となる子の数がやたらと多い。
三年H組。
鳴神学園のスーパースター……を自称する謎めいた男。
その信念に基づきオニャノコ(今作の風間がやたらと言う)にスキンシップを図るも、いつも避けられている。
「お金は払うものではなく払わせるもの」がモットー。
何を考えているのか、どこまで本気なのか分からず、場合によってはその正体は宇宙人だったり地底人だったりエスパーだったり頭の変な人だったりする。
怖い話をしないのではなく、怖い話ができないのかもしれない。
三年A組。演劇部の部長を務める。
無表情で一見冷たくも見えるが、意外と後輩の面倒見は良い。そのため部内では慕われており、岩下に憧れて入部してくる女子生徒もいるほど。
ただし嘘と裏切りは大嫌いで、その制裁は容赦ない。岩下の質問に矛盾した答えや不誠実な態度を返せば、たちまち機嫌を損ねるか、最悪死ぬ。
集会では岩下版「飴玉ばあさん」を始め、どこかで歯車が狂ってしまった人間模様を好んで語ってくれる。
日々のストレス発散にEチューバー(Vtuberのようなもの)として活動しているという噂もある。
二年C組。
トイレを愛しトイレに愛される便器マスター。
ただしトイレに入り浸るのはクラスメイトの執拗ないじめから逃れるためという説もある。
坂上を気に入り、親友だと思っている。好意的に接すれば頼りになることもあるが、むしろ暴走することの方が多いかもしれない。
友人は少ない。稀にできる友人と呼べる存在は裏に何か事情を抱えていることも多く、怖い話の種となっている。
テストの点数は悪いが地頭は悪くなく、のめり込めるものがあると能力を発揮できるタイプ。
カレーが大好き。
新聞部
本作の主人公。一年E組。
怖い話は大嫌いにも関わらず、半ば強引に七不思議の集会の聞き役に抜擢されてしまう。
性格は控えめでおとなしいが、選択を迫られる場面では途端に驚くべき行動を取ることも。
何をやっても平均的だが、自身を可愛い系の顔だと自負している節がある。
実は、ある秘密を抱えている。
新聞部の副部長。三年F組。
七不思議の集会を企画した張本人で、なぜか異様に坂上を聞き役に推している。
部内では優柔不断な朝比奈部長の良きサポート役で、後輩の面倒見もよく頼りにされている。
彼の呼んだ語り部は七不思議の集会なのに六人しかおらず、七人目本人の問題なケースもあるが、単純に呼び忘れていることも多い。
日野自身が七人目として来ることもあるが、その場合大抵はろくでもないことを考えていたりする。実は腹黒い。
坂上と同じ新聞部一年生。一年I組。
野心家で、七不思議の集会の聞き役をやりたがるも、却下されてしまう。
日野の頑なな態度に不満たらたらな彼女は、それならと今度は語り部に立候補する。
そこで今作では本番の七不思議の集会の前にチュートリアルとして倉田の怖い話を聞くことができる。
倉田の話は新聞部のミーティング内で行われるため、最後には日野や朝比奈の批評を聞くことができ、いつもの集会とは違った雰囲気を味わえる。
稀代の妄想家で、自分の妄想を現実に持ち込むことも多々ある困ったちゃん。
新聞部の部長。三年B組。
作中で唯一といっていいほどの常識人。個性豊かなメンバーに振り回されて、いつも尻拭いをさせられている。
過激なジャーナリズムを振りかざす日野や倉田の宥め役だが、あまり相手にされていない。もっと平和な記事が書きたい朝比奈に共感してくれるのは坂上だけだ。
優柔不断でマイナス思考。いつも困ったような笑顔を浮かべている。
ゲーム内では新聞部と関係ない思わぬ場所で出会うことも多い。