アパシーApathyとは、
- 無気力・無関心の精神病理などを意味し、精神分析学などで用いられる単語である。また、政治的無関心などの意にも用いられる。
- ノベルゲーム・アパシーシリーズの略称として使われ、同作品に関するイラストにつけられるタグ。
アパシー版「学校であった怖い話」関係のイラストにつけられることが多い。
ここではゲーム作品のアパシーシリーズとそれに関連する作品について述べる。
概要
飯島多紀哉(旧名:飯島健男)主催の同人サークル「七転び八転がり」および株式会社シャノンから制作・販売された一連のシリーズ作品の通称で、主に「鳴神学園」を中心とした一連の作品群となっている。
シャノンの前身であるパンドラボックスにより開発され、バンプレストより発売された「学校であった怖い話」が新たな設定を付与して組み込まれている。
鳴神学園1995
アパシー版の「学校であった怖い話」。
「学校であった怖い話」をベースに設定を再構成して展開されている。
七不思議の集会も一つのジャンルとして扱われており、アドベンチャー形式の作品などもある。
舞台は1995年の鳴神学園に固定で、登場人物の外見や性格は現代風にアレンジされている。
というよりも旧作の学怖メンバーがコンシューマーの規制とSFCの容量不足でセーブされた末に出来上がった造形で、アパシーこそ飯島氏の書きたかった学怖メンバーのようだ。
2007年コンシューマの規制に憤り同人に活躍の場を移す事になった関係でか、ブラックで過激な作品が多く無気力・無関心どころか謎の疾走感・エネルギーで思いっきり殴ってくる(当時の若者が好んでいた作風でもあった)
2011年、子供達のゴルフ育成に専念する事になりサークルは休止。
アパシー前期(2007~2010)
95年に発売した小説に絵とBGMをつけてゲームにした作品。初回一万本を瞬く間に完売したからかバージョン違いが沢山出た。
「なあんだよ女主人公は殺人クラブじゃねえのかよ」なファンの期待に応えて作られたゲーム。
AVGなので分岐復活。
アパシーの主要なメンバーは大体登場するのでキャラクター紹介ソフトとしてもよく出来ている。
七不思議の集会の新作で分岐は無し。
飯島氏が目の病気になってしまい、飯島氏の原案を元にスタッフがシナリオを執筆。荒井だけ飯島氏の小説を再録しているのでちょっと浮いている。
語り部の見た目と中身が素朴な感じになりVNVミッコレ1からの温度差が凄い。
- 『アパシー学校であった怖い話特別編』『追加ディスク』
アパシーシリーズでは初の分岐ありの七不思議の集会。
VNVをベースに、分岐シナリオや7話はファンから募集した優秀作品。
追加ディスクはミッコレ2をベースに、分岐は飯島氏。
極論ながらVNVとミッコレ2を買わなくてすむので財布に優しい。
ゲームと攻略本のセットで買うと貰えた冊子。一時期中古ショップで高値で取引されていたものの現在はKindleで配信中。
キーホルダーとかTシャツとかポストカードとかLINEスタンプとか色々出てる。因みにガイドライン改訂でファンによる同人グッズや立体物は販売出来なくなったので注意。
学校であった恋い話
ジャンルは恋愛殺戮シミュレーション。売りは同性も攻略出来ます!
何出しても赤字だった冬の時代に現れた救世主。
「四月馬鹿や百質で学怖メモリアルやりたいとは言ったけど、公式でやられると萎える」「いい加減ホラーも出せ」といった声もあったものの、実際問題ホラーよりも売れるのでナナコロの主力商品になっていく。
単体として完結しておりどの作品から買ってもいいものの、作品によって出来のバラツキが激しく、シミュレーションなので難易度が高く攻略本が無いとクリア出来ない。
『学恋1』は当時サークルが危機的状況で少ない予算とスタッフで作られており、お布施目的以外での購入はオススメしない。
一応夜シナリオだけ飯島氏が執筆はしている(倉田の性格が昼とまったく違うのが面白い)
どうしても坂上修一や倉田恵美主人公で遊びたいというのなら、姉妹サークルの18禁BL/乙女ゲーの『まぜこい』の方がADVという事もあり簡単でネタとして面白い。
『学恋2』のみ飯島氏がメイン脚本なので恋愛に興味が無くてもオススメ。
『学恋V(バレンタインのVで5ではなく3)』は『アパシー流行り神』との同時制作と三作目ということもあって、ボリュームはあるもののネタ切れ気味である。糖度は他より高く一番恋愛ゲーはしているかもしれない。
「主人公はあなたで性格が選べます!」を売りにしていたが「○○は明るい性格が好みなので大人しい性格だと攻略不可(逆もしかり)」のようなリアル恋愛のようなシステムなので性格変化は期待しないように。
『アパシー学校であった怖い話短編集上巻下巻(Kindle)』に語り部+新聞部の異性用と同性用のラブレターの二種類が入っており、自己投影派にいいかも知れない。
『学恋4』とても商業では出せなさそうな最初から最後まで倫理観のないドラマCD。声優ファンや飯島氏のコメディが好きな人にオススメ。
コミカライズ(殺人クラブリベンジ)
殺人クラブがメインのオリジナルストーリー。設定はアパシー版独自のもの。
『2008』と繋がりそうなアパシーシリーズ的に重要そうな作品だったものの、最初に出てくるのが細田友晴なのが読者受けが悪かったのか、打ち切りになり続編希望CFも失敗に終わり未完。単行本は出ている。当初はVNVコミカライズの予定だった、
アパシー後期(2018~)
ゴルフが一段落したようで、2018年に本格復帰。
規制への怒りは落ちついのか、作風が若干丸くなった。制服がモデルチェンジ。
「ライターが若くなり95年なんて知らない」という事情もあり現代設定の作品も増えた。
坂上さんが必殺仕事人になる『逆殺人クラブ』が遂に登場。
分岐は無し。
2018年スタートで全三巻完結予定ながら、2021年になっても三巻が発売されず未完。
「完結してから一気に買いたい人が多いのか、あまり売れず出せない」らしい。
お金に余裕のある人はお布施をすれば続きが見れるかも知れない。月下美人に限らず。
単独で完結している作品
未完はいやんという人にいい。
サクッと読みたい分岐など要らぬ
新アパシー第一段の作品。シナリオやイラストの評判がいい。
- 『ドラマCD』
「声がイメージと違った」「全部揃えると高い」という人にはシナリオ集も用意してある安い。
分岐のない学怖など認めぬ
七不思議の集会。面白いが値段が高い。「綺麗な語り部が全員で協力して学校を脱出する」といった誰もが一度は夢見たであろうシナリオもある。
当初、極の追加パッチの予定ながら、OSの仕様で無理という事で単独販売。
ラインナップは『四八に出てきた正美おばさんが勤めるクロユリ総合病院』『人肉食堂と戦国サイバー藤丸地獄変のコラボ』『岩下明美が語る怖い話』なのでアクが強い。
飯島氏が四八(仮)でやりたかった事らしい。分岐はファンの優秀作品。
遂に出た人気ナンバー1の荒井昭二が主人公のゲーム。荒井フレンズも大集合。
体験版で新生に入っていた『牧場奇譚』が無料で最後まで読めてしまう。
コンシューマー版
「で、switch版『送り犬』ですが、これが売れております。ナナコロが今年出したアパシー三作品の売上本数を合計しても足元にも及ばない。マジで売上本数の桁が違う。さらに、かなり高評価をいただいております。元は十年前に出した同人ゲームなのですが、さすがコンシューマ。なめちゃいけませんね。感動しました」
『送り犬』の予想外のヒットからかコンシューマーと和解し、2022年夏に『アパシー 鳴神学園七不思議』がSwitchで発売。
ミッション系のような制服にモデルチェンジ。95年ではなく現代設定。
SFCと今までのアパシーのシナリオをリブートするらしくアパシー版のベストアルバムのような作品になるかも知れない。
スマホアプリ版
1000万のCFが成功したものの、残念ながらアプリを作る会社が倒産してしまったらしい。
まずはコンシューマーでファンを増やしてからアプリを作りたいとの事。
鳴神学園2008
13年前に校内新聞を作るために企画された学校の七不思議を語る集会。そこで起きたある事件がきっかけとなり、鳴神学園では七不思議を語ることは禁じられていたそしてその事件から13年後、様々な思惑をはらみ再び七不思議の集会が催される。
1995シリーズの13年後を舞台とした世界観で、「学校であった怖い話」における七不思議の集会などの形式を受け継ぐ続編的作品として発表されている。
登場人物は探偵局シリーズに予告編的に登場している。
いわゆる現代版(2006年スタート)学校であった怖い話2。
アパシー作品としては後から組み込まれた95年よりも先輩で『突出した才能を持っていたりご令嬢や有名人が通う千葉県にあるマンモス校の私立鳴神学園』という設定や『ロリータ風の制服』はこの作品から作られた。
未完のまま2008年はとうに過ぎたものの、同人ゲームとして復活したのでいつか完結するかもしれない。
今から買うなら文庫本より二話多いゲーム版の方がお得。
鳴神学園都市伝説探偵局
2007年の鳴神学園を舞台としており、2008の前日譚的な位置づけ。
本家と違い雰囲気は明るく出てくるメンバーの性格がいい。
元々三部作の予定で一部のみ『DS』で出たものの未完、『ミッコレ2』『アパシー流行り神』で番外編は読める。
小学校であった怖い話
通称小学怖。年代を明記してないが、上記作品の未来における鳴神学園小等部を舞台としている。学校であった怖い話の語り部の子どもたちも出演している。
2014年に発売された児童書なのでホラー描写はマイルド。
鳴神学園は『整形外科から歯科まであらゆる科を取りそろえた大学の付属病院、国会図書館並みの蔵書の図書館、プラネタリウム、博物館、科学館、美術館、動物園、水族館まで鳴神学園の施設として所有している、小学校から大学院まであるマンモス一貫校』にレベルアップ。
絵師が再三変わり子供や制服のデザインが安定しないのは親譲り。
月曜日~金曜日で一区切りを付ける予定だったが水曜日で打ち切られてしまう。2018年にアパシーシリーズに組み込まれ同人ゲームとして復活したのでいつか完結するかも知れない。
単独作品
・送り犬
・レンタル家族
この三つは全て飯島脚本でシナリオの評判は良かったものの、『1995』メンバーが出ていないからかそこまで売り上げが伸びなかったらしい。
『レンタル家族』は公式ショップで0円でダウンロード出来る。
『男怖』もCFが成功したので新作発売予定。
コラボ作品
アパシー流行り神 日本一ソフトウェアの流行り神とのコラボレート作品。
鳴神学園都市伝説探偵局シリーズ。学校であった怖い話の語り部が成人後の姿で登場する。
有名作品とのコラボとの事で発売前の期待は大きかったものの『学恋V』との同時制作の弊害かボリューム不足を指摘されがち。
実況者コラボ
レトルト氏やナポリの男たち氏とのコラボ。YouTubeで無料で読める。
よく「学怖実況といえばrevinか稲葉じゃないの?」と言われるが、どちらもナナコロ側からのオファーではなく飯島氏は実況動画は見ないそう。
どの作品からはじめるべきか
全てのシリーズを買うのが望ましいのだろうが、絶版から高騰している、買ったはいいが未完で続きが気になる、そもそも作品が多く何が何だか分からない、と敷居が高いようなので紹介。
公式チャンネルで飯島氏とスタッフが過去作の実況をしているので試しに見てみるといい。
旧作ネタはあるもののアパシーから入っても全く問題無い。
キャラクターのアクが強いので一作品買うだけでもどんなキャラかは分かるようになっている。
中には旧作から名前以外別人になっているキャラクターもいるので、旧作は後からプレイするぐらいでちょうどいいかも知れない。
『アパシー ミッドナイト・コレクション vol.01 恵美ちゃんの殺人クラブ観察日記』
ゲームとしてこれが一番出来がいい。
『VNV』が相当売れたようで予算たっぷり、四八(仮)に入る予定だった分岐だらけの『送り犬』や『柱の傷』の三本立てで1500円とコスパもいい。
大体のENDは選択肢総当たりで見れる。「攻略本ないとわかんねーよ」な分岐は攻略wikiに載っている。
最初に発売された『アパシー 学校であった怖い話~Visual Novel Version~』は95年発売の小説に絵と音楽を付けてゲームとして発売しただけなのでリメイクに近い、この『ミッコレ1』こそアパシーシリーズ第一弾のゲームと言ってもいい。
アパシーシリーズの語り部の性格やシナリオの雰囲気はこのゲームがベースとなっている。
もしもこの語り部やシナリオに拒否反応が出た場合は他の作品も合わないかも知れない。
ほとんどすべてのストーリーを原作者の飯島多紀哉氏が担当している数少ない作品。
この作品の後に飯島氏は目の病気になり執筆活動がしばらく出来ず社員に任せる事になった。
絵師の芳ゐ氏もこの作品で退社してしまう。
後の『学恋/まぜこい』等は他の絵師が自分のタッチを押し殺し芳ゐ風に描いているだけなので、どうしても立ち絵と一枚絵にギャップかあり、追加キャラや私服が浮いているように見える。
『アパシー 学校であった怖い話1995 特別編』&『アパシー学校であった怖い話1995特別編 追加ディスク』
旧作のファンにいいかも知れない。合わせて3500円。
『アパシー 学校であった怖い話~Visual Novel Version~』と『アパシー ミッドナイト・コレクション vol.02 鬼哭ノ章』に分岐が付いた作品なので『VNV』と『ミッコレ2』を買うよりお得。
『特別編』のシナリオはほぼ全てが「怪談募集!」コーナーから選ばれた優秀作品。分岐はスタッフが担当。
ライターはプロではない学怖ファンなので玉石混淆、『追加ディスク』のほとんどは飯島氏が担当しているので必ずセットで買った方が良い。むしろ『追加ディスク』が本体かも知れないが『追加ディスク』だけでは起動出来ない。
旧作と違い語り部の順番を変えるだけではシナリオは変わらず「◯◯を奇数偶数で選ぶと発生、◯◯の後に◯◯を選ぶと発生、◯◯の語る◯◯話を聞くと発生」という攻略本前提の難易度だが、攻略サイトがあるので大丈夫。
四八(仮)から没になったシナリオを根幹シナリオに採用したボリュームたっぷりの逸品。
「現代を舞台にした鳴神学園」というコンセプトのため、もちろん現役高校生のいつもの面々はスマートフォンを持ち歩いている。
面白いが4800円、1500円の攻略本も一緒に買おう。選択肢総当たりだけではクリアは出来ない。
SFCのトランプ/自殺/こっくりさん/サンブラ茶/無限廊下/水道をベースに分岐が追加されており、聞く順番を変えても話は変わらない(特別編に近い)
元々四八(仮)の語り部の性格が丸い事もあり、特別編以上に旧作ファンにオススメの作品かもしれない。
ちょうどメイン絵師がいない時期の作品だったのと、四八語り部の制服がバラバラで過去立ち絵の流用が出来ない事もあり、イラストは恐怖CGとスチルのみで立ち絵はシルエットになっている。
『学恋2』
攻略本とセットで3500円。
この作品だけメインシナリオを飯島氏が執筆しており、明らかに他の二作品より出来が良い。
坂上や倉田のファンや自己投影派でも恋愛ゲーがしたいなら2をオススメする。
攻略本を読まないと何一つENDが見れないどころか読んでも面倒臭いので、攻略本も買った方が良い。
『VNV多すぎて何買えばいいか分からない問題』
『特別編』を買って唯一収録されていない『7話』だけ『Kindle』で購入するのが財布に優しい。
「分岐するの面倒臭いそのまま読みたいよ」という人は追加シナリオが一番多い『最終版(VNV)』がオススメ。アパシーから入った等の理由で実写にアレルギーのある人はイラストに変更も出来る。
次点で最初に出た『VNV(旧版)』BGMがSFCでほぼ別物のギャグシナリオになる関西弁パッチが遊べるのは旧版だけ。ただし関西弁パッチは『ミッコレ1』に入っている。
「◯◯の話だけ読みたいよ」「一番安いのを頼む」という人は電子書籍の『Kindle(VNV)』、「紙じゃなきゃ嫌だよ」という人は『文庫版(VNV)』。
廉価版だが独自の魅力が薄いのは『新装版(VNV)』という事になる。関西弁パッチも遊べず追加シナリオは特別編追加ディスクに入っているので……。
新堂・岩下・福沢の話は『ドラマCD』で採用され、今はストアから消えているが『アプリ版』なんてのもあった。Kindle版は新堂誠の話すVNVでも人気の高い『高木ババア』だけ無料で読める。
関連タグ
VNV 学恋 小学怖 男子校であった怖い話 鳴神学園都市伝説探偵局