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P-47の編集履歴

2012-04-15 21:50:10 バージョン

P-47

ぴーよんじゅうなな

アメリカ、リパブリック社の高高度戦闘機。通称は『サンダーボルト』。見ての通りの大型機であり、とても重い。急降下に強いのはもちろんだが、大馬力エンジンや大径プロペラのおかげで急上昇も大得意である。空冷エンジンは被弾に強く、戦闘爆撃機としても活躍した。というか、そちらの方が有名である。

セバスキー航空機

このP-47の製造元「リパブリック」の前身。

元はロシア海軍で13機撃墜のエースパイロット、アレクサンダー・セバスキーがアメリカ亡命後の1931年に設立した会社で、彼自身が社長・設計・テストパイロットを兼任する非常に小さな設計事務所である。


1934年にカーチスP-36との競争試作に勝利し、初めてアメリカ陸軍からの受注を得る。この機が「セバスキー P-35」で、引き込み式の車輪や密閉式のコクピットを備えるアメリカ陸軍初の近代的な戦闘機である。


1939年にアレクサンダー・カルトべりを設計主任に雇い、「リパブリック」へと発展する。

なお、彼はのちにF-105も手がけている。


発展型『P-43 ランサー』

このP-35はP-43の原型にもなる。

P-43は一回り大きくなり、さらにエンジンに排気タービン(ターボ)を追加して高高度に対応。

車輪も完全に主翼内部に収納するなど、空力も改善された発展型である。

この頃はAP-4と命名されており、1939年5月にXP-40との評価試験が行われた。

結果、採用はされなかったが、評価試験の為にYP-43『ランサー』として13機が発注された。


P-43は1941年4月には全機が引き渡された。

飛行試験の結果、最高速度にして565km/hを記録して良好な性能を示した。

これに気をよくした陸軍は、生産型P-43をさらに54機発注。

リパブリックも、これを基にしたAP-4J(XP-44)とAP-4L(AP-10)を並行して開発していた。


だがXP-43もAP-10も、ドイツ戦闘機に太刀打ちできない事が判ったため、

80機の発注を得たXP-44は完成前にキャンセルされて、リパブリックは経営難になってしまう。


アメリカ陸軍はリパブリック救済と生産ライン維持のため、

性能的には見劣りのするP-43を仕方なく80機生産させる事にしたのである。

追加生産分のP-43は「P-43A」と分類された。


だが肝心の排気タービンの調子が優れず、稼働率も低かったという。

なので戦闘機には出来ず、偵察機として使われた。

中華民国向けにパワーアップ型の「P-43A-1」が108機用意され、日本機とも交戦したという。


もうひとつのAP-4

ここからはもう一つのAP-4改良型、「AP-10(XP-47)」が主役になる。

ドイツ戦闘機に勝てないと判断されたXP-47だったが、

小改良型のXP-47Aを経て、全面変更型となったXP-47Bが陸軍の目に留まり、発注されたのだ。


このXP-47Bは当時としても巨大な戦闘機で、

空冷星形のP&W R-2800「ダブルワスプ」エンジンを搭載する。

これは2000馬力級の過給機装備エンジンで、もちろん高高度性能に優れる

もちろん機体も大きなものとなり、まさに『化け物』とも言うべき戦闘機である。

(設計者のカートベリも『スタイルのいい恐竜』とまで言っている)


このXP-47Bは1941年5月6日に初飛行しており、性能は素晴らしいものを示した。

燃料タンクはコクピット下に1155L(305米ガロン)分を収容できたが、

燃費が良くない事もあって後に不足している。

火力では12.7㎜機銃を8門も備え、弾薬も各銃425発(合計3400発!)用意されている。


巨大な機体に見合い、コクピットも非常に広い。

おかげで居住性は十分以上なものとなっており、なんとエアコンまで(!)備えている。


サンダーボルト(雷電)

P-47B制式採用

さて制式採用となったP-47ではあったが、大型機ならではの苦悩も付き纏った。

まず、あまりに重いのでなかなか離陸しない

排気タービン・複雑な冷却機構を備えるP-47は、どうしても大きくなってしまうのだ。


機体が重いという事はつまり、離着陸が難しいという事でもある。

特にエンジントラブルで不時着する際は神経を使ったという。

また、エンジン・排気タービンに関連する火災は問題であり、これは改良型のC型で改善される。


最後に舵が重い

これは機体が大型・重量級なので仕方のない事でもあった。

特に急降下の時はただでさえ重い舵がさらに重くなり

機体を引き起こせなくなってパイロットが何人も死亡している。

これも後に対策がとられ、改善している。


改良型、P-47C登場!

陸軍はP-47に慣れていくに従い、徐々にその実力に気づき始める。

そこで、以上のような初期不良・独特のクセを修正したP-47Cをリパブリックに発注する。


まず舵の効きを良くするため、全金属製の舵を採用した。

次に火災発生の原因にもなっていた排気タービンを改良し、安全性を高めた。

他にもP-47Cは生産中にマイナーチェンジが何度も行われ、少しづつ改良されていった。

(胴体の延長・増加タンク装備・エンジン改良など)


決定版はP-47D

絶え間ない改良の結果、1942年末までには初期トラブルの多くが解決される事になった。

最初の配備先はイギリスである。

戦場の上空制圧や、爆撃機B-17のための護衛が求められたのである。

このP-47Dは12602機も生産され、最初と最後は明らかに別物となった。


増加タンクを両翼にも搭載できるようにされ、

さらにキャノピーがバブルタイプの視界改良型になった。

また、機内タンクも増設が続けられて1657kmも飛べるようになっている。


途中から対地攻撃に対応できるようになり、

主翼に爆弾ロケット弾を搭載できるようになった。


空冷エンジンは被弾にも強く、また機体も防弾がしっかりと施された。

逸話としては『被弾して帰投するP-47がFw190に追いつかれ、銃撃を受けたが火もつかず、墜落させる事は出来なかった。弾薬の尽きたFw190のパイロットはP-47の頑丈さに敬服して引き揚げていった』といったものが残されている。


最高速度も697km/hとなっており、P-51程ではないが、かなり高速である。

試作された改良型の中にはV-1迎撃のため、更なる高速化を図ったものもある。


戦場のP-47

まず頑丈で、また高高度性能にも優れるP-47は縦横に活躍した。

最初はB-17の編隊護衛任務のために使われている。

改良されるごとに航続距離は長くなり、

ついには最初から最後まで付きっきりで爆撃機を護衛できるようになった。


重量級なので、もちろん急降下からの一撃離脱戦法は得意である。

しかも大きなプロペラ直径のおかげで、急上昇も大得意と来ている。

つまり、追いかけられら急降下でも急上昇でも逃げられない戦闘機なのだ。


さらに12.7㎜機銃をなんと8門も搭載しているため、火力も絶大だ。

後にはドイツ空軍の勢力が下火になり、来襲する戦闘機も少なくなった。

そこでP-47は護衛任務の帰り道で地上の目標を機銃掃射し、威力を発揮した。

機銃掃射では戦車を破壊することは出来ないが、例えばエンジン火災を起こす位は十分できた。

(ましてやドイツ戦車はガソリンエンジン駆動で、火災をおこし易い)


そういう訳で、P-47は対地攻撃にも使われている。

しかも空冷エンジンは被弾に強い性質があり、おまけにP-47は火災対策が厳重にされていた。

その上高高度飛行のためにエンジンの出力が十分足りており、戦闘爆撃機としては申し分無い。


当初は爆弾が搭載されていたが、間もなくロケット弾が使われるようになった。



概要

排気タービンを装備し、高高度飛行に優れた戦闘機

非常に大型の戦闘機であり、

パイロット達からは『離陸すらできそうに無い』と言われた。

しかし、一度離陸してしまえば評価はガラリと変わる。

急上昇でも急降下でも逃げられす、

12.7㎜機銃を8門も搭載する戦闘機は空戦で絶大な威力を発揮した。

この火力は対地攻撃にも有効であり、

大馬力エンジンによる大きな搭載量と共に、戦闘爆撃機としても活躍した。

というか、こちらの方が有名だったようで、

『サンダーボルト』の名称は対地攻撃機が引き継ぐ事となった。

・・・本当は高高度戦闘機だったのだが、一体何を間違ったのだろうか?

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