概要
辛く、苦しく、勢いのない時代を暗黒に準えた表現。対義語は黄金時代。
歴史用語としての「暗黒時代」
大抵は中世ヨーロッパの前期(5世紀~10世紀)を指す事が多く、長い目で見ればルネサンス期(16世紀以降)までを指す事もある。
中世前期は480年の西ローマ帝国崩壊以降は文明や文化・技術が断絶してその水準が著しく衰退し、更にキリスト教の宗派が分裂したり、疫病の流行やヴァイキング・ゲルマン人・イスラム教徒との抗争が重なってヨーロッパは長期に渡って極度の混乱に陥ったが、やがてこの混乱もフランク王国の台頭と共に鎮まっていき、それから数世紀後にはヨーロッパにルネサンス文化が花開く事となった。
…もっとも、中世ヨーロッパの後進的でネガティブなイメージはルネサンス期や近世の学者達が中世を野蛮で迷信的で無知な物として批判した所が大きく、彼らに「暗黒時代」と否定的に見なされた中世においてもゴシック建築、トルバドゥールやミンネジンガーといった吟遊詩人、アーサー王伝説を始めとする騎士道物語、装飾写本などの特徴的な文化が各地で隆盛していた。19世紀半ばのヴィクトリア朝時代にイギリスを中心としてゴシック・リバイバル建築や騎士文化などといった中世の文化が大流行した事もまた事実である。
プロスポーツにおける「暗黒時代」
転じてプロスポーツでは、チームの成績が低迷し最下位近辺をうろうろしている状態を表す。例えばプロ野球(NPB)の場合、阪神タイガースは1990年代、横浜ベイスターズは親会社がTBSの時代、中日ドラゴンズは2010年代後半が該当。