「狂犬が……そんなに見たければ自分の腹でも割るんだな」
「薄汚ねぇ心は剣に出る。そんなもので俺を捉えることなどできん」
「外道らしい奥の手だったよ」
「先天性の四肢異常か。袖の中に未発達の短い腕があるのだろう」
「テメェみたいな下衆、何万人見てきたと思ってんだ。目を見りゃわかるんだよ」
「さあ来い。断罪の時間だ」
「貴様は人の中身を見るのが趣味のようだが……」
「私はその薄汚いガワを全て剥がしてやる」
「そうだよ……私はな、貴様らのような下種を狩るために、あえて怪物となった」
「この身が抜けられないほどに闇に落ちているなど、百も承知だ」
「あと、お前の母親のことは知らんがな、もし、我が子に健全に育って欲しいと願っていたならば、『差別する人が間違えている』という言葉は、お前には、その差別した者たちのように、人を傷つけるような人間になってほしくないという願いを込めたはずだ。『あなたは強く生きなさい』……という言葉は、その差別を乗り越え、いつか自分と同じように差別されるような人間がいたならば、守ってやれという意味だ」
「テメェは母親の言いたいことを、本当に理解できていたのか?」
「まあどうでもいい。お前に生きる資格などない……」
対象
馬場建材工業の社長馬場に依頼され、ライバル企業の社長一家である泉一家を襲撃し夫妻を惨殺、娘の真琴に生涯消えぬ傷を刻んだ活人剣遣いの辻斬り野郎であり巨大半グレ組織羅威刃の幹部である小湊圭一に執行。
概要
某半島の北半分で行われている冷凍拷問を伊集院茂夫流にアレンジしたもの。本来の冷凍拷問は冷凍室などの大掛かりな設備を要するが、それらを用いずとも冷凍拷問を行える様に、罪人を鉄柱に拘束し、その鉄柱を霜が降りる程に冷却(液体窒素を用いていると推測される)して背面を冷却、前面は超低温の冷却ガス(流川曰く「マヒャド」)によって冷却する様にしている。更に今回伊集院は、それだけでは罪人の罪科に釣り合わぬと、かつて親の仇の一人に行ったものと同じ様に、凍る寸前まで冷えた罪人の身体に鞭打を叩き込んだ。
経過
伊集院との戦闘後、拷問部屋に連れ込まれた小湊は、伊集院から泉一家の事を思い出せと殴り倒されるも、平然ととぼけた上に笑い出す始末。伊集院は何がおかしいと詰め寄るが、小湊は自らの経歴を語り、「両腕がある人間は悪人。そういう人間は間違っているとママが言っていた。だから殺しても構わない」と言い放った。伊集院は社会から迫害された事で小湊が邪悪に染まったと知り、同情した……と見せかけて「そんなものが無実の人間を快楽的に斬り捨てていい理由になど一切ならない」と断言し、拷問を実行。小湊は極低温と鞭打でズタボロになるが、それでも自らを平然と正当化し、伊集院の矛盾を指摘する言葉を吐いた。しかし伊集院はそれすらもすでに自分は重々承知していると言い放ち、更には小湊の母親が言ってた言葉の意味を履き違えていると指摘し(これは伊集院が隻腕である事が理由で差別された過去のある小湊に見せた最後の愛情だったのかもしれない)、小湊の心を完全にへし折ると拷問を続け、地獄に叩き落とした。
その後、城ヶ崎は彼が伊集院に断罪された事を知っていた模様で、伊集院に対して明確な敵意を剥き出しにしていた。
余談
今回死亡した小湊であるが、京極組からは精神的支柱である六車謙信を意識不明の重体に追いやった怨敵として追われていた。しかし、伊集院が葬ったことを京極組は一切知らない(死亡したらしい事は風の噂で伝わっている模様)為、京極組は最早この世にいない小湊を延々と探す羽目になるか、もし伊集院が葬ったと判明した際、伊集院との少なくない禍根が残るか、感謝されるかのどちらかと思われる。