伊集院茂夫によるパリージャ
じゃあかんがえたけっかなんだがしんでくれ
『我欲の為に罪もない家族をいたぶり抜いて殺すとは……』
「ならばこの伊集院が、徹底的にいたぶり、骨だけになるまで削り落としてやろう」
『貴様らには自身の罪深さと……本当の拷問とは何なのか……教えてやる!』
「下衆が……ならば被害者の嘆きを、その身に刻み付けてやる。流川ぁ……」
「全身の筋肉が極限まで締まるぞ」
「どうした……? 文字通り、ケツに火が付いたか?」
「どうだ、熱で溶けた銀のシャワーは? 罪穢れがよく落ちるだろう」
「お前が依頼した殺し屋、小湊の情報を言え。内容によっては考えてやる」
「そうかそうか、じゃあ、考えた結果なんだが、徹底的に苦しんで死んでくれ」
「理由か? 目障りなんだよ。これがお前の理屈だろう」
元々は骨組みだけのベッドに拘束した罪人に電気を通すものだが、伊集院はこのベッドを天蓋付きにし、その天蓋に溶けた銀を詰めた鉛のスプリンクラーを配置、更にベッドの骨組みを電熱で加熱するように改造している。
前面は溶けた銀で、背面は電熱でじっくりと炙り、電気ショックによる刺激を流す事で、屈強な男ですら耐えられない炎雷拷問として完成させた。とはいえ、鉛のスプリンクラーの方の調子が悪かったので、要改善点として記録した。
薙刀の泡渕以下護衛連中を叩きのめした伊集院と流川は、今回の件の首謀者である馬場を捕縛し、拷問室に叩き込んだ。
機材に拘束した馬場の腹に伊集院はストンピングを叩き込んで起こすが、厚顔無恥で自分の立場を理解していない馬場は喚き散らすばかり。伊集院は大人しくさせる為に、連続パンチで馬場の歯を全て叩き折ると、悔恨の念を問うた。しかしながら馬場にそんなものなどある筈もなく、「新参者のくせに調子に乗っていたから潰した。それに俺が始末しろと言ったのは泉だけだ。女房子供なぞ知らん」とふざけた暴言をぶちまけた。これにキレた伊集院は、即刻拷問を執行し、馬場は銀塗れになった。
あっさりと音を上げた馬場はこれまでの外道と同じく命乞いをするが、伊集院は小湊の居場所を吐くように命令した。しかし馬場はマトモな情報を持っていなかった。そして伊集院は、小湊が起こした事件の黒幕である馬場を許すはずがなく、目障りだと断じて徹底的に苦しめて抹殺した。
- 馬場
今回の断罪対象。馬場建材工業の社長。裏では半グレと繋がりがある。泉社長(真琴の父親)とはライバル関係であり、業界を牛耳ようと、暗殺者を使って泉一家を襲撃させた。「後から業界に入ってウチを抜いた泉社長が目障りだった!」「オレは『泉社長を殺せ』と言っただけで、女房や子供なんか知った事か!」と暴言を吐き捨てた事が伊集院の逆鱗に触れてしまい、上述の拷問を受ける。小湊の居場所を吐けば助かると思い、必死に小湊の居場所を吐いたが、伊集院に「目障りだから死んでくれ」と先程の暴言を丸々叩き返され、絶命した。
半グレ組織「羅威刃」のメンバー。馬場からの依頼を受けて泉家に乗り込んだ。依頼は泉社長のみを殺害する事だったが、小湊自身の気まぐれによって泉夫人(真琴の母親)も殺害し、真琴にも重傷を負わせた。後に伊集院の断罪対象となる。
- 泡渕
馬場に雇われた半グレのリーダー格。薙刀の使い手であり、「薙刀3段」「薙刀の泡渕」と自称しているが、ただ力任せに振るっているだけで薙刀の長所を活かしていない。それ故に武芸百般である伊集院の足元にも及ばず、「薙刀の阿波踊りが聞いて呆れる」と嘲笑され、脛や小手を粉砕された後、上段打ちを食らった(伊集院曰く「これでは振るわれる薙刀が泣く」)。
なお、他の半グレ達は伊集院や流川に一掃された。
- 泉真琴
今回の依頼人で、被害者。資産家の娘で、女子高生。
馬場に雇われた小湊によって両親が殺され、自身も袈裟斬りで重傷を負ってしまった。掛かり付けの医師の懸命な治療や両親から貰ったアメジストのネックレスが斬撃を軽減してくれた事もあって一命を取り留めた。
両親の死後、父方の祖父母に引き取られ、小湊を探そうと裏の世界に入った。チンピラに絡まれてしまいそうになったところをエマに助けられ、エマの紹介で伊集院に依頼をした。
- 泉夫妻
今回の被害者。娘想いな父親と優しい母親であり、父親は業界で馬場建材工業を抜く程の会社の社長である。
しかし、その事で馬場に妬まれ、夫婦ともに小湊に殺害された。
- 医師
泉家の掛かり付けの医師。小湊が去った直後、泉一家を発見し、まだ息がある真琴を懸命に治療した。真琴が一命を取り留めた際は涙を流していた。
被害者の一人がとある企業の社長であることと、社長だった被害者がとある工業の社長だったことから、『王将社長射殺事件』と『マブチモーター社長宅殺人放火事件』を掛け合わせたものである可能性が高い。前者の事件は当時襲撃した犯人は特定できていないところとあくまで噂ではあるが動機が会社絡みだったと言われているところが似ており、後者の事件は殺害現場が放火はされてはいないものの、現場が社長宅だったことである(ただ、こちらの事件の犯人の動機は本編の身代わりとして逮捕された人間同様、動機が「強盗目的」である)。違うところをあげると、前者の事件は殺害現場が本社前であることと刺殺ではなく射殺によるもの。後者の事件は社長自身は殺されておらず、殺されたのは妻子であり、その足でほかの強盗事件を起こした犯人たちによって殺されてしまった歯科医と別の会社の社長夫人である(本編では娘である依頼人と偶然小湊と遭遇しなかった父の掛かりつけ医が生き残っている)。そのため完全な元ネタの特定はできないものの、ただ本編が伊集院が羅威刃の刺客の一人・小湊をターゲットとして狙っている話(しかも前編後編と分かれている話)になるため、こういう元ネタを掛け合わせたストーリーがあってもおかしくはない。