「育ててもらい、剣を教わった恩を仇で返すか……」
『骨の髄まで腐りきった外道が。生かしてはおけん』
「狂犬が……そんなに見たければ自分の腹でも割るんだな」
「薄汚ねぇ心は剣に出る。そんなもので俺を捉える事など出来ん」
「外道らしい奥の手だったよ」
「先天性の四肢異常か。袖の中に未発達の短い腕があるのだろう」
「テメェみたいな下衆、何万人見てきたと思ってんだ。目を見りゃわかるんだよ…… さぁ来い、断罪の時間だ」
「花宝町の泉一家だ! 父親を刺し殺し、更には標的ではなかった母親と娘まで斬ったろう! オラ、早く思い出せ!」
「その家族は石投げてねぇだろうが……」
「成る程……謂れなき差別を受けた事で、心が傷つき、他人に敵意を募らせた訳か。ならば、お前も社会の犠牲者。一定、情状酌量の余地はある……」
「なんて言うと思うか、このクソ野郎。罪も無い家族を快楽的に殺し、か弱き少女まで斬ったテメェは、万死に値する」
「今まで殺された人々の恨みと、怒りを刻み付けてやる……」
「貴様は人の中身を見るのが趣味のようだが……私はその薄汚いガワを全て剥がしてやる」
「そうだよ……私はな、貴様らのような下衆を狩る為に、敢えて怪物となった。この身が抜けられない程闇に堕ちているなど、百も承知だ」
「あと、お前の母親の事は知らんがな、もし、我が子に健全に育って欲しいと願っていたならば、『差別する人が間違えている』という言葉は、お前には、その差別した者達のように、人を傷つけるような人間になって欲しくないという願いを込めた筈だ」
「『あなたは強く生きなさい』……という言葉は、その差別を乗り越え、いつか自分と同じように、差別されるような人間がいたならば、守ってやれという意味だ」
「テメェは母親の言いたい事を、本当に理解できていたのか? まあどうでもいい。お前に生きる資格など無い……」
対象
馬場建材工業の社長馬場に依頼され、ライバル企業の社長一家である泉一家を襲撃し夫妻を惨殺、娘の真琴に生涯消えぬ傷を刻んだ活人剣遣いの辻斬り野郎であり巨大半グレ組織羅威刃の幹部である小湊圭一に執行。
概要
某半島の北半分で行われている冷凍拷問を伊集院茂夫流にアレンジしたもの。本来の冷凍拷問は冷凍室などの大掛かりな設備を要するが、それらを用いずとも冷凍拷問を行える様に、罪人を鉄柱に拘束し、その鉄柱を霜が降りる程に冷却(液体窒素を用いていると推測される)して背面を冷却、前面は超低温の冷凍ガス(流川曰く「マヒャド」)によって冷却する様にしている。更に今回伊集院は、それだけでは罪人の罪科に釣り合わぬと、かつて親の仇の一人に行ったものと同じ様に、凍る寸前まで冷えた罪人の身体に鞭打を叩き込んだ。
経過
伊集院に敗北後、拷問部屋に連れ込まれた小湊は平然ととぼけ、伊集院から泉一家の事を思い出せと殴り倒されたものの笑い出す始末。伊集院は何がおかしいと詰め寄るが、小湊は自らの経歴を語り、「両腕がある人間は悪人。そういう人間は間違っているとママが言っていた。だから殺しても構わない」と言い放った。伊集院は社会から迫害された事で小湊が邪悪に染まったと知り、同情した……と見せかけて「そんなものが無実の人間を快楽的に斬り捨てていい理由になど一切ならない」と断言し、拷問を実行。小湊は極低温と鞭打でズタボロになるが、それでも自らを平然と正当化し、「僕を下衆と呼んでいるがアンタも同じだ。普通の人間じゃこんなことできないよね」と伊集院の矛盾を指摘する言葉を吐いた。しかし伊集院はそれすらもすでに自分は重々承知していると言い放ち、更には母親が言ってた言葉の意味を小湊自身が履き違えていると指摘し(これは伊集院が隻腕である事が理由で差別された過去のある小湊に見せた最後の愛情だったのかもしれないと後に評されている、詳細は後述)拷問を続行、小湊は15時間かけて肉を削られて死亡した。
その後
羅威刃視点
その後、羅威刃は情報の出所は不明ながら小湊を伊集院に葬られたことを知り、城ヶ崎賢志は伊集院への報復を考えたものの京羅戦争で設楽紀明たちを失い東雲竜政も戦線離脱していた状態で、京極組と伊集院を同時に相手にできないと考え棚上げした。その後、城ヶ崎が一条康明に討たれ伊集院と城ヶ崎が対決する機会は永遠になくなった。城ヶ崎の後を継いだ東雲がこの回にて伊集院と邂逅したが伊集院に対して遺恨を持っている様子はなかった。
京極組視点
一方京極組では小湊を、精神的支柱である六車謙信を意識不明の重体に追いやった怨敵として追っていた。しかし、伊集院が葬ったことを京極組は一切知らない(死亡したらしい事は風の便りで伝わっている模様)為、京極組は最早この世にいない小湊を延々と探す羽目になるか、もし伊集院が葬ったと判明した際、伊集院との少なくない禍根が残るか、感謝されるかのどちらかと視聴者からは思われていた。
そして後の回にて遂に伊集院と六車が邂逅。
直接の言及は無いものの、小湊を屠ったことは知れ渡っていた模様。なお、この回の外道を譲る条件として「自身が嵌まりやすい不意打ち対策を教えてもらう」と伊集院に提案して快諾されたことから、少なくとも禍根はないことが窺える。
最後の愛情
伊集院は拷問において相手が命乞いをしてきた後、彼らの狂った理論をそのまま適用して更なる絶望へと叩き落すという手法をとる。
それに対し、小湊は命乞いをしなかったことも関係するかもしれないが、彼が母からの教えを誤った形で解釈していたことを教えてから手にかけるという手法をとった。
この手法について、2022年10月15日の動画でエマが「最後の愛情だったのかもしれない」と言及しているほか、流川も小湊の人生が不遇であるという認識をしていた。
伊集院は拷問前に彼を外道と断じていたが、内心では少し思うところがあったのかもしれない。
余談
小湊が命乞いをすることがなかった、伊集院が最後の愛情として彼の過ちを正そうとしたなど、今までの拷問とは一線を画す部分が多くあったといえる。
また、先述の通り小湊が伊集院の手にかかったことが割と広く知られている(他の拷問にかけられた者は情報が出回っていない)ことから、何らかの形で弔いがなされたのではないか、情報屋が確認していたのではないかという説があったが実際のところは不明(拷問方法的に肉体が削れはするが、今までの拷問方法よりも遺体はしっかり残るのではという指摘もこの可能性を補強している)。
