サトイモ科
さといもか
概要
単子葉類オモダカ目に属する被子植物の一群。同じ目のオモダカ科と同じく長い葉柄に平べったい葉をつけ、湿地や沼地に生育する水生植物も多い。
アンスリウムやミズバショウに見られるように、花軸に密集した小さな花(肉穂花序)と、それを囲むように発達した苞(仏炎苞)が最大の特徴。仏炎苞は花の構成要素に見えるが、葉が変化して目立つようになったものである。花の付属器官である萼片とは違う。
主として熱帯で進化した系統と考えられており、サトイモ(タロイモ)をはじめポトス、アンスリウムなど、寒さには弱い植物が多い。ミズバショウやザゼンソウのような寒冷地に生息するものもあるが、どちらかというと例外的である。
ほとんどの種が毒性のあるシュウ酸カルシウムを含んでおり、これが特に多いクワズイモなどは汁に触るとかぶれたりする。サトイモはシュウ酸カルシウムが少ないので加熱調理することで食用にできるが、生では食べられない。コンニャクイモはシュウ酸カルシウムが大量に含まれているので茹でただけでは取り除けず、アルカリ処理して無毒化する必要がある。
従来ウキクサ目ウキクサ科として分類されていたウキクサ類は、仏炎苞を全く欠くどころか植物体が茎と根だけで葉がない(ウキクサの葉のように見える平べったい部分は葉状体といって、茎が変化したもの)という、種子植物の中でも特に浮遊植物として特殊化したものの一つである。ミジンコウキクサに至っては植物体が葉状体だけとなっており、微細藻と見紛う形態に成り果てているものの、いずれも遺伝的にはサトイモ科に近いことが明らかになり、サトイモ科ウキクサ亜科として分類され直された。
「世界最大の花」として知られるショクダイオオコンニャクもこの科に属する。