概要
水芭蕉とは、春の風物詩である、水辺で白い花を咲かせるサトイモ科の植物。
あの白い花びらに見えるものは実は花弁ではなく、花本体(真ん中に伸びる軸のようなもの)を保護する仏炎苞(サトイモ科の花の特徴で、名称は仏像の背後にある炎の形の飾りに由来する)である。
尾瀬の水芭蕉をテーマとした名曲『夏の思い出』でも有名。この歌のおかげでミズバショウといえば夏のイメージが付いてしまったが、実際に白く優雅な姿を見せるのは上記のように春である。
もっとも、ゴールデンウィーク末に当たる立夏の頃は尾瀬のミズバショウはちょうど見頃の時期。「♪夏が来れば思い出す~」という歌詞を「暦の上では夏が始まった時期です」という意味に解釈すれば、あながちこの歌詞も的外れなものではなくなるだろう。
ちなみに夏場のミズバショウは、大きな葉を何枚も放射状に広げて育っており、見るからに暑苦しいことこの上ない。しかしながらこの姿が名前の「芭蕉」の由来になったとも言える。
別名
ミズバショウは別名を「ヘビノマクラ」ともいう。この名は、蛇がうようよしているような危ない場所に生えるからとも、ミズバショウの生育するような湿地帯に足を踏み入れると足がヘビに引っ張られるようにめり込んでしまうからとも言われるが、いずれにしても「この花の咲く場所は危険な場所だから、うかうかと近づくもんじゃない」という戒めに由来しているのであろう。
有毒
一部では民間療法の薬として服用されていたこともあるらしいが、根、葉、花、そのどれにも有毒成分があるため、食してはならない。熊が冬眠明けに食べたりもすると言われるが、人間が真似するのは厳禁である。
関連タグ
ザゼンソウ:ミズバショウの近縁種(サトイモ科だが属は異なる)で生育場所も同じく水辺だが、仏炎苞はチョコレートのような茶色をしている。