浮草
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うきくさ
サトイモ科の浮遊植物。ウキクサという特定種を指すことと、近縁な植物をまとめて指すことがある。あるいは水上浮遊型の植物の総称。
単子葉類サトイモ科ウキクサ亜科ウキクサ属の多年草。葉を持たず、板状の葉状体(茎が変化したもの)から直接水中に数本の根を垂らす。葉状体が分裂することでどんどん増え、小さい池や水槽に侵入するとあっという間に水面を埋め尽くしてしまう。
葉状体のサイズは最大で1cm程度と、ウキクサ亜科の中では比較的大型。種子植物なので実は花も咲かせるのだが、開花・結実は非常にまれ。
冬になると水面から姿を消すので一年草に見えるが、葉状体にデンプンを貯めた休眠芽という形態になって水底に沈んでおり、春になると浮き上がって生育を再開する。
代表的な水田雑草ではあるのだが、ウキクサが田面を覆い光を遮ることで他の雑草を抑制する効果があるため、ウキクサの繁茂は稲作農家からむしろ歓迎されたりする。その反面ウキクサが増えると水温が上がりづらくなるので、冷害に遭いやすい冷涼地では嫌われるとも。
ウキクサ以外はアオウキクサ、ミジンコウキクサなどが代表的な種。形態・生態はいずれもウキクサとだいたい同じだが、大きさと根の数で区別できる。アオウキクサの根は1本しかなく、葉状体は長さ3–6ミリメートル程度。ミジンコウキクサに至っては根が全くなく、最大で0.8ミリメートル程度とごく小さい。
アオウキクサはよく花をつけるが、砂粒のようなサイズで目立たない。
ミジンコウキクサは最小の種子植物とされ、あまりに小さいので藻類の一種と勘違いされることも。多くのサトイモ科植物が持つシュウ酸カルシウムをほとんど含まないので、小魚の餌として重宝されている。
世界最小の種子植物であるミジンコウキクサと世界最大の花をつけるショクダイオオコンニャクが同じサトイモ科の中で進化したことは非常に興味深い。
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